1516話 手詰まり?
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マイワールドに送り込んだと同時に動かなくなった仮定名セラフの下に、最下級の方のスケルトンを召喚してキャスリングで送り込む。
召喚するアンデッドに関しては、ゾンビやレイスもいたのだが、もし仮定名セラフの装備を回収できたとして、ゾンビの触って臭くなったものを、洗っても使いたくないと言うことと、最下級のレイスの場合は、実体化出来ないのでアイテムの回収ができない。
他のアンデッド候補もいたが、消去法で体自体はキレイなスケルトンが選ばれたのだ。
ちなみに、アンデッドの湧くエリアにいるスケルトンは、腐肉を喰っていたり、他のアンデッドと戦っていたりしてキレイではないので注意が必要だ。
俺と綾乃は監視映像を見ながら、バザールはスケルトンと意識を共有しながら、仮定名セラフの様子を観察する。
スケルトンたちが現れても、仮定名セラフはピクリとも動かない。
「そういえばさ、魔物とか人間だったら、ダンジョンの機能で相手の名前や能力、ステータス、スキル、そこら辺を調べる事出来たよね?」
「そういえばそうだったな、ん? 調べられないってことは、やっぱり魔物じゃないってことか?」
「探索を誤魔化すマントみたいなのを、持っている可能性もあるでござるよ」
そうだった。神器でもないのに、ダンジョンマスターの索敵スキルを普通に回避するアイテムが存在するんだから、神器の中にそれの上位的なアイテムがあってもおかしくないよな。
でも、個人的にはロボットやゴーレムで、命令を遂行する手段がなくてスタックしているように見えるんだよね。だけど、偽装の可能性を考慮してスケルトンを送り込んだわけだしな。
バザールが20体召喚したうちの1体を、仮定名セラフに近付けていく。
武器を振ればそろそろ当たる距離になっても、動く様子がない。
手を伸ばせば、触れられる距離になっても動く様子は見られなかったが、スケルトンが触れた瞬間に右手が動き、スケルトンを切り伏せてから、また止まった。
「敵対行動をとると、攻撃される?」
「体に触れる=敵対行動でござるなら、その認識が正しいと思うでござる」
「私もシュウの意見に同意ね。バザール、同じように2~3体近付けて触らせてみて」
追加で2体に同じ事をさせてみたが、結果は変わらず触れた瞬間に切り捨てられた。
「次は、そうだな、武器に触れさせてみてくれ」
体に直接触ったから切り捨てられたのか、それとも所持しているモノにも適用されるのか、そこら辺を調べるための行動だ。
触れられる距離までスケルトンが近付き、武器に軽く触れる。
「動かないな。もう少し強く、動かすくらいの気持ちで触ってみてくれ」
バザールは了解して、意識共有しているスケルトンに指示を出した。
初めは、ちょんちょん触っていたが、反応がなかったので大胆に触り始めた。多少動く程度では、敵対行動にはならないようだ。
調子に乗って、武器を掴み取ろうとした所、体に触れた時と同じで切り捨てられた。続けて2体同じような行動をとらせたが、武器をとろうとした段階でどちらも切り捨てられた。
「敵対行動がトリガーになっているっぽいのは、間違いなさそうだな」
「条件反射みたいに切り捨ててるよね。まるで機械みたいにね」
そうなんだよね。行動が機械っぽいんだよ。与えられた命令を忠実にこなしているようなイメージなんだよね。もしそうなら、放っておいても問題ないんだけど、もし遠隔で指示の変更があったりしたら、動き出す可能性があるよな。そのときに、マイワールドが無事でいられるのだろうか?
「バザール、今度は4体位を近付けて、囲んでから4体の内の1体で武器を取ろうとしてみてくれ」
とにかく色んなパターンを検証するためにバザールに思いつく範囲で色々な実験をしてもらう。
囲んだ場合は、武器を取らなくても敵対行動とみなされ、4体がほぼ同時に切り捨てられてしまった。服のような鎧のような部分に触れても、武器と同じような反応だった。羽に触ると体に触れた時と同じで問答無用で切り捨てられた。
武器を持って近付いた際には、多少距離があっても目測で10メートル程まで近付くと切り捨てられた。
「機械的な反応っぽいよな」
「そうでござるね。条件を満たすと排除する感じでござるな」
「魔法なんかはどうなの? レイスは非実体だから除外してたけど、攻撃は出来るでしょ?」
綾乃に言われて、まだまだ出来ることがあると分かり、色々試していく。
魔法は、発動しても反応を示さなかったが、仮定名セラフにあたると弾かれてしまう。そして、魔法を撃った奴はすぐに切り捨てられた。
ボウガンを使って攻撃をさせようとしたが、有効射程範囲に入るとすぐに切り捨てられてしまう。
「どういう基準で判断しているかいまいち分かりにくいけど、敵対行動というよりは敵意行動の方が近いかもしれないな」
殺されるという意味では大きな違いは無いけど、敵対行動なら武器に触っても判定がありそうだしな。武器に触れることが敵意行動では無い、って言うのもよく分からん気がするがって、どっちでもいいな。
「基準なんて、どっちでもいいじゃない。相手がこっちを殺しに来るって意味では変わりないんだからさ。それより、あいつが他に何か持ってないか、確認できないの?」
「そういわれてもでござる。調べるにしてもでござるよ、ポケットのようなモノは見つからないでござるし、アクセサリーのようなモノも付けていないでござる。あの服だか鎧ふだか分からないモノの下にあるのであれば、確認できないでござるよ」
少し、手詰まり感が出て来てしまったな。
「確認したいのでござるなら、シュウ殿に頼んでドッペルでも用意してもらうといいでござる。それで自分で確認するでござるよ!」
綾乃が無茶を押し付けるので、バザールが若干キレていた。挑発のようなそのセリフに、綾乃は乗っかり俺にお願いをしてきた。
「綾乃、バザールは何でもないような顔をしているけど、意識を共有している魔物が切られるっていうのは、結構きついことなんだぞ。それよりも深くつながる、ドッペルの乗っ取りは負担がデカいけどいいのか?」
「女に二言は無いわ! バザールに出来るんだったら、私にだって出来るわよ!」
半分以上意地になって、俺のセリフに被せるように返事をしてきた。大丈夫だろうか?
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