1540話 日常
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「平和だ……」
ここしばらく、人道的ではないことをしていたためか、普通の生活をしているだけでもそう感じる自分がいた。
今いる場所は、子ども部屋。下の子たちもハイハイをはじめいろんなところへ行こうとする様子が見られる。シンラの後ろをプラムとシオンが追いかけ、鬼ごっこをしているように見えるのは、シンラが本気で2人から逃げようとしているからだろうな。
一緒に寝たりするときはあまり問題がないのだが、四六時中一緒にいるのが疲れるのか、自由に動いていい時間になるとすぐに2人から離れて、姉たちのもとに向かってくる。姉たちがいれば、姉たちの誰かが抱っこをしてくれるので、2人から解放されるのだ。
そして今、下の子たちは遊び疲れて寝ている。プラムとシオンがベッドで寝ているのだが、シンラが俺のズボンを離してくれないので、俺の胡坐の中でシンラが寝ている。
こうなると、プラムとシオンがぐずるので姉たちが一緒に寝てくれて、なんとか落ち着いているようだ。
シンラの寝顔がいつもと違い、安らかな顔をしている。プラムたちと離すのはどうかと思うが、一緒にずっといさせるのもどうなのだろうか?
母親たちは、俺の胡坐の中で寝ているシンラの顔を見て、俺と同じようなことを考えているみたいだ。
「シンラちゃん、プラムたちと一緒に寝てる時と違って、眉間にしわが寄ってないわね。やっぱり2人のことが負担になっているのかしら?」
そう心配するのは、プラムの母親であるピーチだ。
「多少負担になっているかもしれないけど、いなければいないで寂しいのかもしれないな」
いつもくっ付いて寝ているためか、顔は安らかなのだが、時々両手がプラムたちを探しているようなしぐさが見られる。なんというべきだろうか?
「なんとも言い難いですね。私たちがしっかりと用を見てシンラが負担になりそうだったら、距離をとらせましょう。ウルたちか私たちでもシンラから離れてくれるし、ケットシーのみんなやスライムちゃんたちにも協力してもらいましょう」
前からも様子をみていたが、今日は1歩踏み込んで対応まで考えて話を終えた。
寝返りをしようとして、俺の胡坐から落ちそうになったシンラを抱きかかえたので、目を覚ましてしまった。
眠い目を開けて俺の方を見てくる我が子、両手を伸ばしてきたので、首に回すように抱っこをしてあげる。
「本当にシンラは、シュウ様のことが好きね」
「シュウ様だけじゃなくて、私たちにもあんな感じじゃない?」
「あそこまでではないと思うけど、確かに寝起きに近くにいると抱っこしてほしそうにするよね」
シンラよ。俺だけじゃなく、他の妻たちにも抱っこをせがんでいるのか? ちょっと残念だが、嫌われていないだけ良しとしよう。一緒に、強く生きるぞ!
しばらくすると、プラムたちも目が覚めたようで、また追いかけっこを始めた。今度は、プラムたち側の後ろに姉たちがついて回る状況になったため、逃げ続けているような感じだ。おっと、ミーシャよ、助言して先回りさせるのはどうかと思うぞ。
闘争から10分、シンラは捕まってしまい。今日は長い時間離れていたためか、プラムとシオンの引っ付き加減が激しさを増している気がする。3人を抱くような形で姉がいるので、シンラに逃げ道はなかった。
悟ったような顔をするのはやめてくれ、みんなの好きなおやつをあげるから……シルキーたちが。
最近体を動かしてなかったな。久々にちょっと、運動しておくか。
綾乃が新作の人造ゴーレムを作ったっていうから、それを相手に少し体を動かそうかと思う。
「見た目は、今までのとあまり変わんないな。中身の材質を替えたのか? それとも……」
俺は模擬専用の装備を身に着けながら、綾乃の準備してくれた人造ゴーレムをみている。今出た言葉が、俺の率直な意見だ。
外見の素材は、好みで使い分けているが、最近の綾乃の傾向として試作品に関しては、装甲を赤銅にさらに何かを混ぜて緋色の見た目にしているから、分かりづらい。多分、外側は変わってないだろうな。
俺が今身に着けているのは、衝撃を吸収するように作られたレザーアーマーだ。正確にはレザーアーマーに補強を加えている。薄めのソフトレザーアーマーを重ねて、間に砂鉄を仕込んである形だ。そのおかげで、打撃系の攻撃であればかなり衝撃を和らげてくれる。
武器なしで格闘戦をするので、このくらいの装備を身に着けておかないと、体中があざだらけになるんだよね。この装備でも、かなりあざだらけになるし、胸にいいのが入ると肋骨が砕けたりするからな。
準備が整ったので、人造ゴーレムと向き合う。
「あれ? 今までのやつより、でかくないか?」
相対して気付いたのだが、今までの人造ゴーレムと比べると、10センチメートル程身長がでかく感じる。
「あ、気付いた? いろんな人造ゴーレム作って、データが増えてきたから、通常の人造ゴーレムもサイズを変えて作ってみたのよ。反対に小さいタイプのすばしっこいのも作ってみたよ」
「その言葉でよくわかった。大きい方は、速度より力を重視しているってことか。大きいは重たい、重たいはパワーに直結するからな。これ、俺の体大丈夫だろうな?」
「一応、顔への攻撃はしないように設定してるけど、かわしたときに偶然当たることはあるから注意してね。念のためヘッドギアみたいなのはつけといたほうがいいと思うけどね」
そういわれて、俺はヘッドギアを改造した防具を装備しに戻った。
「これって視界が少し狭くなるから嫌いなんだよな。でも、いざってときのために着けておかないと、何かあったら妻たちに監禁されそうだからな」
レザーアーマーとくっつけることで、頭部の打撃に対する衝撃を和らげてくれる機構も組み込んである一級品の装備だ。首の動きに多少制限があるが、安全を確保するためにこの程度は仕方がないだろう。
よし、準備も整ったし、久々の人造ゴーレムとの模擬戦をしてみようか!
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