1618話 解説者は黙っておけ!
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「深夜の報告でござるが、こっちのダンジョンは相変わらず31階の初めの部屋から先に進めていないでござる。こっちは、メグちゃんが休むために75階に入ったところで休憩していて、侵攻は進んでいないでござる」
「メグちゃん、休憩してたんだ。だったら、飯も食ってるのか?」
「食べているでござる。解説者が、あの料理を魔物に食わせるなんてもったいない! とかほざいていたでござる」
「娘たちには聞かせられないセリフだな。いなくて助かったというべきか?」
俺たち4人は、周りをキョロキョロ見渡すが、娘たちは今回のダンジョンバトルにはもう参加しない予定なので問題ない。いる場所も、隣の部屋ではなくいつもの家に戻っている。
下の子たちも一緒なので、今日はプラムとシオンに攻撃されることも無い。でも、念のために確認したくなるのが心情である。
「まぁ、侵攻はメグちゃんに任せているから、俺たちはメグちゃんのサポートと、自分たちのダンジョンの守りを固めるだけだな」
「だけっていうけど、ダンジョンバトルってそれ以外にすることなんてないでしょ」
うん、言って思ったけど、攻めると守る以外にすることってないんだよな。駆け引きや戦略などはあるけど、基本は攻めと守りの2つなのだ。
「そこらへんは、どうでもいいでござるよ。31階の初めの部屋はまだ攻略されていないでござるが、深夜に攻めの圧力が弱まっているでござる。もしかしたら、何か動きがあるかもしれないでござるよ」
ありゃ? 絶え間なく戦力が送られてきているようだが、その数が減っているらしい。何か考えているのかもしれないな。ゴーレムたちを抜ける戦力を相手が持っているのだろうか? 貫通属性の武器持ちとかいたらゴーレムは抜けられるだろうけど、S級スケルトンは難しいのではないだろうか?
メグちゃんが朝食をモリモリ食べていると、
『昨日に引き続き、あの美味しそうな食事を食べています! 駄女神にもらった食事と本当に一緒ならば、魔物に食べさせるのは勿体ない代物です! 聞いてますか、駄女神のダンジョンマスター。美味いもんを魔物に食べさせる位なら、こちらに送りなさい!』
こいつ本当に言ってやがったわ。冗談かと思ったけど、まさか本気のテンションで言ってるとは思わなかった。
おい、チビ神! この口の悪い解説者の前で、デザートを食ってやれ。朝食食ってても、デザートなら食えんだろ?
『ちょっと、急に何よ? 解説者がどうかしたの?』
いやな、メグちゃんがシルキーたちの作った食事を食べてるんだけど、魔物に食わせんのは勿体ないとかほざきやがったんだわ。それだけなら百歩譲ってまだ許せるけど、こちらに送れとか言ってるんだが、それはさすがに看過できんわけよ。だから、報復とは言わんが目の前で食ってやってほしいんだわ。
『解説者、解説者、今はあいつがやってるんだ。あいつ、そんなこと言ってたとは。ルール違反も甚だしい。これはお灸を添える意味でも、目の前で食べてあげる必要があるわね。もちろん食べるデザートは、準備してくれるのよね?』
もちろんだ。フルコースレベルで準備してやるよ。お前と仲のいい神も呼んで目の前で食べてやれ。だけど、何があってもあの解説者には食わすなよ!
『了解したわ。ちょっと、仲のいい友達集めてくるわ。デザート送っておいてね』
チビ神は、タッタッタと走ってどこかへ行った。
「うっし、ちょっとシルキーたちの所に行ってくる」
「いやいやいや、何がうっしなのか分からないわよ! 急に何をしたらそうなるの?」
チビ神とのやり取りを話すと、グッジョブと言って親指を立てて来た。綾乃もメグちゃんへのセリフを許せなかったようだ。大きな状態だと怖いけど、小さい状態のメグちゃんは可愛いからな。それを知っている綾乃は、ちょっとご立腹の様子だ。
シルキーたちに話をすると、ちょうど試作で作っていたデザートが沢山あるようで、俺に出すクオリティーには達していないが、普通に美味しく食べられるデザートがあるとのことで、大量に手に入れることができた。
日本のコンビニで300円くらいで売っていても、おかしくないようなデザートが20種類程並べられていて圧巻である。スイーツバイキングとかで見るような光景が目の前にあると、ちょっと優越感があるな。
盛り付けまで完璧にしてくれたシルキーたちに礼を言って、収納の腕輪に収めてからチビ神に送り出した。机も皿もすべてセットで送り出している。
チビ神はそれを持って解説者のいる広場に行き、目の前でスイーツパーティーを始めた。
神界のルールは良く知らないが、神が貢物でもらった物は、もらった神が許可しないと触れてはいけないというルールがあるらしい。もし破ってしまうと、創造神からの罰があるのだとか。
そんなことにルールを設けるくらいなら、神が俺に嫌がらせをできないようなルールを作れや、ボケが!
なんとなく分かってきたのだが、神界の基本的なルールは神同士で適応される物であって、ゲームの駒に対しては適応されないと思う。ただの嫌がらせなら問題ないが、さすがにやりすぎとみなされるときは罰があるみたいだな。
チビ神が解説者の前でパーティーを始めると、ダンジョンバトルそっちのけで食べている神たちに罵声を浴びさせていた。日本での放送禁止用語とかも普通に使われていたので、子どもには聞かせられない内容だったとだけ言っておこう。
解説者は2人いたのだが、文句を言っていない方はチビ神と一緒にパーティを楽しんでおり、そのせいで更に言葉が汚かったように思える。
こちらは安定して防衛できているが、チビ神がパーティーを始めたころに新種の魔物が投入された。
「これって、ワーム系の魔物だよな? 何でこんな奴を投入してきたんだ? それにこっちは、聖騎士みたいな見た目だな。中に入ってるのは、何だ?」
映像で入ってきた魔物を映し出すと、ワームと聖騎士の鎧のような物が映し出されたのだ。鎧の方は、リビングアーマーではなく、何かが装備しているのは分かったので、中にいる奴がなんなのか気になるところだ。
「これは拙いでござる。まさか、こんな方法があったでござるとは……」
バザールが少し焦った様子で、マップ先生の検索結果を見て呟いていた。
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