1548話 神界に動きあり
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いや~平和な日が続くな。ずっとこうあってほしいものだ。
俺の膝の上で仰向けに寝ているミヤのお腹を、撫で回しながらそんなことを思う。
「はっ!? いかんいかん、これでは自分でフラグを立てているようなものじゃないか! 違うことを考えなければ!」
『グッモーニン「すいません、マジで帰ってください」あんた、なんで絶妙なタイミングでそういうこと言えるのよ? そっちにはわからないはずでしょ! 何かインチキしてるのかしら?』
インチキしてたってしてなくたって、お前には関係ないだろ? どうせこっちの都合に関係なく話しかけてくるんだし。こっちはそれで何度も迷惑を被ってるんだからな! お前の声が聞こえたら、こんな対応になってもしょうがないだろ! 条件反射だよ!
とは言っているが、フラグを立ててしまい必死に消そうとしているところにチビ神からの通信、条件反射の部分は間違ってはいないが、タイミングが合いすぎていて半ギレしてしまった。
『確かにどっちでもいいわね。ちょっと凹むけど、神界でのことを考えれば大したことないもんね』
お前、神界でどんな扱い受けてんだよ? 俺から結構いろいろ巻き上げてるくせに、何かまだあんのか?
『いいえ違うわ。あなたがいい物を寄こしすぎるからって、僻みを受けてるのよ。そいつらの陰湿な攻撃を考えれば、あなたの言うことなんて大したことないわね。冷たくされると凹むのは、誰だって一緒でしょ? その程度よ』
よくわかるようでわからん。俺がお前に物を渡さなければ解決するってことだな。
『ちょっと、それは違うわよ。あんたの寄こす物せいで大変な目に合ってるけど、それがないと私が生きてけないのよ。だから渡さないって判断は間違ってるわ!』
無い胸を張ってドヤ顔している姿が浮かぶな。ってか、渡さなければチビ神は死ぬのか? 良いこと聞いたわ。
『いや、死にはしないけど、本当にそれだけはやめてね。もし送ってこなくなったら、あなたが奥さんたちとニャンニャンしてるときに、耳元で私も声出すわよ!』
それはないわ。マジで萎えそうだ。まぁ、こっちを巻き込まない限り、貢物はやるからそれだけは絶対にやめろよ!
『ちょっとそれは無理かな。ホコたちの件で何柱か消えたけど、主犯格っぽい奴はしぶとく生きてて、すでに次の手を打って来てるのよ。それの連絡のために今回話しかけたから、巻き込まないっていうのは無理かな。そもそもの原因はあなたが規格外だからなんだけどね』
俺が規格外だから、よくわからん神に狙われるってことか? 召喚した私は悪くない! とでもいうってことかな?
『そ、そういう訳じゃないわよ! 今までも規格外なダンマスや勇者はいたけど、ホコを完璧に退けたのは、あんたが初めてなのよ。もともと上位にいた神たちがあなたの存在をよく思ってないのよね。私にはどうにもできないのよ。同じくらいの神たちは、あんたの娯楽で引き込めたけどね』
ふむ、上位にいた神たちっていうのがよくわからんが、力をつけてきたチビ神が目障りで、そのもととなっている俺が邪魔ってことか? 面倒なことに巻き込まれてるな。っし、頭を切り替えよう。で、その上位の神たちは次は、どんな手を打ってくるかわかってるのか?
『わかっているわ。条件付きダンジョンバトルであんたの力を削ぐつもりよ』
はぁ? ダンジョンバトルって、ダンジョンの中の魔物を消費するくらいだろ? それでどうやって力を削ぐんだよ?
『そこで条件付きが生きてくるのよ。ある一定の条件を決めて、それで負けたら勝者が敗者のモノを奪えるルールがあるのよ』
へ~、リスクしかないのに受けるわけないじゃん。何か強制させるルールでもあるの?
