1469話 従魔たちの訴え
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俺は今、従魔たちに囲まれている。クロとギンなんかは、グルルルと俺のことを威嚇すらしている。本気でやり合えば、俺が勝つけどこいつらが怒っている理由は、俺にもよく分かるので甘んじてこの扱いを受け入れている。
先日作ったモフモフパラダイスだが、娘たちが気に入ってしまったのだ。よく従魔たちのエリアに出没していた娘たちは、モフモフパラダイスに行き先を変えてしまったのだ。
飽きたらって言ったら言葉は悪いが、しばらくモフモフパラダイスに居座れば戻ってくるのは分かっているが、だからといって従魔たちが我慢できるかどうかは別であった。頭でわかっていても、どうしても娘たちにかまってもらいたいと思うのが、従魔たちなのだ。
誠心誠意謝って、娘たちに従魔たちもかまうようにお願いするということで、従魔たちは牙を収めてくれた。怖かったり、危なかったりするわけじゃないのだが、圧が凄いんだよね。物理的な力がないのに、めっちゃ圧迫される感じ? それがかなりすごいのだ。
従魔たちの「すぐに行けよ」と言う視線を背中に受けながら娘たちの下へ向かう。
娘たちは自分たちの部屋で、弟妹たちのお世話を母親と一緒にしていた。
「ウル~、ミーシャ~、スミレ~、ブルム~、ちょっといいかな?」
お父さんだ! とか、とーたんだ! とか言って、俺に走って近付いてきてくれた。それにしても、ミーシャたちはいつになったら「とーたん」から「お父さん」になるのだろうか? 舌っ足らずな感じが可愛いけど、さすがにそろそろ、発音が良くなってもおかしくないのでは?
「今日は、お話しておきたいことがあるんだ。最近、モフモフがいっぱいいる場所によく行くようになっただろ? 別に行くなとは言わないんだけど、従魔たち、クロやギンたちが寂しがっていてな。あいつらもみんなのことが好きだから、焼きもちを焼いているんだよ」
そういうと、娘たちの顔が苦笑したように見えた。
「やっぱり、そんなことになってたのね。だから言ったでしょ、あのエリアの動物が可愛いのは分かるけど、従魔ちゃんたちが寂しがるからほどほどにしようねって。みんなだって、従魔ちゃんたちがかまってくれなくなったら嫌でしょ? それと同じなのよ」
少し笑っていたミリーが、4人の頭を撫でながら言い聞かせている。
「正直、最近俺は、あいつらに冷たくされているから、よく分かるんだ。お前たちが産まれてから、お前たちにずっとべったりだからな。自分に都合のいい時ばっかかまえって来るんだぞ。変わらず来てくれるのは、ニコだけなんだぞ」
ちょっと半べそになりながら、娘たちに訴える。大の大人がみっともないと思うが、寂しいのだから仕方ないじゃないか! そんななか、癒しを求めてモフモフパラダイスを作った俺は、絶対に悪くないと胸を張って主張する!
「こらこら、シュウ。さすがにそれはドン引きよ。スミレたちだって、分かっているけど、新しい可愛いものを見つければこうなるのは理解していたでしょ。見た目はほとんどに無かったけど、性格は間違いなくあなたの娘たちなんだから」
「そうね、見た目はみんな母親似なんだけど、性格は確実にシュウに似ているわね。それに悪い意味じゃないけど、一緒に住んでいるだけでウルの性格も、シュウみたいになってきている方が驚きよ。ウルはどう思ってるのかな?」
「お父さんに似ているのは、嬉しい。娘として、繋がりがあることは本当に嬉しいです」
よくできた、いい子だな。そんなウルは、よしよしと撫で繰り回してあげよう!
言葉では、止めてとかいうのだが、嬉しがっているさまはみんなが分かっている。ミーシャたちも撫でてほしいのか、好き! とか言ってきた。しょうがないなお前たち! なでなでしてやろうじゃないか!
「ほらほら、そろそろ落ち着きなさい。ウル、今日はみんなを連れて、従魔たちのエリアに行ってきなさい。あのこたちは、シュウの従魔だからあなたたちを好きっていうわけじゃないのよ。あなたたちがあなたたちだから、好きなの。寂しい思いをさせたんだから、いっぱい遊んできなさい」
本当は、勉強の時間なのだが、母親たちも俺の従魔たちをほったらかしにして、モフモフパラダイスに入り浸っていることを危惧していたようだ。今日は勉強より、スキンシップをして来いということである。
俺も一緒に行こうとしたが、私たちがついていくからそれにシュウは、今回はいかない方がいいわよ。と忠告を受けた。どういうことだろうか?
理由を聞こうと思ったが、娘たちの準備が終わったので従魔たちのマイワールドに向かうようだ。娘たちの準備と言っても、愛用のブラシを準備しただけなんだけどね。餌はブラウニーたちにお願いすればすぐ出てくるので準備する必要は無い。
子ども部屋にポツンと取り残されてしまった俺、どうしようか悩んでいると、泣き声が聞こえてくる。プラムたちの誰かが泣いたのだろう、様子を見に行ってみるかな。
俺が移動する間に、泣き声でみんな起きてしまったようで、3人の泣き声の三重奏になってしまった。それもすぐに治まったので中の様子をみる。3人そろって母親たちの母乳を飲んでいるようだ。
「あら? シュウ様? ウルたちとどこかに行ったと思ってました。何か用事でもありましたか?」
「そういうわけじゃないんだけどさ……」
そう言って、さっきあったことを話したら、笑われてしまった。
「昔から、思い付きで行動する癖がありますよね。それで私たちも苦労していますし、もう少し、お考えになってから行動に移した方がいいかもしれませんね」
「善処します。そういえばさ、プラムたちは大体食事の時間とか一緒なのか? 排泄のタイミングもほとんど同じで、びっくりしてたんだけど……あんなに揃うものなのかな?」
「ん~排泄の方は、たまたまだと思いますよ。今日だって、みんな違うタイミングで大きい方していますからね。でも、食事は大体一緒ですね。理由は分からないですけど、お腹が空くタイミングは同じみたいなんですよ」
3人そろって泣くときは、大体食事の時間らしい。そういうものだということにしておこう。1人で3人の世話をするなら、ズレてほしいと思うだろうけど、3人の子に3人の親なら、気にする必要もないのかな?
プラムたちの様子を聞いてから、俺は自分の部屋へ戻った。
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