表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンマス(異端者)  作者: AN@RCHY


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1665/2519

1665話 さすがに1人は……

アクセスありがとうございます。

 転送されてきた俺は、20メートル程先で並んでいる5人を見つめる。


 これだけ距離が離れているのだが、5人が唾を飲み込んだ音が聞こえる。


 俺のこの様子を見るのは初めてではないと思うが、敵対する側からとしてみるのは初めてなのだろう。自分でも驚くほど心に波がない。どうやって倒すか冷静に考えている自分がいる。


 普通というのもおかしいが、この状態になる時は自分ではなく、周りの大切な人達に危険が及ぶ際に、こういう心理状況になるのは覚えている。それを初めて自分の意志でやってのけたという事だ。


 その俺の様子に少し驚いて、唾を飲み込んだのだろう。


「ふ~、本当ならやりあいたくないんだけど、君たちの希望なんだよね? 手加減するつもりはないから、全力で戦おう」


 俺はチビ神のアナウンスを無視して、相対している5人に声をかけた。


 なんてアナウンスしていたか知らないが、若干疲れた様子のチビ神が、試合開始の合図をした。


 まずは、遠距離戦だよな。マリアの弓とライムの魔法が襲い掛かってくる。


 ライムの魔法はランス系の魔法で、様々な属性の槍を作り出し俺に向かって撃ちこんでいる。マリアは、真正面から打ち込んでいる矢と、弧を描いて襲ってくる矢を次々に放っている。


 それに対して俺は、弓をかまえ火魔法を付与した矢を放ち、魔法と矢が襲ってくる前に半球状にウォーターウォールを張り高速で回転させる。これで水の壁を魔法や矢が越しても、気道がそれて俺にあたる事はない。


 弓と杖を入れ替えて、今度は魔力を大量に込めて地面に突き立てる。


 アースクエイク!


 地面を隆起させたりして足元から攻撃する魔法を行使する。


 そのまま俺は、視界の悪くなった部分をカバーするために、探知結界をこのコロッセオ全体に張り巡らせる。


 それで把握できた5人はまとまって移動しており、発動兆候に気付いたのかアースクエイクは不発だったようだ。


 弓に持ち替え、先ほど控室で加工した矢の先に鏃の代わりに拳大の重りをつけた破矢(はや)を構えて、放つ前に自分を起点としてエクスプロージョンを放つ。それによって水の壁が一気に蒸発して、視界がほぼなくなった。


 俺は探知結界で居場所が分かっているので、そこへ破矢(はや)を撃ち込む。


 それと同時に魔法の発動兆候が感じられた。場所は……後ろ!?


 ここで遠隔発動をしてくるなんてな。視界がない状態での遠隔発動は、無駄に魔力を使うし攻撃を当てにくいのによくやるな。


 発動される魔法は、火系統の魔法か? なるほどな。火系統の魔法なら上手くつかえば、俺へ攻撃できるうえに、視界を遮っている霧を吹き飛ばせるかもしれないな。


 けど、そんなに甘くないぜ。


 着弾予測地点に水球を生み出す。


 ライムの魔法が発動されると、俺の放った破矢(はや)がシュリの盾に受け止められた音がする。次の瞬間に水球に火魔法が着弾して、更に濃い霧があたりを立ち込める。


 そして、破矢(はや)に施された加工は、拳大の矢先の中に麻痺毒を仕込んでいたのだ。何かにぶつかると同時に、矢先が弾けて霧状に毒がばら撒かれるように仕組んでいたのだ。


 麻痺毒には色がついているので、すぐにわかってしまうのだが、これだけ濃い霧の中なら、若干の判断の遅れは出るはずだ。


 俺はまた杖に持ち替えて、


 アイスコフィン!


 氷の棺を作る。まわりに濃い霧があるので、その水分を一気に集めて5人の動きを止めるつもりだ。


 5人が先ほどから動いていない、しっかりと魔法が発動したのに、手ごたえがない。どうやら麻痺毒も魔法も防がれてしまったようだ。


 視界が晴れて5人の様子を確認する。なるほど、ピーチの結界で水分をはじいていたのか。氷も水だからな結界の中に侵入できずに、効果が出なかったのだろう。魔法の条件を満たせなかったため、強制的に解除されたのかな?


 結界が解除されると、マリアとライムの遠距離攻撃がまた俺を襲ってくる。


 ここからは防戦になってしまった。ライムの魔法を魔法で相殺し、マリアの矢は叩き落すか避けるかしてしのぐ。


 目の前の攻撃に対処していたせいで、前衛陣2人が左右に分かれて俺に向かってきていることに気が付けなかった。


 俺が認識したのは、もう10メートルもない位の位置だった。シュリとアリスによる挟撃が俺に迫ってきている。


 2人とも剣ではなく、盾で押しつぶすような感じで構えて接近してきていた。魔法を相殺しながらバックステップをして、挟撃から逃れる。


 だけどその行動は予想されており、挟撃から左右45度の角度からのシールドチャージをくらう事になった。シュリの盾は左半身全体で受け止め、アリスの盾は右足に全力で火魔法を付与して、打撃力をあげてから思いっ切り蹴りつける。


 若干左後方にズレながら吹き飛んでいく。


 着地と同時に右足に痛みがはしる。何で? バリアによってダメージって、相殺されるんじゃないのか? 見た目は何ともなっていないが、感じた痛みは右足が骨折したのでは? と思う程の痛みだった。そして、継続的に痛みを訴えている。


 右足を見ても何ともなっていない。痛みだけがある状態だ。回復魔法をかけると、痛みがなくなり普通に動けるようになる。


 ちび神が開始前に言ってたルールの1つがこれなのか?


 あの野郎……


 余計な事を考えている暇はなく、魔法も矢もシュリとアリスを避けて俺にめがけて飛んできている。


 手数が足りん、矢はさすがにダメージが大きいので、持ち替えた剣と盾で何とか防いでいるが、ライムの魔法に関してはマリアの矢、シュリとアリスの攻撃をしのぎながら相殺している。


 完全に防げてはいないので、ダメージが蓄積しているのが体の痛みでわかる。


 そしてこうなると、手の空いたピーチのとる行動と言えば、盾と鈍器を持ってシュリたちに混ざる事となる。


 左右からの攻撃に加え、後ろに回り込まれて鈍器の攻撃も追加となる。


 このままの状態が続けば、近い内に負ける事になる。


 いい所もなく負けるわけにはいかないよな……


 俺は魔力を何とか練り上げ、足を踏み込むと同時に魔力を流して、自爆する形でアースクエイクを発動し、防御を捨て攻撃重視に切り替える。手にしたものは、俺の本命の武器の大薙刀だ。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