1668話 建てたつもりはなかった
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昨日のあれは、フラグのつもりはなかった。だけど、盛大にフラグを建ててしまっていた。
ため息をつきながら、グリエルからの報告を聞いている。
今回は直接的な関係者ではないが、極めて面倒な位置で戦争が起きてしまうようだ。
帝国領内にある俺の領土? と呼べばいいのか分からんが、管理している街であるメギド・バレル・ダギア・ラディッツの4都市は、帝国の地図で見ると最西端にあたるのだ。街の順番で言うと、バレルが一番西にあたる。
そこに隣接しているのが魔の森で、そこを超えると別の国があるのだ。ちょうど4ヶ国の境目にある魔の森だ。俺、帝国、後2ヶ国、その後2ヶ国が戦争を起こしたらしい。
理由は、魔の森の支配権についてとか言う馬鹿げた内容だった。
そもそも、魔の森は魔物がわき続けるから支配できないのだ。そこの支配権について戦争をするとか、本当に意味が分からなかったのだ。
グリエルが帝国に連絡して聞いた所、魔の森の支配権を得られるなら、帝国や俺たちが魔の森から得ている資源に、税をかけられるようになるのだとか。帝国から言わせれば、かけられたところで実効支配すら出来ていないのに払う必要はない、との事だった。
だけど三大国だったとしても、その間にある国の同盟で決められたことであれば、従う必要があるのだとか……だけど払えと言うなら、戦争を起こして支配権を奪うだけです、だってさ。帝国の文官さんが言っていたと。
ん~面倒ではあるな。
とりあえず、帝国は放置するそうだ。で、俺たちはどう対応するか話し合う必要がある。
「面倒ないちゃもんをつけられるのは、正直嫌だな。周りの噂なんか気にしないけど、街に来る人が減るのは避けたいところだよな」
「そうですね。馬鹿な話だとは思いますが、どっちの国も周辺国に賛同する代わりとして、巻き上げた利用権や税で得たお金を、分配する約束をしているんだろうと思われます。魔の森の利権に関しては、半数ではなく出席の3分の1の賛成でいいらしいですし」
マジか? 何もしなくても利益が出るシステムだから、お金のほしい奴らが群がるってか?
「戦争で魔の森の権利が何処にあるか決めるとの事ですので、こちらからも戦争に参加して、この先同じ事が無いように得ておくべきではないでしょう。権利を持っても、私たちが利用権としてお金を回収する事はできないんですけどね。ここの資源を合法的に得られるのであれば、それに越した事はないでしょう」
「なるほど、そういう事か。戦争で向こうが大々的に決めるのであれば、接している俺たちや帝国にも参加はできるから、今後のためにも今のうちに権利を得ておこうってことか。面倒だけど、その戦争に参加するか。誰を連れていくべきか?」
「そこらへんは、レイリーに任せればよろしいのではないでしょうか? それに、メギドの近くですからスカルズのメンバーにも前線に出てもらえれば、間違いなく負けは無いと思います」
「そういえば、従魔たちが運動不足だったみたいだから、ついでに連れていくか? 殺さないように手加減するのは面倒だが、それも運動不足解消のためにはいいかもしれないな」
直接な関係者でなかったはずなのに、いつの間にか当事者となっていた。
まず始めにレイリーへ連絡を入れ、動員最大数を動けるようにしておいてもらう。次にグリエルを通して帝国に参戦する旨を伝えてもらい、やる気があるなら一緒に参加しないか話を持ち掛けてもらう。
準備は他人まかせになるが、今回は負けるつもりはないので、シリウス君とバッハも連れていく予定だ。バッハを連れていくという事は、ワイバーン家族も来るのかな? そこらへんはあの家族に任せるか。
他に聖獣の3匹も連れていくし、ウルフたちは、娘たちが残るから来ねえだろうな。ウォーホースを使った騎馬隊を作って突撃もありか? 戦争というか、ウォーゲームだからな。死者も出るけどゲームなんだよね、隊列組んで突撃!! ってのもいい気がするな。
そこらへんは、レイリーに任せればいいかな? 素人に戦術を考えさせたら悲惨な事になるからな。特に俺なんかだと、強いからごり押しで終わりだな。
シリウス君とバッハを連れていく時点で、ごり押し感がビンビンだけどな。
戦争が決まってから周囲の国に連絡が入ったため、準備期間がかなり短い。大体移動時間込みで2週間なんだよね。帝国ならともかく、俺らなら援軍を連れてメギドに行く時間は無いと思われていた。小さい国だから、帝国にお金を払えとは言わずに、俺たちだけに言うつもりだったのだろうか?
帝国が出てくれば確実に負けると思ってるから、無理に金を払わせようとはしないと思うしな。
魔導列車を使えば2日くらいで何とでもなってしまうのだ。相手の2ヶ国については、寝耳に水だろう。
今日の仕事は終わったので、家に帰る途中、
「キャンピングカーみたいに、戦争中も庁舎の仕事を出来るように、移動執務室を作るか?」
適当な部屋と魔導通信機があれば問題ないのだが、俺の気分的にあるといいのでは? と思ってしまったのだ。そうなれば、作るしかないよな!
バザールと綾乃を呼び出して、概要を説明すると。
空間投影ディスプレイを搭載した、移動型執務室を作る事に決まった。離れていても姿を見て話すことができるので、面白いのではないかという話に決まったのだ。
俺の執務室と同期させれば、本当に直接話していると思われるレベルまでできるのではないか? という、限界にもチャレンジしてみようという話になった。
問題は時間がないので、1週間で一応の区切りという事に決めて動き始めた。
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