1592話 リザルト
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「結果発表~~」
「「「わ~~~~」」」
パチパチパチッ
うむ。娘たちのノリがよくて助かる。ウル、恥ずかしかったらやらなくてもいいんだぞ! 妻たちよ、冷めた目で俺を見るな!
「特に大したことも無かったので、簡単に説明するね。神界で俺のことをどうにか潰そうと企んでいた神の一派に唆されて神たちが、自分の召喚したダンジョンマスターを嗾けて来たのは話したよね?」
みんなの顔を見ると、それは問題なさそうだった。
「それで、20~30のダンジョンマスターから同時にダンジョンバトルの申し込みがあって、しばらくみんなと一緒に過ごせなかったのは申し訳ないと思っている。でも、これにきちんと対処しておかないと、後々面倒になるので全力で相手をした次第でございます」
「シュウ君、本音は?」
「こっちはリスクなしで、相手の物を奪えるチャンスだったので頑張りました! ついでに装備の性能実験もできて一石二鳥と言わず、三鳥にも四鳥にもなりました。とりあえず、全部処理し終えたのでしばらくは問題ないと思います! みんなとのんびり過ごせるぞ!」
「「「やった~~」」」
娘たち3人は喜んでいたが、妻たちは苦笑しているだけだった。最近みんなが冷たくて困るね。ベッドの上ではみんな積極的なのに……むっ? 何やら殺気が!? 気のせいか?
「シュウには言いたいことは色々あるけど、結果はどうだったの? 発表するんじゃなかったの?」
「おっと、ダンジョンバトルは全戦全勝。途中で怪しいところはあったけど、終わってみれば快勝だったかな。それよりも、色々と面白いものが手に入ったよ」
嫁たちは、ダンジョンバトルの内容よりも戦利品に方に興味があるようだ。
俺たちには効果はないが、3本の槍を融合させてできるトリシューラ、ヒンドゥー教の神であるシヴァが片手に持つ先が3つに分かれた槍から名前をもらって、シヴァの槍と名付けている。
バザールの実験結果からシヴァの槍は、槍スキルだけだがLv10を使いこなすことができるようになるようだ。限定的スキル付与とでも呼ぼうか。
この限定的スキル付与に反応したのは、グリエル・ガリア・ゼニス・レイリーの4人だった。
今回の結果発表には、家族以外にも主だったメンバーを集めている。その中に、海産物エリアの肝っ玉母ちゃんも参加しているあたり、決まりが緩い集まりであることは否めない。
軍や兵士、護衛のスキル上昇を考えて、訓練に使わせてもらえないかと4人からすぐに申し出があった。
装備するだけで、疑似的にSランク相当の力を発揮できるようになるので、条件付きで認めることにした。
シヴァの槍を使って訓練する際には、奴隷の首輪をもとにして開発した、特定の行動をとると締め付ける首輪を装着すること、シヴァの槍を使った訓練を行う際は、S級スケルトンと人造ゴーレムを合わせた数が、槍の倍数がいることが絶対条件とした。
シヴァの槍を持っていても、身体能力とスキルがSランク相当のになるだけで、S級スケルトンと真っ向勝負をさせれば一対一なら十中八九S級スケルトンが勝つ。弱い魔物に装備させて模擬戦をさせてわかった情報として、バザールが後で報告してきた内容だ。
ディストピアの兵士たちが、いくらレベルや練度が高いとはいえAランク相当までの実力しかない。それでも強いのだが、圧倒的に経験が足りていない。
レイリーやS級スケルトン、人造ゴーレムを使った模擬戦をしているため、格上と戦うことで得られる経験は大きいのだが、兵士の本領は集団戦なので訓練もそちら側に偏りがちで、一対一や自分たちが1で相手が複数という戦闘には慣れていないのだ。
一対一でも勝てないのに、数が倍以上もいれば不測の事態は防げるだろう。そもそもディストピアの兵士たちで、持ち逃げするような人間はいないんだけどな。
商会の護衛に関しては、ディストピアに入れる資格を持った人間のみが、シヴァの槍を使った訓練に参加できることとした。
商会の主力であるジェノサイドキャラバンだが、鉄の掟を破る人間が少なからずいるのだ。破った人間は、全員がディストピアに入れる資格がない者で、元から裏切るつもりだったり大金を積まれたからだったりしたのだ。
大金を扱うし魔が差す人間もいたようだが、基本的には前者の2パターンだ。
ジェノサイドキャラバンには、商会の暗部というか俺関係の暗部とでもいえる、鬼人も同行しているおり、裏切りが判明した時点で処理されているため実害は無い。
情報に関しては多少漏れてはいるが、ゴーストタウンで調べれば分かることなので、問題視されていないのが現状だ。各街の情報は場合によって金より価値が高くなるのだが、こちらが稼いだ後の情報なので、反対に相手が損することが多かったりする。
本当に大切な情報は、一部の人間にしか知らされていないのだ。
「シヴァの槍についてはこの辺にしておこう。娘たちが寝そうだ。他に目立った戦利品はやっぱり、メギンギョルドだな。みんなにも渡したと思うけど、大切にしてくれよな」
女性陣は、ちょっとオシャレにアレンジしたリストバンドみたいにして身に着けてくれている。
「Sランクの魔物はダゴンが召喚できるようになったな。他には、キメラが召喚できるようになったくらいだ」
「「「キメラ?」」」
「正確に言えばSランクの魔物ではなく、召喚できる魔物の中から相性のいい物を選んで合成できる、合成魔獣召喚みたいなことができる感じだな」
娘たちがキメラに反応して首をかしげている、可愛いな。おそらく、アニメや漫画で聞いた覚えがあったから反応したのだろう。
そしてこのキメラは、俺たちが予想していた通りダンジョンマスターに協力していた、ダンジョンマスターから奪ったものだ。
俺が条件にあえて『勝ったダンジョンマスターが、バトルに参加したダンジョンマスターの召喚権を2つ選択して奪うことができる』というのを追加してもらったのには、ここに意味がある。
召喚権を2つ選択して奪うことができるというものだと、ダンジョンバトルでメインに戦っているダンジョンマスターからしか奪えないのだ。なので、バトルに参加したダンジョンマスターという風に書き換えてもらったのだ。
この場合はなら、不戦勝で参加せずにDPペナルティーを払えば、回避できたのだが勝つ前提で申し込んできている奴らばかりなので、それは無いと考えていた。
そして、バザールを関わらせなかったのにはここにも意味がある。バトルの参加は準備から適用されると考えていたので、バザールを関わらせていなかったのだ。
そして、まんまと召喚権を奪って、キメラの召喚権を奪ったのだ。計画通り!
ダンジョンバトルのランカーは、このやり方で俺にバトルを吹っ掛けて来たダンジョンマスターだったのだ。
キメラを使ってランカーになっていたみたいだな。アーカイブで見た時に異様に強い個体がいたのもそのせいだろう。
娘たちは、スライムとウルフをかけ合わせたらどうなるんだろ? などと話しているが、さすがに相性が悪くて召喚できないと思うぞ。それに、身近にいるからと言ってその2つはかけ合わせちゃダメだろ。
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