1602話 対策とは?
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ディザスターラットの対応のために攻め手を緩めて対策を立てたのだろうか?
「娘たちと対応を考えるのとは別に、俺たちは俺たちで少し考えてみるか?」
「そうでござるな。条件はどうするでござる?」
「チュー太郎たちを前面に押し出す作戦でいいんじゃない? そうでないのなら、対応を考える必要すらないわよ。私たちがやるなら、S級スケルトンと人造ゴーレムを大量投入で制圧するだけでいいからね」
「でもさ、今まで気づいてなかったんだけど、俺たちってダンジョンバトルでS級スケルトンや人造ゴーレムを何度も使ってるだろ? それの対策があったりしないかな?」
「某だったら、対策を考えるでござるな。今回初めて使ったフェンリルはともかく、既知の戦力で上位にいるのは、その2つでござるからな」
「とりあえず、チュー太郎たちを使った対応を考えた後に、S級スケルトンたちの対策に対する検討をすればいいんじゃない?」
3人は頷いて話し合い始める。
ウルは少し疲れた様子だったので、ミーシャたちが寝ているスライムベッドで一緒に横になっている。
チュー太郎、ディザスターラットを前面に押し出すといっても、ゴーレムたちをなんとかしないといけないんだよな。そして、ディザスターラットにはゴーレムをなんとかすることはできない。
なら、新しい戦力を投入する以外に方法はなさそうだ。
ゴーレムに有用な攻撃と言えば、関節技か貫通属性のある攻撃が思い浮かぶ。貫通属性と俺たちは呼んでいるが、言ってしまえば剣や斧のように叩き切るのが斬撃、殴ったり鈍器で叩くのが打撃、槍やレイピアなどで突き刺すのが刺突、ツルハシなどの道具による攻撃が貫通だ。
ただ、この貫通属性はよくわかっていない。斧や槍の中でも貫通属性を持っている武器があったりするのだ。だけど、今まで調べた中に斧や槍以外に貫通属性がついた武器は無かった。
この時点でシュウたちは知らなかったが、パイルバンカーも貫通属性を持っており、上位のゴーレムでも一撃で倒す可能性を秘めている武器だ。
「ゴブリンマイナーでも呼び出すの? 他の強化種ほど戦闘力は高くないけど、ゴーレムに対してだけは強いよね。マイナー……採掘者は伊達じゃないよね」
「そうでござるな。対策として考えられるのは、そこらへんでござるな」
「力押しでもいいんだけどね」
「それだと娘さんたちが嫌がるんじゃない?」
「ゴブリンマイナーを使っても、結局のところ力押しと変わらなくねえか?」
「相性のいい魔物を当てて押し通るわけでござるから、確かに力押しと変わらないでござるな」
「娘たちがどんな方法を選ぶかは分からないし、難しい方法を選んだ場合は一緒に考えればいいんじゃないかと思う。対応を考えるとは言ったものの、思ったよりできることが少ないんだよな」
3人して黙ってしまった。
「気になってたっすけど、S級スケルトンや人造ゴーレムって、本当になんとかできるんっすか? 武器もって無防備なところに攻撃を入れるように言われて、叩いたっすけど、少し傷が付いただけだったっすよ」
「人造ゴーレムに関しては、打撃だけじゃないな。一撃で切り落としたり破壊できない限りは直り続けるから、それだけの技量が無ければおそらく武器では倒せないぞ。倒すなら通常のゴーレムにも有効な関節技で四肢をもぎ取るのが楽だな」
「関節技? もぎ取る? 簡単そうに言うっすけど、普通の人には無理っすよ!」
「まぁ、正直倒すのは俺たちでも面倒だよ。あいつらは学んだことを共有するから、2~3体は同じ方法で倒せても、その後は倒せなくなったりするんだよ。関節技だけは、組み合ったときの流れで防ぎきれないことがあるから、変わらず有効的な攻撃方法なんだわ」
「そうなんすね。思ったっすけど、何でそんなに詳しいんすか?」
「戦闘訓練に人造ゴーレムをよく使うからだ。魔物だと、殺すためにわざわざ召喚することになるからな。人造ゴーレムなら、こちらを殺すような攻撃は無いけど、緊張感を持って訓練できるから便利なんだよ。壊れても直せばいいだけだしな」
「そういうもんすか? ところで人造ゴーレムには、貫通攻撃はきかないんすか?」
「人造ゴーレムには効かないんだよね。この世界のルールでは、人造ゴーレムは魔物じゃないから、攻撃の種類は関係ないっぽいんだわ。だから耐久力を上回る攻撃か、関節技しか有効じゃないんだよ」
「属性魔法で作るゴーレムもっすか?」
「あれも魔物じゃないから、基本的には人造ゴーレムと同じだけど、唯一違う点で言えば、属性魔法を使っているから魔法の力関係によっては簡単に壊されるね。そもそも人造ゴーレムとは耐久力が違うから何とも言い難いけどな」
「へ~っと、話をそらしてしまったっす! で、みなさんはそんな無茶苦茶なS級スケルトンや、人造ゴーレムをなんとかする方法を思いつくんすか?」
「あいつを作ってから何度も考えてるよ。こいつのようなとは言わないけど、似たようなものを作るダンマスがいてもおかしくないからな。それなりに色々対策は立ててるつもりだぞ」
俺たち3人は人造ゴーレムなどの対策について話し合ったことは無いが、各自で色々考えていることは知っている。
「まぁ、俺たちが答えるのは簡単だが、まずはお前が思い付く方法を口に出してみてくれ」
突然答える側に立たされた健司は、そもそもS級スケルトンと人造ゴーレムを倒す方法をきちんと理解していない。特にS級スケルトンに関しては、倒せると思っていない。正確には、S級スケルトン以上に強ければ倒せるだろうが、それは対策とは言えない。
健司は必死に考えてみたが、どうしていいのか分からないためギブアップを宣言した。
「だらしないなっていうのは簡単だけど、実際に作った人間じゃないと人造ゴーレムの対策は考えにくいよな。S級スケルトンにしても、スケルトンの生態を知っている人間なんてまずいねえもんな。打撃や光属性に弱いってことくらいしか、知られてないんじゃないか?」
「そうでござるな。S級スケルトンに関していうなら、魔物としての格も最上位でござるから、打撃で倒せるなどと思ってはいけないでござる」
「まぁ私も、見たことも聞いたことも無いような魔物の対策を、いきなり立てろって言われても無理よね。そういう意味ではこの2つは、特級に意味不明だもんね。自分で召喚できない魔物だったら、実験も出来ないし……」
ダメ出しなのか、慰めなのか分からない状況になった。
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