1598話 攻め手を考える
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今回のダンジョンバトルまでは、2週間。対戦を伸ばして、準備にあてることにしていたのだ。
1週間で防衛の準備をし、残りの1週間を侵攻の準備に力を注ぐ形になっている。それで、娘たちにも色々考えてもらおうかと考えている。
「昨日までは防衛について考えてもらっていたけど、今日からは相手のダンジョンを侵攻するための準備を始めようと思う。何か聞いておきたいことはあるかな?」
「ハイッ!!」
「シェリル君、どうぞ」
「私たちは、ウルちゃんたちのお手伝いをすればいいのですか?」
「その通り。シェリルたちも主になってダンジョン侵攻を考えたことは無かったと思うけど、俺たちのダンジョンバトルを見ているからなんとなくは分かっているよね? 今回は娘たちの初体験もあるけど、シェリルたちも勉強だと思って経験を積んでくれ」
「そういうことでしたか。お手伝いなので、メインはウルちゃんたちということですね? 後、アーカイブの閲覧やルールブックを見てもいいですか?」
「もちろん、いいよ。分からないことがあったら、聞いてくれても問題ない。でも、初めに自分で調べてみるのがいいと思うよ。自分で調べた方が身になることは多いからね。限られた時間の中で可能な限り経験を積んでほしいと思っているんだ」
娘たちのサポートとして参加しているのは、シェリルを中心とした年少組の妻たちだ。それにしてもシェリルの言葉遣いが変わってきたな。前は子どもっぽかったけど、ミーシャたちが生まれてから本当に変わったよな。
「ミリーたちはどうする?」
「私たちは、見守るだけにしておくわ。もし助言を求められたら答えるけど、基本的には静観しておくわ。ピーチたちもこの隣に移動しているから、そっちの面倒をみる予定だしね」
そう、ピーチたちもこちらに来ているのだ。ゲートで移動できるのだが、隣に部屋を作ってほしいということでお願いされて作っている。
その大きな理由は、シンラがお姉ちゃんたちが来る時間が減って、俺も前ほどかまってあげられていない状況になり、短い時間の中会いに行くと、戻る際にしがみついてガン泣きするようになったので、俺ともお姉ちゃんともすぐ会えるように隣に部屋を作ったのだ。
寝ているときは子ども部屋パート2にいるのだが、目を覚ましてベッドから降ろしてもらうとすぐに、俺たちのいる部屋の扉の前で大騒ぎするので、自由に移動できるようにペットの通路のようなものを、ドアの横の壁に設置している。
起きてはすぐにやってきて、俺の膝の上に乗りおっさんみたいに俺を背もたれにしてコタツに入る。そしてすぐにプラムとシオンがやってきて、俺に頭突きをしてくるのだ。しかも勢いをつけて、体はいたくないんだけど心が痛むのよ。シンラよ、俺を盾にするのは止めてくれないだろうか?
頭突きをしているとすぐに、ウルたちが回収してくれるので短時間で済むのだけど、連れてかれるときのプラムとシオンの目がね、なんか怖いんだわ。シンラは、そんな視線にさらされている俺を放置して、目の前に置かれたストロー付きコップから、100パーセントの野菜ジュースを飲んでいる。
シンラはプラムやシオンに比べて、運動量が多いので水分でも多少エネルギー補給をできるようにしている。プラムたちから逃げるためにエネルギーを消費しているからな。プラムたちは、湯冷ましや麦茶を飲んでいる。
安全を確保して水分を補給したシンラは、俺と綾乃とバザールの話し合いに参加したつもりになり、一緒に「あー」とか「うー」とか「あだあだ」などといって、合いの手のようなものを入れている。まあ飽きたら俺の腹にパンチをしたりして、謎のトレーニングしている。
3日後には、だいたいの流れが決まっていた。
娘たちが選んだ魔物は、アーマーライノックス、何故か突進攻撃中心の鎧を着たようなサイをメインに選んでいた。そして他に選んだ魔物で注目をしたのが、ネズミだ。
なんというか、群体のようなもので、栄養と魔力がある限り無限に増え続ける、ディザスター的な魔物だ。1匹1匹自体はランクE程度なのだが、それが数十万数百万の群れを成して襲い掛かるのだ。
似たような魔物にイナゴの群体がいる。
知らなかったことだが、この群体魔物は群れのすべてが本体であり分体なので、すべてを倒しきらないと経験値も魔石も手に入らないという、普通ならありえない生態をしている。
群体魔物に着つけられるランクは、魔物としての強さではなく厄介さの度合いによって、ランクがつけられている。これは、ダンジョンマスターのシステムがつけたランクで有り、生まれた場所で脅威度が変わってくるので冒険者ギルドでつけられているランクとは別である。
ちなみに、こいつらは召喚するときはSランク並みのDPを必要とするが、Aランクとしてシステムには登録されている。バザールの作り出した、レギオンに似ている。
何でこいつを選んだのかを聞いてみると、相手のダンジョンの構造を知るために、沢山の魔物を召喚するより、群体魔物の方がDPを節約できる! とのことだった。
そして魔物は、ダンジョンの中では食事を摂取しなくても問題ないのだ。魔力が豊富に存在しているためダンジョンでは、食事を摂取しなくても生きていけるのだ。嗜好として食事をするのが普通である。
攻める時には確かに便利な魔物ではあるのだが、こいつはダンジョン内に解き放つと管理ができないほど増え続けて、すぐにあふれ出してくるのでダンジョンマスターに嫌われている魔物だ。使うダンジョンマスターがいないのは、バトル終了後の管理の面倒さによるものだ。
娘たちに管理はどうするのかを聞いてみたら、予想以上にエグイ答えが返ってきて、頬がひくつくのを堪えられなかった。
「専用のダンジョンを2つ作って、ネズミの楽園を作るの! 今回の立体ダンジョンを応用して、ネズミが生活するダンジョンを一番高い位置に作成してから、その下に海水で満たされたダンジョンを作り、肉食の魔物を放っておくの! そうすれば、増えたネズミは魔物の餌になるだけ!」
だってさ。答えたのはミーシャだったが、誰が考えたのかと思えば、発案者はウルのようだった。要は、海底ダンジョンのボス部屋の先に、ネズミたちのダンジョンを作る形のようだ。
他にもいくつか魔物を用意しているが、基本的にはネズミで索敵&マッピング&罠発動をして、アーマーライノックスで突っ込み敵を吹っ飛ばすようだ。
娘たちが失敗しても、S級スケルトンと人造ゴーレム部隊を準備しているので、攻めが疎かになることは無い。できれば、最下層のリバイアサンコンビを見せたくないので、様子を見ながらの侵攻となるだろう。
「シュウ、あの子たちの発想悪くないわね。動物型人造ゴーレムを作ってもいいかもしれないとか思ったよ。力と装甲重視のサイは良い気がするのよね! 今度試作してみるわ!」
綾乃の人造ゴーレム狂いが気になるところだ。
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