149話 救世主が現れる
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現在の時刻、二十三時。ピーチの指揮のもと準備が進んでいた。リブロフの街から約五〇〇メートル程離れた場所に天幕を張って、その中の一番上座に座らされている。俺を置いてどんどん話が進んでいるのだ。
あっ、今日の照り焼きチキンバーガー美味いな。ポテトもいい感じだし最高だ。それと今日の唐揚げ、ネギ塩だれがかかってたり、甘酢あんかけがかかってたりしてて飽きないわ。
シルキーたち、日に日に俺の好みが埋められていく感じがするな。それにしても、今日使ってる鳥ってなんだろ? いつもと違う感じがするんだ。後で聞いてみよ。
今何してるって? 決まってるじゃん、作戦会議だよ! 本当に今回俺のいる意味ないんだよ! 口出そうにも、娘たちが一致団結しているせいで怖いの。この状況で色々言える勇気は俺にはない!
ちなみに話の流れはこんな感じ。
どう攻めようか
⇒正面から突破でいいんじゃない?(脳筋発想、ちなみにこれ現場の近くにいてイラついてるシュリの発言)
⇒あの臭い人の親ならボコボコにしよう!(これシェリル)
⇒ボコボコにするのは決定事項です、どこからどこまでをボコボコにするか考えてるんですよ(これはピーチ)
⇒色々考えるのめんどくさいから襲って来た人と、ヒキガエルの関係者をボコボコでいこうよ~(イリア)
⇒それわかりやすくていいですね、みんな他に良い案ありますか?(ピーチ)
⇒無いようなのでこの案で行きましょう(ピーチ)
えっと、これが作戦会議って言えるのだろうか? 言いたいことを言いあって、一番楽な方法を決めた感じだ。これは俺の作戦会議よりひどい。俺も色々考えるのはめんどくさくて嫌いだが、これはひどいと思わざるを得ない。
でも怖くて意見できない俺は、シルキーたちが用意してくれた最高の食事に逃避してたのだ。いつもは俺を立ててくれる、綺麗だったり可愛かったりする娘たちなんだけどな……どうしてこうなった?
「ご主人様、私たちから攻めますが、攻勢防御方法で行こうと思います。基本は私達からは手を出しません。敵対行動をとらない投降は無条件で受け入れ、攻撃が認められた個人・集団は全力で排除します。攻撃行動をとった際は、その後投降は認めず一切遠慮することは無い方針で行きます」
ふむ、それは当然か。もとより人数はこちらの方が少ないんだ、危険を承知で捕虜をとる必要はないな。集団っていうのはどういう意味だろ?
「攻撃を開始する前に風魔法を使って街全体に、戦争を始める旨を伝えます。その際に、戦闘行動をとったものには一切容赦するつもりはない。一度投降した後の戦闘行為は、近くにいる人間を巻き込んで粛清対象となる旨を伝えようと思います」
なる程、そういう事か。投降する前は個人を対象にするが、投降後の戦闘行為は周りを巻き込むっていうのは、互いが互いを監視する意味合いだろう。
人数の少ない俺たちには有効な方法だと思う。戦闘能力に関しては何の問題もないから、排除するのは簡単なんだよな。でも見分けるとなると一気に難易度が上がるからの方法なんだろう。
「何か問題はありますか?」
「ん~問題というより疑問だね。報告を受けた内容は理にかなっているとは思うんだけど、先ほどの作戦会議でどう解釈したら、今の様な報告になるか疑問でしょうがないんだが」
「ご主人様? きちんと話し合った結果があの内容ですよ? 何聞いてたんですか? 寝てませんでしたよね? そういえば食事に夢中になってましたね、そのせいじゃないですか?」
「あ……そうですか……ごめんなさい」
絶対におかしいだろ! 確かに食事に夢中になってたけど、絶対に内容の話なんてしてなかったぞ! ボコボコにするとかしか出てなかったのは覚えてるぞ!
