1483話 変化の兆し
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子ネコが淡く光った後に現れたのは、全く変わらない姿の子ネコだった。
本当に成長が始まるのだろうか? キョトンとした顔をしている子ネコは、どうでもいいかの如く遊び始めた。何かが変わったのだろうか? よく分からないが様子を見ていこう。
10分位遊んだら疲れたようで、俺のあぐらの中に入って来た。1分もしない内に寝てしまう。さすがネコだな。でも、これで動くわけにはいかなくなった。
頭や背中を撫でながらブッ君でのんびりと小説を読むことにした。
ウルたちがネコの寝る姿を見て自分たちも寝てしまったので、小説を読んでいるのだ。いつのまにか大きくなったダマにブラッシングをしていたのだが、いつの間にか枕にされてるって感じだな。あのお腹をベッドに寝るのは気持ちよさそうだな。
大きくなっているから4人並んで気持ちよさそうだな。
しばらくした頃に、急に子ネコが苦しみ始めた。
どうしていいのか分からずオロオロしてしまう。子ネコの声で娘たちも起きてしまうが、一緒にアワアワしてしまった。
もしかして、ほとんどリスクがないって言ってたけど、少しだけの確率を引き当ててしまったのか? おい、チビ神! どうしたらいいんだ?
『んぁ? ジュルリ……あ~猫が苦しみ始めたのね。それは今まで成長してなかった弊害ね。あれよ、欠損部位を元通りにする時のような感じね。あの時は、痛みがないかもしれないけど、今回の場合は成長痛が酷いかもしれないわね』
おうふ、成長痛なのか。じゃぁ、どうすればいいんだ?
待てよ、欠損部位と同じだとすれば、栄養失調になるんじゃないか? ヤバいぞ、これだと本当に死んでしまうじゃないか!
まずは、体の痛みを抑える必要があるな。こんなに暴れている状態じゃ、対応することもできないぞ。
痛みを抑えるか。
「ツィード君、いたら出て来てくれ!」
俺がそう呼ぶと、声に気付いたブラウニーが探し出してきてくれた。
「ツィード君、この子ネコの痛みを抑えてくれ。闇魔法に何かそんなのがあったよな?」
「了解~。何で苦しんでるか分からないけど、魔法かけておくね」
痛み止めというと痛みが治まったようで、少し苦しそうにしているが何とか動けるようだ。
「ブラウニー、栄養とれる食事ってあるか?」
「子ネコはさすがに難しいかと」
どのくらいの栄養が必要か分からないが、この状態の子ネコに食事を食べさせることは無理だと言われた。言われてみれば、その通りだな。普通のネコも食事が早いわけじゃないしな。
何かいい方法はないか?
「とーたん、魔法薬はだめなの?」
ミーシャがそんなことをいってきた。魔法薬、確か栄養剤の魔法薬があったよな。何処にしまったっけな? とりあえず、収納の腕輪の中を確認してみる。
久々の幸運3セットの効果か、すぐに目的のアイテムが見つかった。
でも、これをどうすればいいんだ? 点滴するわけにはいかない。ポーションと違い万能薬系の魔法薬と同じで体の中に入れないと効果がないのだ。口に中に入れる必要があるんだな、注射器が頭に浮かぶ。点滴に絡んで針からイメージした。
注射器の針を外してシリンジの部分だけを使って、子ネコにミルクを与えていた動画を思い出した。それと同じように子ネコを抱いて、口に少しずつ栄養剤を入れていく。ぺろぺろと先を舐めているので、問題はなさそうだ。
小さな体で200cc以上の栄養剤を飲んだ。さすがにそんなに飲めないだろうと、途中で止めようとしたが、どうしても欲しがるので欲しがらなくなるまで飲ませた。
本能か分からないが、必要な栄養を理解しているかのように飲み続けたからな。
栄養剤を飲んだ後は、ぐったりとしたように眠ってしまう。苦しそうにしているから、優しく撫でてあげる。
眠りについた頃はプルプルと体が震えていたが、次第に震えが収まり穏やかな寝息になる。
寝ている態勢を崩すのは少し心が痛んだが、さすがにこのままの姿勢で寝させておくのは良くないと思ったので、ウルに頼んで子ネコがいつも寝ているベッドを持ってきてもらった。
いつもすっぽり収まっていたのに、今は少し溢れている。え? もう大きくなってるのか!?
窪みを少し大きくしてそこに入るようにそっと置いてあげる。
自分の臭いのするベッドで安心したのか、さらに安心したようで安らかな顔でスヤスヤ眠っている。
娘たちもやっと落ち着いて、ぐったりとしている。何かしたわけじゃないけど、あせった、それだけで疲れてしまったのだ。スライムたちが遊びに来ていたので、ベッドになるようにお願いしてその上に娘たちを寝かせた。
こいつらなら、持ち上げなくても移動してくれるからな。
ミリーたちを呼んで、今回の話をしっかりしておこう。ブラウニーにミリーたちを呼んできてもらい、事情を説明した。
「……ってことで、チビ神のおかげで正常に成長できるようになったよ。みんなも相談してくれていたみたいだね。本当に迷惑をおかけしました」
「シュウ君も反省しているみたいなので、これ以上は何も言いませんが、絶対に同じようなことはしないでくださいね」
軽く注意をされて、念押しをされてしまった。
「この子たちをそろそろ部屋に戻そうか。そういえば、下の子たちの様子はどう?」
「プラムちゃんたちは、元気にはしゃいでいたわよ。私たちも2回目だから、慣れたものね。みんな動じなくなってるし、ケットシーたちが優秀だから全く苦労していないわ」
最近は子ネコのことがあって必要時以外は、あまり様子を見に行けていなかったので聞いてみたら、元気にあばれている……と言うのは語弊があるが、スクスクと育っているようだ。
スライムたちにお願いして、娘たちは子ども部屋へ、子ネコは俺の部屋に連れて行くか。まだまだ予断を許さないかもしれないからな。ツィード君には、何処にいる分かるようにしておいてもらっている。
今日は特に子ネコから離れられないので、食事は部屋に持ってきてもらうことにする。娘たちが起きたら、自由に部屋に入ってきていいように伝えておく。
子ネコは時々目を覚まして、体の痛みを訴えたのでツィード君に痛み止めの魔法をしてもらっている。
起きるたびに栄養剤が欲しいと訴えてきたので、シリンジを使って飲ませた。
次の日の朝、少し逞しくなった子ネコを見て驚いた。
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