1576話 忘れてた
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あれからしばらく経ったある日、バザールに呼び出された。
庁舎での仕事を終え昼食を食べて、子ども部屋でプラムたちの様子を見ていたときに、バザールから連絡が入ったのだ。緊急ではないが、時間が空いているなら来てほしいとのことだった。
子どもたちと遊ぼうかな? って考えていただけで、他にすることも無かった。綾乃と違ってバザールが無意味に呼び出すことは無いので、何かあったのだろう。
呼び出されたのは、ダンジョン農園にある俺たちがよく集まる部屋だ。
「あ、来たでござるな。少し報告したいことがあるでござるよ。気温は低めに設定して、コタツに入るでござる。ミカンも準備してあるでござるよ。後は、緑茶に煎餅や漬物もあるでござる」
どこの田舎だよ! と言いたくなるようなラインナップがコタツの上に並べられていた。
それより、報告ってこいつに何か任せてたっけ?
「その何か任せてたっけ? みたいな顔はやめるでござる。どうせ忘れていたのでござろう? 前回のダンジョンバトルでゲットした武具の確認が終わったでござる。後、条件なしのダンジョンバトル4つでござるが、まとめてダンジョンで勝負したでござる」
「あ~、そういえば全面的に任せたの忘れてたわ。なんか面白いアイテムとかあったん?」
「そうでござるな。ダンジョンバトルの方は簡単に説明するでござる。相手4人のダンマスが結託して攻撃してきたでござるが、10階に配置したS級スケルトンで全員返り討ちにしたでござる」
S級スケルトン? なんとなくクリエイトアンデッドで作ったスケルトンのことだろうと思っていたら、その通りだった。
1匹だけでは無いと思ったので、何匹配置したのか聞いてみると、5体小隊を4つとキングっぽく育った奴を1体、合計で21体配置したらしい。
Sランク相当の魔物21体とかどんな悪夢だよ。しかもアンデッドなのにヒーラー付き、この世界の回復魔法は、アンデッドでも回復するからな。
でも話を聞くと、それなりに苦戦はしたらしい。
4人のダンジョンマスターが組んでたこともあり、物量で攻めてきたようだ。スケルトンを使うだろうと予測して、聖属性の効果を付与できるアイテムや、光魔法を覚えさせていたようだが、統率の取れていない物量作戦では、1体のスケルトンを殺すこともできなかったらしい。
攻めの方は、重武装させた強化外骨格2式をタンク1体に、アラクネタイプの人造ゴーレムに強化外骨格3式を装備させたのを4体でチームを組ませ、同時に4つのダンジョンを攻略したようだ。
それを聞いて、10階にキングっぽいスケルトンを置いた理由が分かった。バザールの奴、タンクに乗り込ませたアンデッドを操って、人造ゴーレムたちに指示を出していたのだろう。
話を聞いて分かったのは、相手にすらならなかったということだろう。
「で、武具とかアイテムの検証結果でござるが」
目玉は、3つ合わせて装備すると強くなる槍とメギンギョルドの2つだ。槍はSランクの下の上相当までステータス強化、メギンギョルドは神器のようで制限なしの運以外のステータス5割増し。複数身に着けても効果は1個分だけだったようだ。
「メギンギョルド、やべえな。ステータス5割増しか……ちなみにどんな物なんだ?」
メギンギョルドの本体を見せてもらうと、何と言えばいいのか、神話では帯だったと思うが、これはどう見てもリストバンドっぽい。神器と言ってもグレイプニルとは違い、あまり頑丈ではないようで、多少強い武器であれば簡単に破けるそうだ。
なので、装備するときはメギンギョルドを装備した上に籠手などを装備するのが望ましいようだ。多少の改造なら何の問題も無いようで、アダマンタイト繊維を編み込むのも有効的かもしれないとのことだ。
とりあえず、妻たち全員に装備するやつと予備に2つ渡しておこう。
他のダンジョンマスターが聞いていたら、正気を疑う内容だろう。神器はダンジョンバトル上位陣でも、まとめて100個近くとか召喚することは難しいレベルである。それだけ莫大なDPを必要とするのだ。
合計7つの世界……大陸を掌握している俺であれば、1日で十個分のDPが貯まるのでたいしたことは無い。使うことが無くて増えていくだけなので、久々にまとまった消費をした気がする。
俺についてきていたダマに、メギンギョルドを試しで装備させてみたら、もともと高かったステータスが、5割増し怪物が化物に変化した!
ん? 怪物と化物ってどっちが強いんだ?
比べられる物じゃなかったな。元々化物じみていたのに、更に手が付けられないほど強くなっていた。
シュリに装備させたら、やばいことになるな。まぁ、死ぬ可能性が少しでも減るなら儲けものだと思っておこう。
動物型の従魔でも問題なく装備できたので、従魔たちのメギンギョルドを召喚しておいた。思い思いのところに身に着けてもらっている。そう言えば、50個くらい召喚したところで、カラーバリエーションが増えたので、従魔たちには俺が勝手に色を選んでいる。
スライムは装備できるのか? と思ったが、体内に入れることで効果を発揮するようだ。見事にステータスが5割増し、高速移動型スライム! もともと強く速かったニコの動きがおかしなことになっていた。
「面倒だったけど、あのダンジョンバトルは儲けが大きかったな」
「そうでござるな。今回のダンジョンバトルは条件なしでござったので、勝者にDPの付与だけでござったから、アイテム類は一切得られていないでござる」
まぁ、そんなもんだよな。ダンジョンバトルによるDPの付与って、どのくらいもらえてるんだろうな?元々の桁が多すぎて意識してみないと分からないんだよな。
「報告はそんなもんか?」
「肝心なのが残っているでござる。次のダンジョンバトルはどうするでござるか?」
「えっと、確かメモってたな、6が時間を決めた侵攻戦、4が時間を決めた防衛線、5が条件付きの相互侵攻戦か。侵攻戦はまとめられるのか?」
「試してみたでござるが、こちらが侵攻していく侵攻戦はまとめられなかったでござる。防衛線に関してはまとめることができたでござる。相互侵攻戦も問題なくまとめられたでござるよ」
「侵攻戦って、守りを考えずに攻めていく奴だよな? そんなに守りに自信があるのかね? 時間制限って言ってるけど、ダンジョンの大きさ・必要移動距離・魔物の強さで時間が決まるから、どっちが有利とかは一概には言えないんだけどな」
「樹海の中心の山のダンジョンを使えば、数年単位のバトル期限でござるよ」
「相手は強そうだったか?」
「たいして強くないと思うでござる」
「じゃぁ、侵攻戦も任せていいか?」
「問題ないでござる。戦闘の順番は勝手に判断するでござるよ」
これで報告は終わりのようだ。午後なら、空いている時間が多いから、ダンジョンバトルで気になることがあったら連絡してくれ。
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