1365話 仕入れ
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「「「大量ゲット~~」」」
伊勢海老の入った生簀を見て、ミーシャ・スミレ・ブルムの3人は声を上げて喜んでいる。その姿は微笑ましいのだが、この船に設置されている生簀なのだが、見える範囲に後5つある。
どれだけ魚介類を仕入れるつもりなのだろうか?
「次に向かうのは、ホタテの養殖場です!」
3人が生簀でワイキャイ言っているが、ウルは俺の横で次の予定を話してくれた。こういったところはお姉ちゃんなんだなと思う瞬間だな。
目の前の物に興味をとられてしまう妹たちと、今日の目的を忘れずに俺のことを考えてくれるお姉ちゃん。普通ならウルも向こう側にいてもおかしくないのだが、環境か妹の所為か分からないがもっと子どもらしくしてもいいと思うぞ。
そう思いながら、俺に次の予定を説明してくれたウルの頭を撫でてあげる。嬉しかったのか、照れながらも受け入れてくれた。
「「「あ~ウル姉! ズルい!」」」
「おっと、見つかってしまったな。でも3人は伊勢海老に気を取られて、今日の目的を忘れていただろ? そんな子にはしてあげられないぞ」
「「「む~~~」」」
3人とも頬がパンパンに膨れ上がって抗議の眼差しをしているが、俺のことを忘れて生簀を見ていた間にウルは、ブラウニーに次の行き先を告げていたのだ。
「ウルはしっかりと俺に説明してくれたぞ? 伊勢海老を受け取った所までは良かったけど、その後に生簀を見てお父さんを放置してたよね?」
「「「そんなことない!」」」
失態を挽回する、と言うわけではないが、俺の膝や横にへばりついて次のホタテの養殖場の説明をしてくれる。所々間違えてしまうが、ウルやブラウニーにフォローしてもらい、頑張って説明してくれた。
このホタテの養殖場は、ディストピアが完成して早い段階で作られている。
ここは俺が手をかけたダンジョンになるので、よく知っている場所だ。仕切りやなんだかんだと検証して、ある一定の条件を満たせば範囲内をダンジョン化することが可能だったのだ。
その中で各魚介類にあった環境をダンジョンの機能で作成して、簡単に養殖できる環境を作ってしまったのだ。
呼び名は特になかったのだが、俺の家にあるダンジョン農園に影響を受けて、ここで働いている人からはダンジョン養殖場と呼ばれている。
ホタテも俺が丸焼き? 浜焼き? が好きだということが広まっており、優先的に環境を整えてほしいとお願いされて、俺の食卓によく上がる。バーベキュー以外では、刺身やフライ、ソテー等で提供されている。
ちなみに伊勢海老にダンジョン養殖場を準備していないのは、適した環境がよく分かっていないので、現在のようにダンジョンの外でも研究が続けられている。一応、ダンジョン養殖場にも伊勢海老のエリアはあるのだが、こちらは成功していない。
このホタテの養殖場では、自分たちで収穫することが出来た。ここでは加工品にする人も待機していて、とれたてを目の前で捌いてくれた。ホタテの貝柱を生で食べる事が出来た。
あまりに貝柱が大きくて口いっぱいに含んでしまい、飲み込むのに時間がかかってしまった。
そのまま隣にあるカキの養殖場へ。そこでも採れたてを生で食べさせてもらった。娘たちも食べているのだが、まだ小さいので1つを4人で分けて食べている。
「本当はもっと採れたてを食べてもらいたいのですが、食べ過ぎるとお昼が食べれなくなってしまうのでここまで!」
ウルの宣言で実食はここで終わりのようだ。採れたてを食べる機会って普段ないから、新鮮でおいしく感じるんだよな。今度、それを目的として予定を組んでみようかな?
伊勢海老⇒ホタテ⇒カキ⇒車エビ⇒アワビと養殖場を巡って、次についたのは養殖場ではなく、海の上に浮かぶ漁港のような場所だ。
現在ディストピアで魚の養殖が行われているのは、ダンジョン農園の海エリアだけだ。あそこではうちの食卓だけでなく、ちょっと高価な食事を準備する際に使われる高級品としてお偉方の口に入る食料だ。
それに対して湖では魚の養殖はせずに、海の上に浮かぶ漁港のようなダンジョンの機能を使って海流を作り、その中を通過する魚を収穫する形をとっている。
こんな方法なのに、漁獲量も種類も安定している。ここでとれない種類の魚もいるので、それに関しては船を出して魚人と一緒に漁をしているそうだ。
この漁港のような場所は、縦長に作られており通過した魚の種類が分かるようになっている。さすがに同じ個体なのかは判断できないのでアバウトにはなるが、通過した魚の数と種類で大体の数を推測している。
減ってしまった魚に関しては、稚魚やある程度大きな個体を放流して数を調整している。多くなり過ぎれば、ダンジョンの機能を使って回収して安売りをしている。
ということで、この漁港のような場所は家畜エリアや畑エリアと同じように、ディストピアやゴーストタウンの庶民の食卓を豪華にしている。
食事をとる人に対して供給が多くなる事が多いので、加工品に出来ないほど多く取れた時は、ディストピアの食卓が魚一色になることも多い。無駄を少なくする努力をしているが、手探り状態なので度々そういうことが起きる。
そしてこの漁港では、マグロを5匹仕入れた。可食部にすると何キログラムくらいか分からないが、そんなに準備しても食べれなくないか?
マグロは釣りたて取りたてを食べても美味しくない。ある程度熟成させないと美味しくないので、ちょうど食べごろのマグロを、今日に合わせて注文していたのを取りに来た形だ。
ここでは他に、ブリ・カツオなども仕入れた。こんなにいろんな種類を食べられるのだろうか? そういえば、俺と一緒に魚を食べる事を隠していたが、ここまで準備されていれば一緒に食べる事がバレてしまうだろう。秘密にする意味はあったのか?
こうやって仕入れた物を積んで目的地へ船を走らせる。
あれ? てっきり加工場の方へ行くと思ったら、沖へと向かって船が動いている。
到着した場所は、俺の記憶に無い島だった。すでに船がいくつも到着しており、その島からはドワーフの爺さんの声が聞こえている。
ここは、海の上の別荘として、妻たちがグリエルと相談して作った場所らしい。何故グリエルかと言えば、ここでも仕事ができるようになっているからだ。俺のね……そのための機能を書斎に仕込んでいるらしい。
そこまで大きくない島だが、俺の家と従魔たちがある程度運動できるくらいだ。島の周囲が4キロメートルくらいだと教えてもらった。その島の東側に船着き場があり、その近くに別荘がある。
そこから南に向かって天井だけの付いている、バーベキュースペースが準備されている。普通の食事も問題なくできるようにもなっている感じだ。
「小僧! 遅いぞ! 腹が減って仕方がないわい!」
到着すると同時にドワーフの爺が俺に苦情を言ってきたが、近くにいたブラウニーに引きずって別荘の陰に連れていかれた。その姿に両手を合わせて見送っている他の爺様方……
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