1614話 手を変え品を変え
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「それにしても、けったいな魔物が出て来たな。木だって魔物になるし、魔法生物で言えば鉱石も金属も水だって魔物になる、ファンタジーな世界だからいてもおかしくないけど……俺が読んできた小説には、このタイプはいなかったな」
「私が読んでたのには、寄生タイプのモンスターみたいなのはいたけど、寄生虫タイプの魔物はいなかったわね」
「某も、さすがに寄生虫タイプの魔物は想定外だったでござる。魔物の傷口でうにょうにょしているのを見て、若干ひいてしまったでござるよ」
「と、骨人間が申しております。お前が言うんだから、そのシーン衝撃的だったんだろうな。でもさ、ハリガネムシって、傷口から入るタイプじゃなかったよな?」
「似ているだけで、別枠なのではござらんか?」
「どっちでもいいわよ! それが分かったところでやることは変わらないんだしね。とりあえずそういう魔物がいると分かったから、それに注意するようにしておくべきじゃない? この世界に、今はいないかもしれないけど、発生する可能性はあるわけだし」
「それもそうだな。バザール、メグちゃんのフォローよろしくな」
バザールは、ノーライフキングになったためか分からんが、並列思考みたいなことができるんだよな。今だって、同行しているS級スケルトンの内20体くらいはバザールが操ってるからな。今話しているこの瞬間もね。
寄生タイプも寄生虫タイプも、魔物だけじゃなく人間にも寄生するやつがいるはずだから、それの対策は考えておかないとな。
そう考えると、今回のダンジョンバトルは少し感謝しないといけないか? いや、ウルを怖がらせたんだから、感謝する必要はねえな。
検索する際に寄生っていう項目を追加できたのは良かったな。今まで積極的に調べることなんてしてなかったからな。
自分の掌握地域に寄生や寄生虫タイプの魔物がいないか調べてみた。
そうすると、俺のいる大陸ではヒットがなかったが、ウルのいた大陸には寄生タイプの魔物が存在していた。キノコのようなタイプが存在しているらしい。胞子を飛ばして生物に寄生して、肉体を栄養に変えてまた胞子を飛ばしてと繰り返しているようだ。
何でそこまで分かったかというと、調べた際に生態の説明書きが何故かあったのだ。そしてそれによると、魔物の領域からは出られないらしい。寄生した魔物や人間と一緒に出ることは可能だが、そうすると生命力が一気に低下して長い時間生きられないのだとか。
こっちの大陸にはないだろうけど、向こうの大陸では長期間魔物の領域に滞在するのは禁止とかありそうだな。
「うっし、監視室に専用モニターを作っておこう。スプリガンのみんなには苦労を掛けるけど、寄生されたら拙いからな。俺の家にもいくつか設置しておいて、発見したら赤くランプが付くようにしておくか」
とりあえず、寄生系の魔物についての対策はこの辺でいいだろう。
こっちのダンジョンはまだしばらく突破には時間がかかるから、俺たちの作った階層の魔物を入れ替えて、侵攻の方に力を入れよう。
2時間ほど魔物の入れ替えに時間を費やして、侵攻に目を向ける。
相手のダンジョンは新しく作った物か分からないが、100階まであるようだ。昨日は50階じゃなかったか? 結構大規模なダンジョンだな! なんて思ってたけど、ランカー同士だと100階くらいが当たり前のようだ。バザールが教えてくれた。
メグちゃんに寄生させようとしても全部はじきそうだけど、もしものことがあったら困るのでメグちゃんには、支援に徹してもらうようにお願いしている。
俺たちが話している間も、魔物を入れ替えている間も侵攻しており、現在32階。
今までフィールドタイプだったのに、迷路タイプのダンジョンに変化している。それにしても面倒な。移動距離を延ばすための作戦なのだろう、一本道なのだが時間で通路が変化するタイプのようで、こっちの移動速度を計算に入れたいやらしい迷路になっている。
階段の近くまで行ったら、急に通路が変化して、倍以上の距離の道を移動しなければならなくなる感じだ。待っていても変化が見られなかったため、移動してまた近付くと通路が変化する……
おそらく、移動中のどこかにセンサーのようなものがあり、それにかかることによりタイマーが動き出している可能性が高い。でも、どこにあるかは分からないので、S級スケルトンを1体移動させる。
そうすると、通路が変化して階段に行く道が開かれる。
「こっちのS級スケルトンは、ここで待機かね? センサーの位置が分からんから、むやみに動かす必要もないよな」
2人共同意をしてくれたので、バザールはリンクを切ってS級スケルトンに判断を任せた。
次の階も同じようなトラップだ。だけど、今度は範囲が狭かった。
「これって、明らかに分断を狙ってるな」
「某も賛成でござる」
「これで最後にメグちゃんだけ残って、2匹以上いないと進めないトラップとか出てきたらどうするの?」
「あり得る話だな。このままだと拙いな」
俺たちは、相手を殺すとか強い奴は隔離することは考えたけど、分断が前提になっているトラップって考えたこと無かったな。面白いのだが、やられている方からしたら本当に迷惑である。
「追加で送る?」
「時間はかかるけど、分断されないように通路の変化とセンサーの位置を見極める方がいいんじゃないか?」
「むき出しにはなってないでござろうが、何かしらの違いはあるはずでござる。その違和感を探させるのがいいのではござらんか?」
「そうしよう。今以上にウィスプを追加で派遣しよう。物量作戦で違和感のある場所を探させれば、見つけられるだろ」
召喚したウィスプたちに憑依を覚えさせ、いつでも意識を移せるようにしておいた。
こっちのダンジョンもじわじわと侵攻されているため、少し焦りが出てきている。今回は50階分のダンジョンを作ったけど、1階層の広さはそこまで広くないので、ちょっと焦っている自分がいる。シリウス君がいるので負けは無いのだが、それでも攻められているとね。
全力で探すこと1時間、それらしき物を発見する。
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