1465話 正体不明の相手
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特別な日を祝ってからしばらく過ぎたある日、久しぶりに体を動かすために俺たち、俺とダマ、シエル、グレンの1人と3匹でワイバーン家族の住んでいる、樹海の中心にある山に登っている。
ワイバーンの家族から、山の中腹に何やら変な魔物が住み着きだして、ちょっかいをかけられているらしい。ワイバーン家族がちょっかいかけられているなら、撃退できるはずなのにそれができていないらしい。
変な魔物って何だろうな? ワイバーン家族程の強さがあれば、大抵の魔物には負けないはずなんだけどな。そして、姿を確認できていないっていうのも、変だな。
と、よく分からない魔物を探すために、山に出向いているのである。
何故かマップ先生で検索しても見つけられないので、現地に出向き調べる形だ。
あのマントと同じ効果のある何かかな?そもそも、魔物だったらそんな物使わないよな。なんだろな?
「ダマ、今回の変な魔物って何だと思う?」
『ん~そうですね。まず本当に魔物かどうか怪しいですよね。マップ先生で見つけられない魔物がいるとは思えないのです。マップ先生なら、魔物でも人間でも、生物であれば見つけられるはずですから』
「そう言われれば、そうだったな。あのマントの件があったから、魔物たちも何かしらあるんじゃないかなって思ってしまってたよ。でも、そう考えたらワイバーン家族にちょっかいをかけている、何かって本当に正体が分からんな」
『自分は、1つだけマップ先生に見つからない、物に見当は付きますが、それがワイバーンにちょっかいをかけれて、正体が分からないってことは無いんですよね』
「それって何?」
『魔法で作られたゴーレムですよ。属性魔法でもクリエイトゴーレムでも、魔法で作られたゴーレムであれば、マップ先生に映らないですよね』
「そう言われれば、そうだったな。でも、属性魔法で作ったゴーレムだと、さすがにワイバーンにちょっかいかけられないよな。クリエイトゴーレムで人造ゴーレムを作れるのって、俺か綾乃かバザールの3人だけだしな」
『ですよね、だから正体が分からないってことは、ないと思うんですよ。もしかして、新種の魔物ですかね?』
「魔物とマップ先生、ダンジョンマスターのスキルに関わってくるから、見つけられないってことはないと思うんだけどな」
『スキルにひっかからないかもしれないので、目視や音だけでしか判断できないかもしれませんよ。そろそろ、気を引き締めましょう』
「オーケー、シエル防御を任せるぞ。グレン、上空に上がって警戒。ダマは、鼻も使って俺と一緒に警戒するぞ」
俺たちは即座に戦闘態勢に入れるように警戒を始める。
ワイバーン家族たちから聞いた話では、そろそろちょっかいをかけられた場所だったはずだ。山のふもとから登ってくると、急に木が大きくなるラインがあって、そこからもう少し上に行ったところでちょっかいをかけられるらしいのだ。
1時間程歩き回ってみたが、それらしき存在は見つけられない。ちなみに慎重に進んでいると言っても、その移動速度は山の中で足場も視界も良くない場所でも、マラソン選手の倍以上のスピードで進みながらの探索である。
男子のマラソン選手が早い人で2時間5分ちょっと、時速に換算すると20キロメートルちょっと、人類最速の100メートルの選手で時速約37キロメートルって話だったっけな?
それより速いスピードで探索したので、そこそこの範囲を探索したのだが、それらしい形跡もなかった。
こんなに広い樹海の山ではそれでも広い範囲ではないので、探索を継続する。
「グレン、もう少し上ワイバーンたちが飛びそうな高さで偵察してみてくれ。俺たちの上じゃなくてもいいからさ、よろしく」
それから3時間、グレンの鳴き声が聞こえた。
『主殿、グレンの鳴き声です。スピードを上げますぞ!』
鳴き声は聞こえたのだが、何処から聞こえたか俺には分からなかったが、ダマは問題なく場所を突き止めていた。
今までの倍以上の速度でダマが走り出した。
平地なら分かるけど、山の中、木の間でこの速度はヤバいって。
俺は雷の付与魔法で意識を加速させる。それで何とか気にぶつからず、木の根に足を引っかけることなく山の中を駆け抜けることができた。
20分経とうかとしたときに、グレンが何かと戦っている様子が気の合間に少しだけ見えた。
グレンは火を吐いて攻撃をしているようだが、20分も戦っているのに決着がついていないのか、そんなに強い相手か?
「ダマ、正体不明の相手がどこにいるか認識できるか?」
『ダメですね。どこにいるか、気配すらつかめません。臭いすらないですね』
ダマの感覚でも、居場所のつかめない相手か……予想以上に厄介な相手かもしれないな。
「シエル、飛んでグレンが攻撃している先に案内してくれ」
シエルがダマの背中から飛び立って、グレンの攻撃先に誘導してくれる。
そこで俺たちが見たのは、全身をマントで隠しているが、明らかに体がデカい。身長高さは3メートルを越えており、人間のような腕を伸ばして白い糸のようなものを出して木の間を移動している。お前は、スパイダーマンか!?
でも、上半身はそこまで大きくないと思うが、下半身は結構横に広がっている。俺は杖を取り出し、とにかく土魔法で圧縮した高速の弾丸を大量に撃ち出す。
何発か弾が当たったのだが、金属のように、キンッとなって弾丸が弾かれた。マジか、表皮が金属並みの硬度があるのか。魔力で硬さを向上させていたとしても、厄介なことには変わりないな。
「しょうがない、ダマ、援護しろ。武器を持ち換えて俺が突っ込む。頼むぞ」
俺はそう言って武器を持ち帰る。手数を増やすために、二刀流、剣と短剣を持ち、正体不明の相手に突っ込んでいく。
一気に距離を詰めると、左の方から音が聞こえた。背中がひやりとする。右手で風魔法を発動して、強引に軌道を変える。
俺の頭の上を白い糸のようなものが通過した。
1匹だけじゃなかったのか。
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