1573話 驚きの事実再び
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目が覚めるとベッドにいた。よく自分のことを観察すると、服も変わっていた。
1人で意識のない人間を着替えさせるのは、かなり大変だけど複数人いる上に、力まで強いのであれば問題なく着替えさせられるか。
それにしても、一瞬の早業だったな。
いくら高レベルになろうとも、体の欠陥といっていいのか、体が頑丈だったとしても抗えない攻撃が存在するんだな。正直、あそこまであっさり落ちるとは思わなかった。
普通なら苦しいとか感じるんだろうが、そんなことを思う前に落ちたからな。
体は問題なく動くようだな。
手をグーパーグーパーしたり、肩を回してみたりするが、違和感はない。さすがにシンラを助けるために妻たちが動いただけで、俺を殺そうとかしているわけじゃないからな。動けないように毒を盛るなんてことは無いよな。
時計を見ると家に戻ってきてから、おそらく3時間ほどが経過している。って、そう言えば何でシンラたちがあの時間に起きてたんだ?
あまりに酷いコスプレを見たせいで、俺は混乱していたようだ。時間にすると、深夜1時にシンラたちが起きていて、妻たちも普通に相手にしていたな。昼寝とかのタイミングで、あの時間に目が覚めたのかな?
それとも、普段からあの時間に動き回ってることがあるのかな?
まだ朝食には早い、起きるのにも早いってことで、寝よう。
さっきまで寝ていたが、問題なく寝入ることができた。
朝食の時間になり、ミーシャたちに過激な方法で目覚ましをされ、3人を抱えて食堂へ向かった。
いつもと変わらない光景に、いつもと変わらない食事、いつもと同じとはいえ、朝はビュッフェ形式なので、数十種類の中から自分で食べたいものを選べるから、変わらない食事といっていいのか迷うところである。
ビュッフェ形式だったとしても、どうしても食べたいものが無いときは、その日の気分で近くにいる妻か、ブラウニーたちに取って来てもらうんだけどね。
ただ、今日は誰にお願いしても取ってきてくれなかったので、自分でメニューを考えてバランスよく食事をした。
食事も終わり食堂を出ようとしたところで、シュリに捕まった。そして、食堂の隅へ連れていかれ正座をさせられている。
何が起きたかといえば、シンラのことについて怒られているのだ。シンラが喜んでいる間はよかったが、嫌がった時点で何でやめなかったと。
これに関しては、何をどう説明しても理解の得られるものでは無いと分かっているので、下手な言い訳はせずに、精神的に混乱していたため可愛い息子に癒されていたと説明した。
だからといって、許されるわけもなく1時間ほど説教をされた。最後に「子ども部屋へ行き、シンラがあなたのことを嫌がらなければ、これ以上の説教は無し、嫌がったらしばらく接触禁止」と言われ、少し絶望気味に足を運んだ。
今日も元気に追いかけっこの最中だった。
シンラは俺を見つけると、もの凄い勢いで駆け寄ってきて、抱っこをせがんできた。
よかった!嫌われてなかった。よしよし、姉妹から助けてやるぞ! 起きているときくらい、自由にさせてほしいよな。
両脇に手を入れ高い高いをする感じで持ち上げると、喜んでくれた。上下に動かすとさらに機嫌がよくなり、笑い声をあげている。
ただ、シンラが喜べば喜ぶほど両足にかかる圧力が強くなる。強くなると言っても赤ちゃんの力で抱き着いたり、頭突きをしたりしてくるだけなので、痛くもかゆくも……いや、足の指の間を攻めるのはやめてくれ、さすがにそこはこそばゆい。
それにしても、プラムとシオンは何でこんなにシンラのことが好きなのだろうか? もっと大きくなったら、シンラ離れをするのかな?
そう言えば、姉のウルたちと一緒に寝るときもあるみたいだけど、そのときはシンラじゃなくて姉の誰かに抱き着いているんだっけ? 抱き着き癖があるだけかな? それだけだったら、プラムとシオンで抱き合えば解決なのだが、シンラがいないと怒るからな、何なんだろうな。
シンラに許されたことを喜び子ども部屋を出る。最後に、次からはシンラが嫌がるまで、あんなことをしないように注意された。お腹に顔をうずめるのは、始めは喜んでいたので問題ないらしい。たまにやってみよう。
日課というか、仕事をしに庁舎へ向かう。いつもより睡眠時間が短かったので、眠いが午前中しか仕事をすることがないので、終わってから軽く昼寝でもすればいいだろう。
いつものように報告書を読み、全部確認が終わる直前に綾乃とバザールが執務室に入ってきた。あいつらがここに来るのは珍しいので、ビックリしたがそろそろあの怪盗ムキムキの報告があるらしいので呼ばれたんだと。
報告書を読み終わり、俺たち3人は怪盗ムキムキについて話をした。
結論。地球から来た人じゃないか。ただ、コスプレのあのチョイスはありえないと、意見が一致した。あのムキムキ具合なら、もっといいやつがあっただろ! って思う。スーツ着てるのに隆起した筋肉が分かるくらいピッチピチだったしな!
グリエルから報告が上がった。
暗部が捕まえた後に奴隷の首輪を使って、強制的に尋問をしたところ、転生者の自称義賊だったらしい。
文字にすると短いのだが、なかなか濃い内容である。
そもそも転生者って、地球のときの記憶をもってこの世界に生まれ変わったということらしい。そして、義賊として何故ゴーストタウンを狙ったのかと言えば、どこの街へ行ってもゴーストタウンの噂を聞き、羽振りもよさそうだということで、住人から高い税金を巻き上げている! と考えての行動らしい。
義賊と名乗ったことから、こいつの過去に行った覚えている範囲の義賊行為を聞き出し、商会情報網を通じて確認を取ったところ、9割方は義賊行為と判明した。残りの1割ほどは、勘違いの単なる泥棒。
義賊行為だと判明したのは簡単で、名前の上がった街には商会が無い、もしくは商会が撤退した街だったからだ。特に撤退した街では、儲けていた俺の商会にありえないほどの税金をかけて、赤字に転じているところもあったのだとか、どんだけ金取ってんだよ! 普通、優遇すんだろうが!
とりあえず、自分勝手ではあるが住んでいる人たちのために行動したことは評価していた。だけど、考え違いはよくなかったな。街の中で完結している人が多いこの世界で、義賊行為をすれば住人にお金をばらまいても、結局取り上げられてしまうのだ。
それだけじゃなく、普通に暮らしていた人にも重税がかかり、奴隷落ちになったりしてしまった人たちも多くいるだろう。
調べた結果を突き付けられた怪盗ムキムキは、泣き崩れたとか。自分の行為の結果、不幸になる人の方が多かった事実に耐えれずに泣いたようだ。
悪い奴だけど悪い奴ではなさそうだ。矛盾しているけど、こいつはこいつで圧政を引いている街のために動いたのだ。そこは評価しよう。
で、こいつをどうするか? という話になったのだが、暗部預かりとした。暗部で働かせるとか言い出したので、しっかり管理するように伝えた。そして、勘違いだった1割の街には、商会を通じて事情を説明して、盗まれた額の5割増しでお金を渡しておいてもらった。
圧政を敷いていた街にはって? そんなところに払う金は、びた一文無いわ! どうせ出回った金の大半を回収してんだろうしな。
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