1389話 記憶はあてにならない
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マリーの赤ちゃんの名前は、悩みに悩んでシオンに決定した。キク科の花ということで探していたところに、紫苑……紫という点に目がいった。マリーの赤ちゃんは、誰の因子を引き継いだのか髪の毛が紫色だったのだ。
この世界では黒髪の方が珍しく、蛍光色の髪の毛の色も珍しくない。多く人間は明るい茶色だったり金髪なのだが、種族が変わると奇抜な色も多くなってくる。でも、獣人で紫は珍しいな……ということもあり、紫苑、シオンに決定した。
名付けた理由もしっかりと説明するとマリーは喜んでくれた。俺の国、日本にちなんでいる部分もあるので嬉しがっていたな。子どもたちに優劣をつけるわけではないので、特に何かを気にすることはないのだが、マリーにとってはすごく嬉しいことだったようだ。
獣人は夫にちなんだ名前が多いらしいので、その影響で喜んでいるとの事だった。ライラも同じなのかな?
だけど、ミリーは特にそんなことを気にしていなかったので、獣人でも考え方が違うのだろう。日本でも親の名前の一部を貰ったり、アメリカ何かではジュニアってつけて名前が一緒だったりするから、何かあるのだとは思うけど気にしたら負けな気がした。
3人の出産も済んで落ち着いた。娘たちも震えることもなく、弟と妹たちの様子を起きるたびに見に行き、お姉ちゃんであることを毎回アピールしている姿が微笑ましかった。
産まれる前は何となく分かっていない様子だったが、産まれてからは実感したのだろう。早く抱っこしてあげたい! とかも言っていたな。
ウルはともかく、ミーシャたちにはまだ抱っこは早いかな? 体の大きさ的に倒れる可能性が高いからね。ステータスが高くてもバランスはどうにもならないので、大人でもない限りは転倒の可能性が高い。
母子ともに問題なく経過している。マリーの赤ちゃんのシオンが産まれてから1週間、すくすく育っているので子ども部屋に移動する事になった。
やっとスキンシップが解禁になるということだ。
ミーシャたちの時は、俺もなかなかスキンシップができなかったから、今回は何でだろうかと思ったが、俺という他の世界から来た人間……人間なのか? とこの世界の女性とできた子どもに、何かしらの問題がないか細かくチェックしていたらしい。
前回、ミリー・カエデ・リンドの3人で特に問題はなく、母親の種族に影響されるということが今回で完璧に判明されたので、過剰にスキンシップしなければ問題ないということになった。
何かがあった時のために、回復魔法を極めたブラウニーが常駐する事になっている。
回復魔法を極めたって何? って思ったが、大半のブラウニーが家事に特化したがっているのに対して、少数だが本当の意味での接待に特化した個体がいたのだ。その個体が接待……もてなすことの中に、体調管理まで含めて対応してくれるようだ。
データが揃ったので解禁になったという感じだろうか?
子ども部屋に赤ちゃんが移って問題が発生する。近付いていいというお墨付きが出たため、俺の従魔たちが入り浸ってしまったのだ。なので前のように待機室から様子を見るように、シルキーたちに従魔が怒られた。
俺も入り浸りたかったのだが、領主の仕事に精を出していたので難を逃れたかたちだ。従魔たちの様子を見ていたので、仕事終わりに癒されるために少しふれ合い、夕食後に娘たちと一緒にふれ合う感じだな。
娘たちは同じ部屋にいるので、ピーチたちの許可をもらって一緒に世話をしているらしい。でも、勉強や運動をしないと許可を出さないと言われたので、今まで以上に張り切っている様子が見られる。
ウルは少し難しいことを勉強し始めているが、それでも遊びの範囲内でできる内容なので、勉強と言っていいのかは謎である。
それと同じで運動も遊びの延長上で体を鍛えているようなものなので、いつも以上に楽しんで遊んでいるという印象である。
本人たちのやる気に繋がっているので野暮なことは言わない。
産まれてから2週間ちょっとなのだが、ピーチの赤ちゃんであるプラムに変化が見られた。初めはお猿さんっぽく1日程で変わってきたが、今はピーチを幼くしてちっちゃくしたような姿になったのだ。
こんなに変わるものかと思ったのだが、プラム以外の子たちは、産まれたときから母親に似ていたことを考えると、不思議なことではない気がしてきた。
日本では近くに赤ちゃんがいなかったのでよく分からないのだが、産まれて2週間程で外見がこんなに変わるものなのだろうか? 分からん!
だけどテレビで、可愛い赤ちゃんとお猿さんっぽい赤ちゃんがいたな。あの違いって何だったんだろう? 産まれたばかりとそれだけ? ってことかな? なんか違う気がする。
子どもたちは母親に似てみんな可愛い! シンラに関しては、男の子なのに母親に似て可愛らしくなってしまったら……大丈夫だろうか? と思わないこともない。逞しいからカッコいいとかは思わないが、見た目で結構面倒事に巻き込まれるだろうからな。強い子に育てないとな!
母親たちの考えを無視してそんなことを考えていた。
姉たちも可愛いのだが、下の子たちも可愛いな。その可愛い2つがスキンシップをしている姿は、可愛いが天井突破している! もう最強だな!
日本にいたときは、可愛いは正義! とかまったく意味がわからんと思っていたが、この光景を見て考えが変わるな。娘たちのときも思ってたし、シェリルたちのときも思っていたが、可愛いって本当に正義になりえるんだな。
正直、この子たちのために世界を敵に回せるって妻たちの前で言ったら、全力で止められたね。
本当の意味で世界を征服できるだけの力と、能力がある俺が言うと冗談に聞こえないらしい。有り余るDPで魔物を呼び出せば、1週間もすれば世界を滅ぼせるだろう。そんな力を持っているので、全力で止められたのだ。
といっても、世界の悪意に晒されてこの子たちが傷付くようなことがあるのであれば、妻たちも止めないと言っていた。多分俺の従魔が世界を滅ぼす先兵となるだろう。
そういえば娘たちの手も小さいけど、産まれたばかりの赤ちゃんって、もっと小さいんだな。ん~娘たちはもっと大きかったイメージがあるが、毎日見ているから大きさの感覚が変わってしまうのかもしれないな。
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