1651話 久々の!
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今日は久しぶりにゴーストタウンの工房へ来ている。
出禁を食らってからどれだけの時間が経ったか、もう覚えていないくらい経過している。やっと出禁が解除された。
俺たちが暴走して色々作った商品の量産が整って、ある程度広まったのだろう。そうでなければ、俺たちの出禁が解除されることは無いだろう。
そして俺たち3人は工房に集まった。
「久々でござるな」
「そうね、どれだけ来てなかったか忘れちゃったわ」
「出禁を解除されたのはいいけど、俺たちは何を作ればいいんだ? また無計画に作ると怒られて出禁を食らうぞ」
「そうでござるな。ゴーストタウンを廻って不便がないかを調べて、作るのがいいのではござらんか? どうせ、某たちがモノを作れば確実にまた出禁を食らうでござるからな」
「そう言われればそうだな。出禁を食らう前提でモノづくりをした方が気持ちは楽だろうな。となれば、ターゲット層を考えるか」
いろいろ意見が出た。工房の人間にも色々説明をしてから意見を貰った。
その結果、俺たちは母親の仕事を楽にする道具にターゲットを定めた。手動の洗濯機が広まったことにより、母親たちの仕事は減ったがそれでも大変な状況は変わらないのが現状だった。
手動の洗濯機を改良して、自動の洗濯機も作られたのだが、魔道具であるため価値が跳ね上がってしまう。そんなものを使えるのは、お金に余裕のある富裕層か洗濯を代行する業者くらいだろう。
クリエイトゴーレムを使わない魔道具であるため、魔石を際限なく使うのだ。魔石が大量に手に入るゴーストタウンでも、その消費量はさすがに負担が多い。色々考えられた結果、自動の洗濯機は受注生産になり、一種のステータスとなっているようだ。
それはさておき、情報収集に出ることになった。
「ここら辺歩くのも久しぶりな気がするな。母親の仕事を楽にできる道具ってことは、母親に聞くべきだよな。とはいえ、いきなり家を訪ねて何かないっすか? って感じで聞いても答えてくれんだろうしな」
「そうね、いくらシュウが領主と言っても、絶対に不審者扱いされるわね。ディストピアでは顔をしっかり知られているけど、ゴーストタウンではそこまで知られているわけじゃないからね」
「となると、母親が多く働いている場所に行って、買い物兼情報収集をするでござるかね」
バザールのセリフを聞いて、俺たちは目的地を屋台や食堂にしてみる。屋台は男性も多いが女性もそれなりに働いている。食堂に関しては、男性より女性の方が多い。理由としては、調理するのが男が多くてもそれ以外を担当しているのがほぼ女性なので、女性の比率が高くなるのだ。
工房に近い屋台エリアに到着する。ゴーストタウンに限らず街にはいくつか屋台を出すエリアが定められている。無秩序に屋台をしていいわけではないのだ。
「おばちゃ~ん、今日の肉串ってお肉何?」
「今日のは、ラビット系の魔物のお肉ですよ。タンパクなお肉だから、濃いめの味付けをしているから食べて行ってみて」
「ウサギか~鶏肉みたいにあっさりしてるんだっけ? よし買った! 3本よろしく。っと、そうだ。おばちゃん、家とかで困ってることとかない? 便利道具のアイディアを探してるんだけどさ、なんかないかな?」
「ん~困っていることね。洗濯は手で回すあれが出来てから、子どもたちでもできるようになったから、便利になったからね」
考えながら、肉串を焼いてくれている。
「あっ! そうだ。掃除するのが大変で困ってるかな。部屋を掃除するものそうだけど、この屋台を掃除を掃除するのも大変なのよね。あまり掃除ができていないと判断されたら、屋台を開けなくなるから毎日大変だわね」
「掃除ですか。確かに毎日しなければいけないですから、大変ですよね。何かいいものが出来たら、試してもらうのもいいかもしれないですね」
「はっはっは、そんなものができるんだったら、是非こっちからお願いしたいもんだね。ほら、3本焼けたよ」
「あんがと、おばちゃん。これ、話を聞かせてもらったお礼に、おつりはいらないよ。綾乃にバザール、お前たちも食え」
そう言って屋台を離れていく。
他にもいくつか屋台を巡ってみたが、やはり同じ悩みを持っていた。屋台は、清潔に保つことが求められているため、その掃除が結構大変なんだとさ。
「キッチンの掃除か。屋台の掃除する場所って言うと、基本的には火の回りだよな。屋台には調理済みの物を持って来て、焼いたりしているからな。食材からもだが、油が多いところの店主は大体同じ話だったな」
「そうでござるな。油汚れって言うと、重曹でござるがどうやって作るでござる?」
「どうするんだろうな? 他に油物っていうと、熱してからふき取る感じか?」
「そうなると魔道具になるから、値段が跳ね上がっちゃうんじゃない?」
「そうでござるな。前に使った、吸収型の魔道具と組み合わせるのはどうでござるか? あれなら、安価でござる」
「結局大きくなりすぎて、使い辛くなるだけだろ。それなら、重曹を召喚して大量に売り出す方が現実的じゃないか? それなら、製造方法を知られるリスクもないし、出禁を食らうことも無いぞ」
「それだけで、話が終わりなんだけどね。屋台の登録場所とかに掃除用の魔道具置いて、自由に使えるようにする方が現実的じゃない? 利用料は、登録料に上乗せした人だけが使えるみたいな感じでさ」
「あまり負担にならない金額ならありだな。そっちの方向で検討して、スチームの出る魔道具を開発してみるか」
「そうでござるな。となると、もう帰るでござるか?」
「いや、せっかくだから食堂の方にも行ってみよう」
そう言って訪れたいくつかの食堂で判明したのは、やはり掃除の件だった。やっぱり大変なんだな。特に夜はお酒を提供している店は、床が汚れやすく大変なのだとか。
床掃除ね。クリーナーみたいな魔道具を作っても、買うのも維持費も大変だよな。そうなると、手動でできるタイプの床掃除できる道具か、難しい注文だな。今でもモップはあるんだし、それ以上となると考えもんだな。
得た情報を持ち帰って、試作に取り掛かった。
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