『強制させるルールは無いわね。でも、条件付きで勝負を挑まれた場合、拒否したらペナルティーがあるわ。だから、自分に有利な条件で戦うためにいろいろ画策してくるわよ』
ちなみにペナルティーってなんだ?
『DPの徴収ね』
それだけ? だったら受ける必要ないじゃん。いくらでもDP払うよ。腐るほどあるしな。ってか、条件付きのダンジョンバトルを突き付けるための条件とかはないわけ?
『同じ相手に連続して、半年は時間を空けないと再度申し込めないわね。それ以外は、特になかったはず』
じゃぁ、俺は上位の神たちの操ってるダンジョンマスターに狙われるってこと? しかも、自分に有利な条件を付けたダンジョンバトルを挑まれるみたいな?
『その認識で大体あってるわ』
挑まれた方からは追加条件は出せるのか?
『出来たと思うけど、例えば?』
バトルの方法は向こうが決めるかもしれないけど、使える魔物の条件設定とか、たまたまダンジョンの中にいた冒険者の参加禁止とか、自分のDPで用意したものだけを利用するとか、一対一で戦うとか、そういった感じのルール追加はできるのか?
『多分全部できるけど、後の2つはどういうこと?』
自分のDPで用意したものだとまだ抜け道はあるけど、他の神のダンマスが用意した武器だったり魔物を譲り受けた、とかあるだろ? それとか、自分の召喚したものをいったん誰かを経由してまた取得したら、そのルールには引っかからないから、もうちょっと詰めないといけないけどね。
一対一で戦うっていうのは、ダンジョンバトルを見てて気付いたんだけど、あれって空間を繋げてるんだろ? それを他のダンマスとつなげて援軍! なんてことだってあり得るだろ? たまたま俺と戦う1分前にダンジョンバトルがもう1個始まって協力した、とかさ。
『確かに、ありえなくはないわね。やろうと思えばできる抜け道だと思うわ。それを潰すための追加条件ってことかしら? 一応、創造神様に確認とってみるわ』
そだ、条件付きで相手のモノを奪えるってあったけど、その奪えるモノの範囲ってどんな感じなの?
『えっとね。ルールブックには、ダンジョンマスターの能力が及ぶものすべてが対象っぽいね』
なるほど。じゃあさ、俺が持ってるものと相手が持っているものが釣り合わない場合でも、ダンジョンバトルは成立するのか?
『あなたが受け入れれば成立するわね。拒否すればペナルティーだけど』
そだ、奪えるモノはいつの時点で決まるんだ?
『どういうこと?』
能力が及ぶものって言ったけど、それは範囲だろ。今聞いてるのは期間というか時期の話だな。ダンジョンバトルを申し込まれたときなのか、それともバトルが始まった時点なのか、バトルが終わった時点なのか、どこが基準になってるかわかるか?
『それなら、バトルが終わったときに影響の及ぶものって書いてあるわね』
そうなんだな。なら、俺には何の影響もなさそうだな。
『へっ?』
俺の下にはバザールがいるんだぞ。隷属させてるけど、これは俺の魔法であってダンマススキルの影響範囲外だろ? そして隷属下にあるから、すべてを譲渡することが可能で、隷属させてるから命令も可能だしな。事前に全部バザールに預けておけば何の問題もないってことさ。
それに、バザールに全部預けてあれば俺から挑むことも可能だな。
『同時に挑まれたらどうするの?』
それは無理だろ。だってバザールってダンジョンバトルのシステムの外にいるから、こっちから挑めねえんだよ。逆はできるのに不思議だよな。だから、神がどんなに頑張ってもバザールにダンジョンバトルを仕掛けることは無理なんだよね。
『知らなかったわ』
そだな。言ってなかったしな。そもそも1度死んでるからだと思うけどな。俺に隷属したことによって、俺を経由してシステムにアクセスしているかもしれないな。細かいことはどうでもいい、もし相手がせこい真似してくるなら、俺も全力で相手してやるよ。
『あんたが急に頼もしく見えて来たわ』
いつでも頼もしいだろうが!
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