「ご主人様、何かお疲れのようですね。今日は私が指揮をとりますのでゆっくりしててください。カエデ様、レイリーさん、ニコ、ハク、ギン、クロ、ソウ、コウ、皆さんにご主人様の護衛は任せます。
私たちは不届き者たちを殲滅してまいりますので、よろしくお願いします。ミリーさんは、門からこの天幕の間に待機して近付く物は全部排除でお願いします」
「え? 全部ですか?」
「えぇ、例外はありません。ご主人様に危険が及ぶ可能性は、可能な限り減らします。なので、近付くものすべてです」
「了解しました」
ピーチの迫力に負けたミリーは、頷くしかできなかった。
「という事で、すべて決まりましたので早速しかけますね。ご主人様はマップ先生で見守りください。では、行ってまいります」
俺が置いてきぼりだよ、戦場でも意見でも。
「絶対に無理はしないようにね。こんな事で怪我するとか絶対だめだからね!」
現在の時刻〇時、日が変わってますね。
ピーチが魔法組に何か指示をしていた。
「え~リブロフの街の皆さん、あなた方の国の王に冤罪で国家反逆罪にされた私たちが今から攻め入ります。目標はこの街の領主、敵対行動をとった者には容赦いたしません。戦闘の意志が無いのでしたら、投降してください。近くの広場に集まっていただきます。
なお、投降後の敵対行動は、その広場に集まっている人たち全員が排除対象となりますので、周りの人間の行動をしっかり見張っておきましょう。
最後にお伝えしておきます、リブロフの領主関係者の投降は認めません、全力で抵抗してみてください。すべてを蹴散らしてさしあげます。私たちの八つ当たりに付き合ってください。恨むならライチェル王国国王と領主の息子を恨んでください。繰り返します……」
あ~馬鹿正直に俺たちの事を説明する必要もないもんな。国王にはめられてイラついています。八つ当たりしますけど恨むなら国王とヒキガエルをってことか、上手く考えたな。
あ、宣言が終わったようだ。マップ先生を拡大してみると全体が把握しにくいので、全体を見渡せる二〇〇型の巨大液晶を設置して、マップ先生と連動させている。電源はダンマスのスキルを使って準備している。
他にも五十型の液晶も複数用意しており、娘たちのタブレットと直結させて拡大して見れるようにしている。といっても、マップ先生の映像でダンジョンの中なので、光点で娘たちの位置を確認できるようにしているだけだ。そのうちダンジョンの中じゃなくて、見れるようにならないかな~チラッチラ
ドゴーン!
あ、これは城門が吹き飛んだ音だな。シュリがちょうどその位置にいる間違いないな。城門の中には敵がわらわら沸いていた。兵士だろうか? 城門を一撃で吹っ飛ばせる相手に向かってくとか、怖いもの知らずなのか? 数がいれば勝てるとでも思ってるのだろうか?
あ~あ、言わんこっちゃない。すごい勢いで吹っ飛ばされた敵を見て、おそらく逃げ出そうとしたんだよな。散らばりそうになったところで、急激にシュリに引き寄せられてるな。多分これは、チェインバーストでも使ったんだろう。力に任せて引き寄せている感じだ。見る感じ全員動かなくなったな。
オォーーー!!
街の方から何人もの人間が叫んでる声が聞こえてきた! まさかリブロフの街って愛国者が多かったりするのか?
「ピーチ、何か大きな声が聞こえてきたけど大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですが、少し問題が。どうやら兵士たちを倒した私たちを見て、歓声を上げている様です。中には救世主様だ、と言っている子供もいますね。いきなり外に出てきてしまっているのですが、如何すればいいかと、敵対行動でないだけいいと思いますが」
「そうなのか? とりあえず、敵と間違えるといけないから城壁の近くに行くように誘導したらどうかな? もし離れても近くに来るようだったら、敵対行動とみなして排除することを念を押しておけばいいんじゃないか?」
「では、そうさせていただきます」
ヒキガエル親子は相当の悪政をしていたのか……もし問題なさそうならジャルジャンに移住できるように手配できればな。
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