1406話 到着
アクセスありがとうございます。
最近、また新作を書きたくなってきました。
新作を書く人たちの気持ちってこんな感じから始まるんですかね?
準備は完了した!
と言っても、ブラウニーたちも連れて行くので、食事や身の回りの世話は全て任せているので問題ない。食料品やダンジョンアタックに必要な物は全て用意してもらっている。
俺が準備したことと言えば、従魔たちの確認や人造ゴーレムの整備を行ったくらいだ。人造ゴーレムの整備といっても、自動修復機能が組み込まれているのでほとんど確認程度しかしていない。
「とーたん! ひみつきち!」
「ひみつきち! ひみつきち!」
「新しい遊ぶところほしい!」
ミーシャ、スミレ、ブルムが期待しているよ! という目で俺のことを見ている。さすがにこの目をされて裏切るわけにはいかないな。全力で頑張らないとな。
さぁ野郎ども……おっと、妻たちもいるから野郎はさすがにダメだな。
「ん? そういえば、海賊船ダンジョンって何処にあるんだ?」
俺がふと思いだした事を口にしたら、全員が転びそうになっていた。なんかコントみたいだな。どうでもいいことを考えていたら、カエデに頭を叩かれた。
「そこが一番大切なのに何でしらないのよ!」
「まぁそこは大丈夫だ。どうせチビ神が見てるはずだから、連絡が来るはずだ」
『やっと気付いたの? 遅いわよ! 条件だけ簡潔に伝えるわ。あなたのいる街から真南に行った、海上10キロメートルあたりを優雅にクルーズしてるわ』
「分かったぞ。今連絡があった。真南に行った海上10キロメートルあたりに今いるって、バッハでいけばすぐにつくだろう。バッハ準備してくれ。みんなはコンテナの中に入ってくれ」
俺たちはバッハで移動する事、海賊船ダンジョンに向かうことを決めていたが、何処にあるか分からないことに気づかず準備を進めていた。何という節穴だろうか。
人造ゴーレムは全部収納アイテムの中、スライムたちはすでに奥に200匹くらいギューギューに詰まっている。表面がプルプル震えているのが地味に怖い。
従魔たちも準備できており、先に入っていた年少組に撫でられてご機嫌に喉を鳴らしていたりする。
「大丈夫だな。バッハ、南に向かって飛んでくれ。海に出たら水面に近づいてくれ。そしたらシリウス、海に潜って海賊船の位置を調べてくれ。場所が分かったら案内してくれ」
浮遊感が体を襲う。バッハがコンテナを掴み飛び上がったのだ。それにしてもバッハって凄いな。コンテナや従魔、俺たちを全員合わせれば、5トンは軽く超す重さなはずなのに簡単に持ち上げて飛んでいる。
コンテナに多少防音機能をつけたが、風切り音がかなりすごい事になっている。
バッハは飛ぶ時に体を魔法で覆い風の抵抗を軽減しているが、音速を超えるスピードで飛んでいるのでコンテナに風切り音が聞こえるのは仕方がないことである。
「さすがにうるさいな。ウィンドシールド!」
風魔法で真空の層をコンテナの周りに作り音を消した。うむ、静かになったな。
「静かになったのは良いけど、そろそろ海に出るよ?」
いつの間にか隣に来ていたシェリルが俺を見上げて訊いてきた。
「もう海に出るのか。シリウス、そろそろ準備してくれ。バッハ、海上に出たら止まってくれ」
海上に出たバッハは高度を下げ、海面すれすれで止まった。シリウスは海へ飛び込み、体の大きさを元に戻した……相変わらずデカいな。バッハと比べ物にならないくらいでかいからな。デカくなった世界樹ユグドラシル(エルダートレント)と同じくらいでかいけど、こっちは動けるからな。
どうやら海賊船の位置が分かったようだ。シリウスについていくと、船を発見する。
「ん~ガレオン船かな? それとも戦列艦かな? 知っているゲームの船の形からすると、ガレオン船の方が形は近いかな?」
形は近い気がするが、船には詳しくないので俺には船の種類を判断することは出来なかった。
「船の種類は今回関係ないので、気にする必要は無いと思います。大砲で打ち合うわけではないですし、乗り込んでダンジョン攻略をしますからね。すぐにつくので準備しましょう」
思っていたよりでかいな。
妻たちも船の大きさにちょっとビックリしている。俺が持っている魔導クルーザーなんて比べ物にならないほど大きい。
そして海賊船というよりは、やはり幽霊船だった。人がいなくてダンジョンと言われれば、幽霊船を想像するもんな。見た目は、朽ち果ててボロボロである。なのに波の影響をほとんど受けずに優雅に動いているように見える。
チビ神が海賊船って言っていた要素はおそらく、メインマストの帆に書かれているドクロマークなのではないかな? それ以外は大砲が一応見えているけど、それだけでは海賊船とは言い難いな。
「とりあえず、甲板に降りようか」
帆船なのでロープやマスト等が邪魔をしてバッハで着地は出来ない。なので、コンテナから船の上に飛び降りる。50メートル程であれば怪我をすることすらない。しかもスライムたちが先に降りて更に衝撃を吸収してくれた。
バッハの持っていたコンテナは、収納の鞄に収めた。収納の箱を10個程持ってきているので、それを降ろす方が苦労したな。あの箱って意外に重たいからな。
バッハは大きなままでは着地できなかったので体を小さくして降りてきた。シリウスも体を小さくして海から飛び上がり乗って来た。
「よし、全員そろったね。エレノア・ソフィーは人造ゴーレムを6体出しておいて。レミーとメルフィは魔導無線機と有線ケーブルを。年中組の皆は従魔たちと、ダンジョンの1階の通路の広さを見てきてくれ。ブラウニーたちは念のため荷物のチェックを、行動開始」
ダンジョンの中で小型でもいいから馬車が使えるのかどうかは、攻略の観点を考えると重要な要素である。できれば、いつも使っている馬車が使えるといいんだけど……最悪でも、小型でブラウニーたちが休憩できるサイズの馬車を使えると助かる。
ブラウニーたちの行動サイクルは、移動している間は馬車の中で休み、夜営中に起きて料理等をしてくれるのだ。移動中に起きていてもする事がないので、完全な役割分担である。このリズムのおかげで、夕食と朝食はしっかりと美味しいものが食べられるのだ。
収納アイテムの中にも入ってはいるが、食べ続ければ無くなってしまうので毎日作ってくれるのだ。後は移動中にも小腹が空いたら食べれるようになっている。食料はいくらあっても困らないので、たくさん作ってもらうのだ。
「ご主じ……シュウさん、ダンジョンの中ですが1階は、馬車が問題なく通れるサイズの幅がありました。方向転換も問題ないかと思います」
キリエは、ご主人様と言いかけて途中で止め、名前で俺のことを呼んでくれた。
馬車が通れるのはありがたいな。
「念のため、中型サイズの馬車でいこうか。ケンタウルス型の人造ゴーレムに馬車を曳かせよう」
さて、気合を入れてダンジョンアタックといきますか。
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