1453話 急ピッチ
アクセスありがとうございます。
ディストピアに住む逞しい女性たちの圧力に負けて、俺は庁舎へと足を運び、スポーツジムの建設、運用計画についてグリエルたちと話し合うことにした。
「シュウ様、お疲れの様ですね?そこまでお疲れでしたら、今日の業務はお休みいただいても問題ありませんが」
「それがさ、悠長に休んでいるわけにはいかなくてさ……今日は運動のために歩いてきたんだけど、逞しい女性方の視線に耐えきれなくてさ」
同情をしている目で俺をみているが、その顔をするってことはグリエルたちも、同じ理由で無言の圧力を受けているわけだよな?
「だから、一刻も早くスポーツジムの建設を始めないといけないかなって思ってるんだけど、庁舎の業務も放置できないだろ? 時間が大丈夫か確認したくてね。そこら辺はどうなんだ?」
さすがにグリエルたちも、業務の進み具合を把握できているわけではないので、職員に確認に行くようだ。少し待っていてほしいとのことで、秘書がお茶を持ってきてくれた。歩いて来た俺には、アイスミルクティーを準備してくれた。美味いな~
10分もすると、引きつった顔をしたグリエルとガリアがやって来た。
引きつっていた理由は、どの部署もこうなることを予想しており、来週までにやらなければいけないことを前倒しして行っていたそうだ。突発的に起こる仕事に関しては、数名の職員を置いていれば問題ないらしい。全員が全員、スポーツジム推進派のようだ。
そういうことなら、俺の命令でスポーツジムの話し合いを行うことにした。こうすれば、仕事として問題ないので気兼ねなく話し合うことができるのだ。
話し合おうとしたが、大筋はまとめられており、俺やグリエル、ガリアが確認するという形だった。
「大体は問題ないと思うけど、いつこの話し合いをしてたんだ?」
俺の質問に答えてくれたのは、グリエルとガリアのすぐ下にあたる役職の男性職員だ。
「それは、仕事が終わってから、会議室や食堂へ集まって話し合いをしておりました。できる限り早いオープンをしていただきたいので、スポーツジムの話し合いをする業務以外にも、自主的にみんなで取り組んでいました」
おうふ、そこまでスポーツジムを早くオープンさせたかったのか。とはいえ、この動きには評価をしたい。これのおかげで、俺たちの手間が大きく減ったことには間違いないのだ。
「了解した。えっと、スポーツジムの話し合いを時間外に行っていたメンバーと、その大体の時間は分かるか?」
「もちろんです。全員で情報を共有するために、議事録をとっております。参加メンバー、開催場所、時間などもしっかりと記録しております」
時間外でも、しっかりと議事録をとっていたようだ。
「じゃあ、その議事録を後で提出してくれ。俺たちが確認したら、経理に回すから話し合いに参加したメンバーに残業手当てを出してくれ。後、今回は全員がスポーツジムの話し合いに向けて、何かしらをしていたみたいなので、一律で金一封を出します。今月の給料と一緒に渡しますので、きちんと確認してください」
俺は発言した後にグリエルの顔を見ると頷いているので、今回の対応は問題ないだろう。問題があっても、俺が宣言したんだからくつがえらないんだけどね。
「で、確認なんだけど、ゲートの設置場所は、街の北半分に9ヵ所でいいのか?」
「いえ、それはあくまで候補地ですね。特にシュウ様たちが住んでいる南側は、工房が多く、北側に比べると人が多くありません。ですので、南側を良く知っているシュウ様に考えていただけたらと思っています」
「なるほどな。工房が多いから、その関係者と、俺の家から北側に昔からの住人が多かったりするからな。それに、土地が空いてるから大きな建物……スーパー銭湯も作ってるしな。移動を考えると、スーパー銭湯もゲートで繋がっていると便利か?」
「そちらは、何とも言い難いですね。お風呂に入るだけの銭湯がいくつもあるので、娯楽用のスーパー銭湯へのゲートをわざわざ作る必要があるのかどうか、と思います」
「俺が勝手に考えてたんだけど、スポーツジムとスーパー銭湯を繋げて、スポーツジムの中にはシャワーのみにしようかと思ってるんだ。スポーツジムを利用する人は、割引とか。後は、回数券じゃなくて、月間パスポートみたいなのを作って、購入した月は使い放題みたいな感じにしたいんだよね」
職員たちは考え込んでいた。
回数券はベタなもので、5回分の値段で6回分入れるというものだ。
そもそも、スーパー銭湯にしろ普通の銭湯にしろ、ランニングコストと呼べるものは人件費と石鹸等の消耗品くらいなのだ。お湯やサウナに関しては、クリエイトゴーレムで作った魔核を埋め込んだ魔導具で温度調整しており、掃除や番台の人件費だけで済んでいるので、かなり安く利用できるようになっている。
それはさておき、どの位の値段になるのかが気になっているといった感じで、職員同士話し合っている感じだ。
「銭湯に関しては、毎日利用している人が多いから、半分くらいの値段で利用できるようにしたらどうかと思うんだよね。3日に1回っていう人も、回数券より月間パスがこのくらいなら、毎日利用も考えるだろ? 利益は落ちると思うけど、赤字になることはないだろ? それと同じように設定できないかな?」
そう提案すると、ざわめき始めた。
正直、DPですべて召喚するのでイニシャルコスト……初期費用がタダなのだ。ランニングコストだけを考えればいいので、費用に関しては何の問題にもならないのだ。正直な所、職員の給料と消耗品などのお金をもらえれば問題ないのだ。
「で、設置したゲートから、スーパー銭湯かスポーツジムに行くようにエントランスを作るのはどうかな? スポーツジムを利用する人には2種類の値段設定で、スポーツジムのみと、スーパー銭湯併用の料金で、スーパー銭湯単体で使うより、併用した方が安くなる感じかな?」
どうやら、俺の言っていることのイメージが出来てきたみたいで、みんなが目を輝かせていた。
マイワールド内に作る利点として、建物をダンジョンの一部と認識させると、破損や汚れに関しては自動でキレイになってくれるのだ。清掃要員いらず! しかも、スーパー銭湯をマイワールド内に、キャスリングすることも可能なのだ。
値段に関しては、赤字にならなければいいという、俺の考えは採用されず、物価に合わせて設定することとなった。そこら辺は、職員たちに任せよう。自分たちが利用したいから、安く設定したいだろうけど、物価などを考えて値段設定してくれ。
最悪、赤字でも俺の懐はたいして痛まないからな!
どちらかというと、インストラクター……職員には、施設の使い方道具の使い方を教えてくれる、先生みたいな人と説明したが、育成できるかだよな。そこら辺は、ゼニスが協力してくれるのか? すでに手配済みだったようだ。
ここの職員、油断ならないな。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




