1627話 再び畑エリア!
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あれから2日後、ウルたちと約束していた畑エリアに行くことになった。前にも行っているが、今回は違う作物を見に行く予定だ。前回は、何を見たんだっけ? 子どもたちの着の赴くままに見学をさせてもらおう。
ということで、やってきました畑エリア!
相変わらずこの畑は季節感がおかしいな。冬野菜の白菜や大根、ネギの隣に、夏野菜のキュウリやトマト、ナスがなっているのだ。遠くには、季節感の全くない果樹園もあるし。その手前には、黄金の稲穂が垂れ下がっている。
おや? ビニールハウスがあるな。何が生っているのだろう? 後で見に行ってみたいところだ。
まずウルたちが向かった先は、稲穂のあるところだ。俺がお米が好きということで、家ではパンよりお米の方が食べる機会が多い。何より、おかずの味付けがご飯に合うようにされていることが多いので、娘たちもお米をよく食べるのだ。
前にお米がどうできているか聞かれたときに、あの畑のように穂が垂れ下がっている写真を見せた覚えがあるから、それを覚えていたのだろう。
「とーたん、これがお米?」
やはりその質問だよな。その通りだ! ここから、収穫して乾燥させて脱穀して、精米したらみんなの知っているお米になるんだぞ。だけどね、ここまで美味しいお米になるのには、試行錯誤を繰り返し品種改良をした結果なんだぞ!
4人は「ふ~ん」と、分かっていないような生返事で答えた。
まぁ、この年の子たちに話しても分かるわけないわな。お米はこれから取れるってことを覚えていただけでも、十分なことだと思おう。
次に訪れたのは、何が生っているかよくわからない畑だった。見覚えはあるのだが、何だったっけな? ウルたちより少し背丈のある食物だ。
分からなかったので近くにいた、畑を管理している人に聞いてみた。
どうやらこの畑は、そら豆の畑だったらしい。娘たちもそら豆は知っているので、実がなっていないか探しているが見当たらず、「どこにもない」と言って残念がっていた。
娘たちよ! まだまだだな。そら豆はな、茎の部分から空に向かって生えている、この太い部分の中に入っているんだぞ! 一説には、空に向かってさやが伸びることから、そら豆と呼ばれるようになったらしい。
収穫のサインは、豆の重さにさやが下がり始め、さやの背が赤くなってきたらだぞ!
いくつか収穫してもいいか確認を取ると、いくらでもどうぞ、と言われた。それでいいのか? 疑問に感じていたら、苦笑しながら答えてくれた。
「この畑はシュウ様の物なんですから、気にすることなく収穫していただいて問題ないですよ」
だってさ。そういえば、この街の事業って大半が俺が作ったんだっけ? 畑に関しても、一から俺が作って、ワームを連れてきたりドリアードを召喚したり、水の下級精霊を召喚したりして、管理を任せている形だったな。
でも、育てたのは君たちだろ? 管理しているんだろ? だったら、気にすることなく収穫していいっていうのは、間違っていると思うのだが違うか?
今日一緒に来ているピーチたちに聞いてみた。もちろん下の子たちも一緒に来ている。シンラなんかは、興味を持ったのか手を伸ばして、はっぱをつかもうとしている様子も見られる。
ピーチたちの答えは、管理している人の考えが正しいようだ。この世界では、貸し与えられた畑で収穫物は、持ち主が自由にしても問題ないらしい。特に今回のようなケース、収穫の量に関係なく給金は出るし、大量に取れればボーナスも出る。多少見てくれの悪い野菜は持ち帰りOK。
そういう雇用契約を結んでいるので、収穫物の100パーセントが俺の物扱いなのだそうだ。
もし給金ではなく、この畑から採れた収穫物を自分で売って稼ぐ形であれば、確認を取って許可が出ないまま収穫すれば、窃盗になるので犯罪なのだとか……ややこしや。
そういっても、シュウ様は確認をしてから収穫するでしょうから、私たちが気にすることは特にありませんよ、だってさ。それに、実がなりすぎて収穫が追い付いていないので、収穫してくだされば悪くなるものが減るので、助かるとも言っていた。
そういえば、報告書に畑エリアの収穫が追い付いていないって話があったな。人員を追加してもらえないかって話があったのを思い出した。
収穫すればするほどボーナスが増えるので、畑エリアで作業している住人たちのモチベーションは高い。だけど、働きすぎではないかと思うこともあるくらいだが、注意しても良くならないので半ば諦めている。手の空いている住人が手伝いに来ることもあるとか書いてあったな。
そんなことを話している間も、ここで働いている人たちは手を止めずに、かなりの速度で収穫をしていた。
農民侮りがたし。
ウルたちが戻ってきた。どうやら一番大きなさやを収穫できたのはブルムのようだな。見て見て! と俺の鼻先までそら豆を押し出してくる。近すぎて反対に見えんぞ。
そら豆は、とれたてならそのままでも食べられる、と聞いたようで一緒に食べようとお誘いを受けた。
そら豆を生で食べられるのか? 毒があっても死ぬことは無いし、娘たちにそんな嘘をつく住人がこの街にいるわけも無いので、言われたままに口に運んだ。
「おぉ、うま~~い! 本当に食べられるんだな。それに、甘いんだな」
娘たちも食べて、美味しい! と声をあげていた。
その様子を見ていたここで働いている人たちが、いい笑顔で喜んでいる姿が見られた。領主とその子どもたちに褒められれば、嬉しくもなるかな?
っと、プラムたちも母親から割ったそら豆を貰って食べている。この子たちは不味ければ、普通に吐き出すので飲み込んだということは、美味しいというのは間違いないみたいだな。
次に向かったのは、オクラ畑だ。ここは、見覚えもなく何が生っているか分からなかったが、ここに生えている物を観察して、すぐに分かった。
「それにしても、オクラにしてはデカすぎないか?」
と、独り言を言ったのを聞いていた、ここの畑の人が、
「このオクラは、大きくなっても硬くならない品種なんですよ。ノーマン様の話では、島オクラと呼ばれている物だと聞いています」
島オクラ……沖縄の野菜ってことだろうか? 普通のオクラは、大きくなりすぎると硬くて食べれたものでは無いと、テレビでやっていた気がする。収穫にはかなり気を使って、朝晩と収穫する必要があるのだとか。
このオクラも生で食べられると言われたので、俺はかぶりついてみた。ほのかに甘く、出汁が入っているような味もする。そして何より、湯がいていないのに粘り気がやばいことになっていた。
娘たちも食べたそうにしていたので、切り分けてから口の中へ入れてあげた。4人とも頬っぺたを抑えて美味しい! と声をあげている。
同じ仕草をする4人、仲がいいな。
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