1605話 突破!
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「とーたん、わかんない」
ミーシャが根をあげた。
「じゃぁ、いくつか質問するから、それについて思ったことを答えてみて。1つ目の質問だよ。フライパンは武器だと思う?」
ウルを含めた4人は首を横に振った。
「次は、まな板は防具だと思う?」
また4人は首を横に振る。
「じゃぁ、包丁は武器だと思う?」
そうすると、ウルは首を縦に、ミーシャたち3人は首を横に振った。意見が分かれたことに、驚いていた。
「ミーシャたちは、どうして武器じゃないと思ったのかな?」
3人共、包丁は料理に使うものだから、武器じゃないと答えた。それに対してウルは、包丁は武器としても使うことが出来ると答えた。
「ウルは良いところに気が付いたね。武器としても使うことができる、という点が重要だよ。そういう意味では、前にあげたフライパンも鈍器として使えるし、まな板は盾みたいに使うこともできるよね。じゃぁ、もう1つ質問だ。ツルハシは武器かな?」
俺の言いたいことを理解してくれたのか、4人共首を縦に振った。
「じゃぁさ、ムーたちが武器だと思ってた道具も、他の使い方ができるってこと? 短剣を包丁代わりにしたりとか……じゃぁ、ツルハシの代わりになる武器ってないのかな?」
おっと、そっちに向かってしまったか。ツルハシを武器として使うのではなく、ツルハシの代わりになる武器を探し始めてしまった。
でも、発想は悪くない。ツルハシも通常の物だと、有効打になりにくいではあるからな。それなら、元々武器として作られている物を使った方が、断然有用性が高いよな。
でも、ツルハシの代わりになる武器って、分類別にしてもないんだよね。貫通属性って一部の武器、斧や斧槍、槌などにたまたま付属しているだけなんだよな。
「みんな、武器で探すより、似た形状で探す方がいいんじゃない?」
ウルは根本的なところに目を付けた。武器の種類ではなく形だ。一部例外はあるが、貫通属性を持っている武器は、ツルハシに形状が似ている部分があるのだ。斧や斧槍で言えば、刃の反対側に尖った物が付いているとか、槌で言えば叩く部分の反対側に斧や斧槍みたいに尖った物、ツルハシに似た部分がある。
斧は両刃の物もあるし、斧槍は槍と片刃だけとか両刃が付いているタイプもある。それらはもれなく貫通属性を有していない。
「あっ! これとか似てない?」
スミレが槌のジャンルから片方が叩く部分、もう片方がツルハシみたいに尖っている物を探し当てた。
「これって槌だよね? スキルは槌でいいのかな? それなら戦士系の強化種が候補としてあがる?」
ミーシャがほぼ答えに近い答えを導き出した。だけどその隣で、ブルムが「う~~ん」と首を傾げながら唸っている。
「ムーちゃん、どうしたの?」
「えっとね……最近、この形状によく似た物を見た気がするんだよね。どこで見たんだっけ?」
槌の尖っている部分を指さして答えていた。
そう言われて、俺はハッとした。確かにこの形状は、あの魔物の角の形に似ている。そういえば、魔物の部位によるダメージの質を調べたことってなかったよな。もしかして、たまたま前衛として使うために準備していたあの魔物が、ゴーレムの天敵だった! という可能性があるぞ。
5分ほど考えたところで、スミレが
「分かった! チュー太郎たちと一緒に召喚した、サイの魔物の角だよ!」
正解!
「さすがスーちゃん!」
「じゃぁ、チュー太郎たちと一緒にサイの魔物を突っ込ませてみればいいかな?」
スミレもミーシャも、サイの魔物じゃなくて、アーマーライノックスって呼んでやってくれ。
「待って! ミーちゃんたち、チュー太郎たちが足止めされているところは、罠もあるんだよ。それはどうするの?」
「とーたん、チュー太郎たちがやられてる罠ってどんなの?」
映像は見せていないので、どんな罠か分からないよな。分かりやすいアイコンみたいなのがあれば、罠の内容を表示できるのだがっと、その前に罠の説明をした。
「チュー太郎たちにダメージを与えるけど、ゴーレムにはほとんど聞かない罠ってこと? じゃぁ、サイの魔物にもきっと効かないね!」
おそらく正解だ。あの罠はそこまで攻撃力は高くない。範囲と槍の数で雑魚を止めるための罠だ。落とし穴タイプにしなかったのは、落下の距離によってはチュー太郎たちが死なないので、勢いよく下から突き出す罠を用意したのだろう。2度3度突けは、さすがに死ぬだろうからな。
4人は話し合いの結果、アーマーライノックスを敵のダンジョンに突入させることにしたようだ。といっても、操作は俺がやるんだけどね。
その結果、俺たちも知りえなかった情報が手に入った。アーマーライノックスのLvが敵のゴーレムに比べて高いこともあるが、突進するたびにゴーレムをひき殺し、アーマーライノックスに攻撃が集中したところをみてチュー太郎たちが先へ抜けていく。
罠の部屋は数に任せて強引に突破、ゴーレムと魔法使いの場所はチュー太郎たちが魔法使いたちを蹂躙、大して時間がかからずに全部の個所を突破することに成功した。
さて、相手はどう守りを固めるのかな? ディザスター系の厄介なところは、1匹でも見逃すとそこから無限に増殖する点だ。
「相手の動きが無くなったね。シュウは、どう思う?」
「伊達にランカーを名乗ってるわけじゃないなら、本命の対策の準備ができた、とかかな?」
「ありそうでござるな。3~5階が迷路みたいになっているとはいえ、魔物がいないのは不自然でござるな」
「どんな、作戦で来るのかしらね?」
「ディザスターラットの弱点と言えば、水責めだろ。川とか湖の階層を新しく作ったんじゃないか? 流れのある川じゃあいつら何もできずに流されて終わりだろ。水中を移動するタイプの湖エリアも何もできずにおぼれ死ぬな」
「確かに、イナゴなら火山エリアでいいんだっけ?」
「そうでござるな。ディザスター系統の魔物は、しっかりとした弱点が存在しているでござる。耐性スキルも意味をなさないでござるから、ネズミは水でイナゴは火で継続ダメージを負うでござるよ」
「そう聞いてるけど、バザールはどこで知ったんだ?」
「過去のアーカイブで見たでござる」
「あ~対策を考える時に、ディザスター系の魔物のやつも見てたのか!」
「そうでござる。御息女様たちが使うといったときから、反対に使われた時のために対策を調べて置いたでござる」
バザール、基本的にはポンコツだが、たまにできる男、骨になるのは何故だろうか?
チュー太郎たちの先陣が6階層に突入した。
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