1464話 サプライズ
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妻たちがいないけど、食事の準備が始まっているので、俺はいつもの席に着く。
猫たちに食事を出した後、ミーシャたちが俺の席にやって来た。スミレとブルムが、うんしょうんしょと言いながら、俺の膝によじ登ってくる。
こういう時に手伝うと嫌われるので、本人たちの自主性に任せてやらせておくのがいいと、俺は学んだのだ。前に手伝ったら、太腿を占拠するが2時間くらいふくれっ面が直らなくて、大変だったのだ。
ウルは、自分の椅子を俺の隣に持ってきてしれっと座っている。ミーシャも同じで、俺の隣に座っている。最近は、一緒に食堂に来た時以外は、隣に座らなくなってきたので、お父さんとしては少し寂しいです。
娘たちばかりかまっていると、妻たちが拗ねるのでバランスが大事である。
子どもを産んだミリーたちは、そうでもないのだが、子どもをまだ産んでいない妻たちは、子どもたちをかまいすぎると拗ねちゃうのだ。そんな様子も可愛いのだが、そうなると後が大変なのである。
年少組も子どもを欲しがり始めるので、本当に大変なんだよね。年中組は自分たちの中に子どもがいないので、夜が凄い積極的になるのだ。そうするとね、ゲッソリとしてしまうのだよ。みんな、夜の体操になると急に積極的になるからな。
チョッと苦労したみたいだけど、俺の膝の上を占拠した2人から「手はしっかりお腹に回して!」と、怒られてしまった。片足ずつ占拠しているので、間違って落ちてしまいそうになるので、きちんとささえろと言っているのだ。
それにしても、ミーシャもウルも、いつもより近くないか? どうかしたのか?
あれ? 食事もいつもとチョッと違う気がするんだが? 本当に何があったのか?
食事が並ぶまでは娘たちにちょっかいをかけていたら、みんなが耳を塞いだ。え? 俺のことがウザくなった?
パァァァンッ
何かが破裂する音が複数聞こえてきた。俺は慌てて、娘たちを抱えて結界を全力で張った。
振り返ると、紙の糸みたいなものが宙を舞っていた。
その紙は妻たちの手に繋がっていた。
妻たちの手元をみて、その正体が何かわかった、クラッカーだ。
「今日は何、お祝いの日なのかな?」
俺は、まったく覚えがなかったので、思わず聞いてしまった。
「シュウ、今日はね。特に特別な日ではないよ。でもね、今年から大切な日にしていきたいと思っているの。シュウって、自分の誕生日って祝ったことないよね? きちんとした誕生日も分からないみたいだし、私たちで勝手にだけど、今日を特別な日にしようと思ってね」
そういえば、自分の誕生日って祝ってもらった覚えがないな。別に気にしてなかったから、どうでもよかったけど、みんなに祝ってもらえるなら、嬉しいもんだな。
「シュウ様。なんで今日かというと、覚えていないかもしれないですけど、シュウ様が私たちを奴隷商から買ってくださった日なんですよ」
全然覚えてなかったわ。
「覚えていなかったみたいですね。私たちはシュウ様に感謝しているんです。あの地獄から救ってくださった上に、今では旦那様になってくださいました。私たちはとても幸せ者です。今まで祝えてなかったので、出会った記念日として特別な日にしてもいいですか?」
「もちろん。でも、みんなの誕生日も祝えてないよね?」
「私たちも、誕生日はしっかりと分からないので、同じ日にしてはどうかなって思っているのですが」
「俺と一緒でいいの?」
「「「「「一緒が良いんです!」」」」」
腕の中にいるウルやミーシャたちがビクッとするほど、大きな声でミリー・カエデ・リンドの3人以外の声が揃った。
誕生日って、同じだと嬉しいのかな? 誕生日を別々に祝うって、地球での常識かもしれないな。というか、これからも家族が増えていくのに、そのたびに誕生日を祝っていたら大変な事になりそうだな。
初めは普通の料理しか出ていなかったのだが、クラッカーが鳴ったあとは、パーティー料理みたいなのが出てきた。
あれ? もしかして、この料理って……
「ミーシャたちもお手伝いして、みんなで料理を作ったんだよ!」
ミーシャは自分が手伝ったフライドチキンを指さして、あれあれ! とアピールしてくる。スミレが手伝ったのは、フライドポテトみたいだな。ブルムはチキンナゲットを指さしている。
じゃあ、ウルは何を手伝ったのかと思ったら、ポテトサラダやマカロニサラダ、卵サラダなどのサラダを中心にお手伝いをしたようだ。
なるほどね。ミーシャたち3人は、手伝ったと言っても、粉を使たりする部分を手伝ったのだろう。それに対してウルは、ブラウニーやシルキーたちの指示を受けて、全部作った感じだな。
4人の頭を撫でた後、椅子を片付けてから立食パーティーみたいな形で食事が始まった。
家族で特別な日を言葉で祝った後に、グリエルやガリアたち、俺に近い人達が集まって来て、お祝いの言葉をくれた。もちろん、土木組も全員集まっており、お祝いしに来てくれた。
この子たちは、今、俺の数倍は忙しく働いているからな、来てくれたことに驚いてるよ。多分だけど、俺を除いた中でトップクラスにお金持ちだと思う。下手な貴族など相手にならないくらいの資産の持ち主だしな。
ちなみに貴族のお金っていうと、領地、街の運営費込みの資産を越えている。一人ひとりがである。
使う方法がなくて困っているようで、ゼニスにちょくちょく相談しているのだとか、お金のまま持っているともったいないとのことで、俺に話を通してほとんどDPに交換していたりする。
DPだったら、地球の物を自由に取り寄せられるからな。誰か従魔か四大精霊に手伝ってもらわないと、召喚できないけどね。欲しいものがある時は、大体バザールに頼んでいるらしいけどね。がんばれ、バザール!
普段は、1時間もすれば食堂から出ているのだが、今日は話しながら食事をしていたこともあって、気付いたら3時間程経っていた。娘たちは眠たくなったようで、ダマを何処からか連れてきたようで、4人並んでダマのお腹を背に寝ている。
ダマの呼吸に合わせて体が揺れているが、ゆりかごのように揺れており気持ちよさそうだな。
あれ? 毛布か何かをかけているかと思ったら、コウとソウが娘たちの膝の上で寝ていたのだ。あいつ等の毛皮ってあんなにフサフサだったんだな。
さすがに21時を過ぎたので、解散となった。寝てしまった娘たちを抱いて、移動をして妻たちと一緒にお風呂に入った。寝そうだった娘たちは、目がぱっちりと覚めてしまい、夜遅くまで相手にしてつかれたわ。
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