1420話 まさかの中ボス
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船の墓場の攻略を始めて6時間。お昼を過ぎおやつの時間に差し掛かっていた。
「シュウ様、そろそろ例のポイントにつきますので、上がってきてもらっていいですか?」
音楽を適当に流しながらブッ君で小説を読んでいると、アリスから船内放送で呼び出される。俺は操船室へ向かい、さらにその上に作った監視台に登っていく。5メートル程しかないが、見渡すには十分な高さである。
監視台に到着すると、もう片方の船を操るためにライムもスタンバイしていた。
「シュウ様、すこしいいですか?」
ライムが不安そうな顔をして訪ねてきた。何か心配事でもあるのだろうか?
「操船する船なのですが、交換していただいてもよろしいですか?」
「ん? 俺が向こうの船を操船すればいいってことか?」
「はい。先ほどまで、色々実験していたのですが……自分が乗っていない船で、5メートルを越えたあたりから操船が怪しくなってきまして、今回の14メートル級となると厳しいのです」
「マジか!? 自分の乗ってない船だと、そんなに操船って難しくなるのか?」
どうやら、乗っている船の方が操船しやすいらしい。だけど問題なのは、乗っていない船だと操船がしにくいということだ。魔法で移動させることを考えたが、実際に魔法を使って操船をしていないのでできるか不明だ。
「船は強化しているから、最悪ぶつかっても壊れないだろうし、直るから俺がやるわ」
俺がぶつけても、文句は言われるだろうけど、ライムが言われるより俺が言われた方がいいからな。
ライムが俺たちが乗っている先頭の船を、水魔法で動かしてぶつからないように慎重に船を動かしている。
おぉ~普通ではありえない軌道で船が動いている。何というか、ぬるっと動いている。おれが想像していた方法とはちがったのだ。どうやらライムは、船の周りの水を固定してそれを動かしているようだ。
確かにこれだと、自分の乗っている船は動かしやすいが、乗っていない船だと難しいのかもしれないな。
俺たちの乗っている船が通り抜ける前に俺は、水魔法を発動した。俺の操船の仕方は、強引に水の流れを作りその中を移動させる方法だ。
イメージしたのは、エスカレーターや動く床のように、水が循環するようなイメージで水を動かしている。
あまり速く動かすと慣性でコースを外れてしまうので、スピードを調整している。
事故を起こすことなく、問題なく移動が終わった。
「アリス、後の操船はお願いするね。みんなで交代しながら、船を動かしてよ」
アリスと一緒に操船室にいた、年少組のメンバーたちが元気な返事を返してきた。これなら問題ないだろう。
休憩室に戻ると、ライムに船の操船の仕方について質問をうけた。
船の周りの水を固定しても液体であるため、動かしたままに完璧にすごくわけではない。何度かかけ直しながら移動させていたため、俺に比べると魔力の消費が激しかったようだ。
それに対して俺は、流れを作ることによってかけ直すことを必要としない。エコと言って良いのか分からないが、一定の範囲内の水を回すので1度ルート設定してしまえば、注意する必要があるのは速度だけだ。
甲板に水槽を置いて、魔法で動かすイメージを伝えた。水槽の中に疑似的に船の墓場コースを作り、その中をオモチャの船を走らせる。
1度出来てしまえば応用も問題なく出来たので、俺の教えることは30分もしない内に無くなってしまった。むしろ船の墓場コースを作る方が時間がかかってしまった。
今日はもう1回操船するタイミングがあった。55階の中ほどにあった狭いコースを通る時に俺の出番が来た。少し遅くなったが、目的の広いスペースがある場所まで移動した。
野営コンテナを使えるため、ゆっくりと休む事が出来たのだ。夜営の時の魔物相手は、昼間寝ていた従魔たちとしまっておいた人造ゴーレムたちにお願いしている。
今日は4階ちょっとしか進めていないな。戦闘がなかったのに、壊して進んでいた上の階より進めなかったな。
船の墓場に突入して6日目、75階に到着した。
「どうする?」
「さすがに今からこの先に行くと、休憩する場所に到着する時間が遅くなりますね」
だよな。すでに17時を回っており、戦闘をした後に、休憩可能エリアまで行くことを考えると、2時間ほどかかってしまう。なので、戦闘は無しになった。
「でも、偵察だけはしないといけないよな」
満場一致で偵察に行く事になった。
75階は、25階、50階にあったボスエリアみたいなものが存在する。何とか回避できるんじゃないかと迂回路を探してみたが、この沈没船の上を通らないと、次の階へいく階段にたどり着けなかったのだ。
扉ではなく少し登っていくタイプで、その先に何があるか見えていない。
先頭を歩いている俺は、上に近づくにつれてゆっくりになっていく。
さて、何がいるのだろう? ブラッドリーレイス、次に、デッドリーレイスときて……キングレイスとかかな? なんだろな?
そろそろ甲板に到着する。こそっと甲板の上を覗くと……
背筋がゾワッとした。
ビックリするほどデカいフナムシがいた。体長15メートル程もありそうな巨大な奴だ。しかもお供で5メートルと10メートルのフナムシもかなりの数がいたのだ。
あ~俺、これダメだわ。直視するのが辛い。黒い悪魔も厳しいが海の悪魔系も全体的に苦手なのだ。その中でもフナムシは最たるものだった。足がたくさんあるのが苦手ってわけではないのだが……だって、ジャイアントセンチピートは何とかなったのに、フナムシはきつい。
これはグレンに焼いてもらうか、シリウスに押し流してもらうしかないかもしれない。
俺が慌てて顔を下げて、顔を青くしていたので嫁たちは察したようで、念のためにのぞくと、やっぱりといった顔をしている。
それにしても、黒い悪魔のときもそうだったけど、何でそんなに平然としていられるのだろうか? これって育った場所によるのかな?
これは帰ってから、明日の攻略の話し合いをするか、気が重たい。
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