1679話 やっと始まった
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チビ神の話だと、呪いをかけた神は呪いを返されたことによって、死んだか消滅したのだろう。どう違うのか分からんけど。だけど、騎士たちに誰から呪いをかけられたのかを、説明するわけにはいかない。してもいいのだが、おそらく信じてもらえないだろうしな。
ったく、神は碌なことをしないな。
俺みたいに地球から存在した証拠を消したうえで、連れてきてるやつらのことを考えれば、この程度は遊びの範疇なんだろうな。自分たちの気に入らない駒を排除したいための一手ってところだろう。ゲームと言っても何でもありの、神たちにしか分からん遊びなんだろうけどな。
本当に面倒な話だ。
1人は死んでしまったが、何も対処ができない状態であれば自分たちも全滅して、俺たちも巻き込んで最悪の事態になる所だった、と何度も頭を下げられたら、いたたまれない気持ちになってくる。
間接的な原因は、クソみたいな理由で戦争を始めようとしていたあいつらの所為だ、ということにして、騎士たちの矛先を……いわゆる八つ当たりの対象を準備することにした。
シュウは知らないが、実のところその考えは間違っていなかったのだ。かなり薄くなっているが、今回呪いを仕掛けた神と、戦争に参加していたとある人物と縁があったため、呪いが成立したのだ。
チビ神も縁が無いと呪いが成立しない事は知っているのだが、神の中での常識であり俺たちも知っていると勝手に思っており、あえて言う必要もないと思っていたのだ。
勘違いから始まった八つ当たりだったのだが、矛先は正しかったので結果オーライ。
弔い合戦ということで、一番張り切っていたのが、死んだ騎士の相棒だったグリフォンだろう。従魔と相棒との繋がりはよくわからないが、従魔となれる魔獣は基本的に頭がいい。騎士たちの会話を理解して、鳴き声を上げ前足で地面を引っ掻く様子が見られたとか。
だけど、戦争の再開はまだなのでなだめるのに苦労していると、騎士たちのリーダーから苦笑混じりに雑談の中で教えてもらった。
戦争が中断してから10日、一番遠くの国からも伝令に出たものが戻ってきた。その結果、戦争に参加するつもりだった半数近くの国が撤退を開始した。
そのため当初双方10000人ほどいた軍は、7500人ずつくらいにまで数を減らしていた。
それでも俺たちの前線に出るメンバーの10倍近くはいる。この世界の戦争は数より質ではあるが、俺たちが参加しなければ、それなりに大変な戦争にはなるだろう。大変なだけで、負けるとは微塵も思っていないけどね。
それにディストピアの冒険者たちが攻撃を担当する予定だったが、帝国からのお願いもあり防御中心の戦い方になるため、サブにまわる予定だった冒険者たちの中から、防御力に秀でている者と回復魔法の使える者に前線へ行ってもらう。
元々前線に配置される者たちよりレベル的に少し低いが、敵軍の一番レベルの高い者くらいの強さはあるので問題ないだろう。攻撃にまわる予定だった冒険者たちもフォローにまわってくれるから、特に問題はないと思われる。その中には暗部のメンバーもいるので上手くやってくれるだろう。
そして、俺にも1つ仕事をしてほしいとお願いがあった。俺の弓の技術を知っているので、開戦と同時に敵指揮官を狙撃してほしいと依頼があった。
殺す必要はないが、できるだけ戦線復帰できないようにしてほしいとの事だ。
それを聞いて悩んだのだが、殺すだけなら頭を撃ち抜けばいいのだが、それをしてもいいのかどうか、ということになってみんなで考えたところ、毒を使おうという話になった。
即死とかとは別の意味で質の悪い毒があったので、使ってみることにしたのだ。
この毒で死ぬことは無いが、1週間は体にとどまり体調不良で動きづらくなる、という物だった。効果はそこまで強くないのだが、効果が弱い代わりに高ランクの万能薬、Bランク以上の品質でないと治せないモノになっている。DPによる魔改造のおかげだけどね!
その毒を塗った矢を指揮官クラスの人間に向けて打ち込む事にした。戦線復帰できる位の体調不良だろうけど、もし続けるようなら2種類目の毒も検討する必要だあるだろうな。
11日目、戦争が再開となる。
冒険者たちの装備は、俺たちから貸し出している物も多かった。ディストピアの冒険者たちに大盾を使っている人はほとんどいなかったので、防御中心となる今回の戦争ではいつも使っている盾では小さかったので貸し出している。
ん~マップ先生で居場所は確認できるのだが、単眼鏡も使い姿を確認しているのだが、見えないんだよな。ちょうど馬車があるんだけど、あの中にいるんだろうな。何で戦場に馬車で来てるんだ? チャリオットみたいならわかるけど、何で箱馬車?
これじゃあ、狙い撃ちできないやん。
そんな事を考えていたら、相棒を亡くしたグリフォンが急降下をして箱馬車を壊してくれた。
おっけ~、俺は弓を構え狙いを定め、撃つ。
吸い込まれるように敵指揮官に向かって行く。が、やはり距離が遠かったため、1メートル程それてしまった。2キロメートル先に届く矢が異常だが、この世界では1キロメートルくらいなら、あてれる弓使いが両手で収まらないくらいは普通にいるからな。特化型の弓使いなら、普通に当てるんだろうな。
さて、こういう時は数を撃つべきだろう。大体の狙いを定め、矢を放っていく。
1発目の矢が飛んできて狙われているとわかった指揮官は、周りから守る人間を呼び寄せ壁にしている。
それでも関係なく撃ちこんでいると、15発目がやっとヒットした。これでしばらくすれば、体中に毒が回るだろう。流れ矢で他に6人に矢が当たっているので、あいつらも体調不良になる事だろう。
もう片方の指揮官の馬車にもグリフォンが突っ込み、俺が矢を撃ちこむことで毒に侵された。こちらではついでに3人が流れ矢に当たっている。
指揮系統が崩れ始めると、帝国の騎士たちが隊列を組み敵軍に何度も突っ込んでいる。
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