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148話 反逆者なら反逆者らしく

アクセスありがとうございます。

 フェピーに相談しに行った帰り道、いつリブロフの街に襲撃をかけるか悩んでいる。襲撃の手順は簡単だがタイミングはいつがいいのかなんて全くわからない。娘たちも呼び寄せないといけないよな。向こうにいる娘たちがいきなりここに来ても不自然なので、地下に過ごせる空間を作るか。


 襲撃をかける時に地下から通路を伸ばして、外で合流するようにすれば何も問題ないな。とりあえず、娘たちを呼ぶか。


「シュリ、家に帰ったら向こうの街にいるみんなにこっちに来るように連絡して、クロとギンにリビングアーマーも全部連れてくるように言ってくれ。奴隷一家の人たちは、引き続き四大精霊や他の精霊から勉強や訓練をしてもらうように言っといて。ミリーは好きな方でいいと伝えておいてほしい」


「了解です。シルキーさんたちはどうしましょう?」


「あ~そうだったな、スカーレットにブラウニーたちの様子を聞いてみるか。問題なければ向こうはブラウニーたちに任せてみんなにはこっちに来てもらうか」


 家に帰ってシュリに連絡を取ってもらいスカーレットに状況を聞くと、もともと高いレベルで家事技能があったようで特に苦労することもなくキッチンの使い方や味付けについて覚えたようだった。


 そっちの家はしばらくブラウニー達に任せて、スカーレット達はこっちに来るようにお願いした。娘たちが全員そろったところで作戦会議をする予定だ。


 翌日のおやつの時間あたりに娘たちが到着した。ミリーは従魔四匹を連れてジャルジャンに来ていた。改装した地下室に集まってもらい、久々の再会と移動お疲れ様の意味を込めて豪華なおやつを用意してもらった。


 どこの世界でも女の子は甘いものが好きなのだろう。ケーキバイキング形式にしてみたのだ。少しずつ色々なケーキが食べられるように工夫されていた。他にも、実験的に作ってみたケーキもいくつか出てきた。


 もちろん俺の好きなチーズケーキも色々な種類が出てきた。シビルには紅茶のポットと各種ケーキの盛り合わせを差し入れで持って行った。


 ミリーの従魔四匹と俺の従魔六匹には、ミドリ特性ステーキを準備してもらった。全員すごい勢いで肉を食べ終え、もっと無いの? といった目で訴えてきた。さすがにステーキは用意してないが、鶏の頭や骨の水煮を出してあげるとコリコリと美味しそうに食べていた。


 クロたち狼組は体のサイズが大きいので、大量に用意をしてあげた。全員が満足するまで食べ、一息ついたところで本題に入ることにした。


「近々リブロフの街を攻め落とします。簡単に言うと、リブロフの兵士がジャルジャンの商人を襲って皆殺しにして、盗んだ商品をジャルジャンで売って荒稼ぎしてました。


 人が生きるのに必要な塩をリブロフの商人が暴利で売りさばいてたから、ちょっとお灸をすえて慰謝料をふんだくったけど、リブロフのせいで奴隷に落ちた人たちの大半がリブロフに買われてってしまったので、取り返すために戦争します。


 リブロフの領主の嫡男ヒキガエルが、娘たちに手を出そうとしてたし、他にも色々ムカつくこともありましたので怒ってます。ライチェル王国の街の一つなので、ついでに攻め滅ぼすことにしました。リブロフの住民の皆さんには何の恨みもありませんが、ライチェルの国王とヒキガエルのせいという事で諦めてもらいましょう。


 ですが、一応何の罪もない住民には極力怪我をさせないようにしたいと思ってます。作戦が無いのでみんなに考えてもらおうかと思って、話を聞いてもらいました。何か意見ありますか?」


 俺の発言の後にシュリがボソッと「そのヒキガエルはご主人様を侮辱しました」と呟くと、のほほんとしていた空気が、一気にピリピリしたものに変わった。特に反応を示したのが、居残り組だった年中・年長組のメンバーだ。若干殺気も溢れ出ている。怖いよ君たち。


「ご主人様、この戦争の目的は、第一にご主人様を侮辱したヒキガエルへの天罰、第二にご主人様を陥れたライチェルの国王への反撃、第三にジャルジャンで買われた奴隷の確保、第四にリブロフの街の壊滅と思ってよろしいですか?」


「えっと、ピーチ、奴隷の確保が第一だよ。それに侮辱したヒキガエルはこの街でもう処刑されたしな」


「そうですか、ヒキガエルはもういないのですね。ではヒキガエルの実家に責任をとってもらいましょう。皆さん、完膚なきまでに叩きのめして領主の家は更地にしてあげましょう」


 俺の話を聞くつもりがないのか、脱線したままピーチがみんなを先導していた。


「少し落ち着け! どうやって攻めるかを考えてるんだって」


 シェリルが爆弾を投下する。


「あの臭い人、ご主人様を殺そうとしたからシェリルもすごいムカついたの。本当ならシェリルがぶっ飛ばしたかったの!」


 ガタッ


 娘たちが示し合わせたかの如く無言で立ち上がり部屋を出ていった。出ていく途中でピーチが一緒に来ていた、シルクちゃんとツィード君を呼んで何か耳打ちをしていた。


 俺だけが部屋に取り残された、ミリーや従魔たちも一緒に出ていってしまった。


「えっと、どうしたらいいんだろ」


 途方に暮れてると、戦闘服に身を包んだピーチが戻ってきて「出発の準備が整いました」と言ってきた。えっ? 今から行くの? 作戦は?


「ご主人様、今から行けば深夜ですが関係ありません。私たちは国家反逆者なのですから。いちいち相手に合わせる必要もありません。それに作戦なんて必要ありません。正面から叩き潰せばいいだけです」


 ピーチもそういう考えなのか、この瞬間にリブロフの街は明日の朝日を見ることなく攻め落とされることが確定した。有無を言わさず馬車に連れていかれた俺は、心の中でドナドナが流れていた。心境は全然違うのになぜか聞こえてきたのだ。


 地下道は作っていなかったがいつの間にか出来上がっていた。おそらく光と闇精霊の仕業だろう。ピーチに耳打ちされて若干ひきつった顔してたもんな。ピーチにすごまれて言われたら断れないよな。分かるぞその気持ち、娘達の中で一番怖い?のがピーチだろう。


 何というか、俺たち(シュウがそう思っているだけで、本来はシュウ本人のみ。娘たちが侮辱されたりしても怒るが次元が違う)が関わると採算は度外視で徹底的にやるんだよね。


 俺は馬車の特等席に座らされ、ギンが俺のソファー代わりになる様に寝そべっており、隣にはソウとコウがちょこんと座っている。これもう動くなってことだね。俺が知らない間に娘たちの休む順番も決まっておりキッチン馬車では、簡単に食べられる物が量産され始めていた。


 こんな時でも食にこだわるシルキーたちは、俺の好きなものを中心に作っている。唐揚げやチキン南蛮もラインナップに入っている。


 サンドイッチやハンバーガーは当たり前のごとく数種類準備し始めていた。ピーチが指揮を執っているせいか、時間が止まる収納の腕輪があるためか、歯止めの利かない状況になっている気がしないでもない。


 門を抜けしばらくしたところで居残り組の馬車と合流し、沈みかけている夕日を眺めながら俺は寝る事にした。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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