1363話 娘たちと
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朝食を食べ終わりソファーで一服をついていると、ご飯を食べ終わったミーシャたちが俺の膝の奪い合いを始めた。ウルは膝の上にこだわらないのか、俺の横でミーシャたちのキャットファイトを笑顔で見守っている。
この年頃の女の子だと、キャットファイトというよりはただのじゃれ合いというべきかな?
今日はお休み曜日なので娘たちもそれを分かってか、俺と遊びたいということらしい。前哨戦として膝の奪い合いを始めたようだ。朝から元気だね。
俺は足が2本しかないから片足に1人ずつで、2人が限界だ。負けた1人はウルと同じように俺の隣になるのだが、俺にくっ付くという意味ではどちらでも一緒だと思うのだ。ミーシャたちにとっては、何かが違うのかな?
20分の激闘の末、スミレとブルムが勝利を収めた。体の大きさで有利なミーシャが負けるとは思わなかった。今回は体の小ささを生かして勝ちをもぎ取ったというのが正しいかもしれないな。
スミレは右足、ブルムは左足、ミーシャが右隣、ウルが左隣、幼女まみれである。みんな可愛い俺の娘たちだ! 誰にもやらんぞ!
っと、スミレとブルムは俺に背中を預ける形で、ウルとミーシャは俺の腕をどかして脇腹にくっ付く形だ。俺の腕はウルたちを抱きかかえるように肩の方へ回している。
娘たちに埋もれている姿を見ていたミリーたちが、
「ピーチたちの子どもが生まれて育ったら、今以上にシュウ君が子供たちに埋もれるのかしら?」
「言葉では、娘たちに嫌われたらどうしようとか言っているけど、嫌われる要素がないのに心配しすぎよね」
「何を心配しているのかよく分からないけど、日本のマンガやアニメに父親を嫌う娘という構図がそれなりにあるのよね。あんな風になったら困るってことだと思うけど、日本では本当にああいったことがあるのかしら?」
子どもを産んだ3人、ミリー・カエデ・リンドの3人は、あまりアニメや漫画を見ていなかったのだが、妊娠して動く事が制限された時に手を伸ばして、それ以来定期的に娘たちと一緒に趣味部屋にこもっているからな。
余り思い出したくないことを思い出させないでくれ。ミーシャたちに「臭い」とか「嫌い」とか言われたら、マジで1週間は立ち直れない自信があるんだからな。
考えただけでも、涙がちょちょぎれてきそうになる。
娘たちと十分に戯れたので、今日の予定を考えようか。
「さて、今日は一緒に遊ぼうと思うけど、何かする予定があるのかな?」
「ウルたちは、今日は海産物エリアに行こうって話してたんだよね」
ウルに同意を求められた3人は、「ね~」とシンクロして答えていた。
「海産物エリアか、何か考えがあるのかな?」
「えっとね、とーたんがお魚好きだから一緒に食べたいねって!」
「ミーちゃん! それは言っちゃダメだって言ったのに!」
ミーシャが俺の質問に条件反射のように素直に答えてしまった。それに対して、隠していくつもりだったウルがミーシャにジト目をしている。
魚が好き? 肉も好きだけど、何で俺が魚好きになってるんだろうか?
さて、ここで俺には2つの選択肢がある。ミーシャの言ったことを聞き取れなかったと誤魔化す選択肢と、教えてくれたことを素直に喜ぶという選択肢だ。
ウルのことを考えると後者なのだが、俺にそんな演技ができるだろうか?
「ん? お魚がどうかしたのか? 海産物エリアだからたくさんあると思うけど、なんか食べたい物でもあるのか?」
「違うの! とー、モゴモゴモゴ……スーちゃん、ムーちゃん、何するの?」
ミーシャは口を塞がれたことを怒っているが、ウルはまた秘密を言いそうになったミーシャを止めるために、2人に指示して口を塞がせていた。
「みんなどうしたんだい? 海産物エリアに何か秘密があるのかな?」
秘密という言葉に4人が反応した。
「「「「秘密!」」」」
声をそろえて、お昼の魚の話は秘密だということを強調してきた。
俺から離れていった4人は、ミーシャが他の3人に脇腹をつっつかれている。
「俺は4人と一緒に海産物エリアに行ってくるけど、みんなはどうする?」
食堂に残っていた嫁たちに聞いてみるが、母親組も参加をする気はないようだ。だけど、食事の時には合流するという話になっていた。昼食は個々で食べることが多いから、珍しいことがあるもんだな。
ウルたちはミーシャのつるし上げを終わらせて、動きやすい格好に着替えてくる! と言って自分たちの部屋へ走っていった。
朝、パジャマから着替えているはずなのに、またこのタイミングで着替えるのか? 首を傾げていたら、妻たちが不思議な顔をして俺の方を見ていた。女の子はそれが当たり前なのだろうか?
後で娘たちに聞いてみよう。
今日は娘たちが海産物エリアに行くことは決まっていたようで、シルキーたちがすべて段取りを整えていた。
庭に出てウルたちを待っていたら、基本的に街の中で使うことのない、綾乃・バザールと一緒に魔改造した馬車が準備されていた。
あの馬車って、車より揺れを感じないという馬鹿げた性能をしているのだ。車輪は人力車に使われている物を魔改造して、召喚した物を更にクリエイトゴーレムで改造している。
人力車の車輪と聞けば細いイメージだろうが、そこはダンマススキルの良いところ、タイヤの大きさも太さも素材も自由自在! 召喚してから、別に自転車のタイヤでもできたんじゃね? と確認したところ、同じようなものが召喚できたときには苦笑した。
元々が大きいタイヤを探していて、たどり着いたのが人力車だったからな。
まぁそれをクリエイトゴーレムで更に魔改造して、揺れ振動吸収にもよく理解できていないシステムが取り入れられている。
原理は分からなくてもクリエイトゴーレムは、素材に魔法をかけるのでシステムを阻害することなくゴーレム化できるのだ。
そんなオーパーツじみた馬車を娘たちの送迎に使うのか。倉庫でほこりをかぶってた奴だからいいんだけどな。
「「「とーたん! お待たせ!」」」
ウルが3人を連れて庭に出て来た。俺を発見するなり走り出した3人は、お馴染みのロケット頭突きを実行してきた。
オシャレ着でも着てくるのかと思ったが、動きやすさを重視した可愛い服を着ていた。スカートではなくズボンをはいている。海産物エリアに何をしに行くつもりなのだろうか? 気になる所だな。
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