1357話 どうするのだろうか?
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これで帝国のグリフォンに対しては概ね対応可能となった。問題となるのは、兵士がクロスボウを使ってグリフォンを落とせるのか、という事だろう。
そこら辺は、訓練を頑張ってもらうしかないので、専用の訓練施設をメギドとバレル、各関所に作成することでクロスボウに対する習熟訓練を頑張ってもらいたいところだ。
練習施設は地下に、ダンジョンを作りある程度風の流れもある、超不思議空間を作成している。地上で風の影響を受けないことなどありえないので、練習するにはいい場所だと思われる。
レイリーに聞いて分かったことなのだが、クロスボウにも問題があったのだ。俺の銃と同じ風をまとわせる機構をつけてボルトを射出するのだが、銃弾と違ってかなり風の影響を受ける事が分かったのだ。中途半端に風の影響を軽減する武器は、武器に対する感覚が鈍ってしまうのでその機構を外して運用している。
ずっと俺たちが作ったクロスボウを使用できるのであればそれでもよかったのだが、それは不可能だと考えている。このクロスボウに関しては、初めは勇者ように作成し、次に戦争用に作成したが事実上飛行戦力に対する備えに変わる。
そうなった時、普通の戦闘で使うために持ち出すわけにはいかないだろう。しかも、自分の武器としてクロスボウを購入する人間だって出てくるだろう。そう言った人たちは、風の影響を軽減する機構は邪魔でしかなくなる。
クロスボウの運用に関して考えるのであれば、習熟訓練をしないで数多く撃ち出すことで飛行戦力を撃退する方法でもいい。
それをしないのは、現場で活動している兵士の訴えがあったのだ。「戦闘でも使える武器があるのに使わないのは非効率だ」とのことだ。
レイリーはその意見を尊重して、クロスボウの習熟訓練を行うことを兵士に義務化している。
「シュウ様、なにかお考え事ですか?」
グリフォンが樹海に向かってから1週間、マップ先生を見ながらのんびり考えことをしていると、レイリーが声をかけてきた。
「いや、帝国の街を攻め落とした3ヶ国だけど、これからどうするんだろうと思ってね。屑共と結託して得た街ではあるけど、帝国から見れば奪われただけじゃん? だから、どうするのかなって思っているところだよ」
「地上組が来たら攻勢に出るのではないですか?」
「あれ? レイリーはマップ先生を見てない? 地上組はインペリアルガードだけど、屑共を連れていくことを考えると数が足りないと思うんだよね。屑共が150人位いるのに対して、地上組が100人位しかいないんだよね。運ぶだけでぎりじゃないかな?」
「インペリアルガードがいくら強いとは言え、数が足りなければ流石に護送は難しいですね。近くの街で兵士を借りるのでしょうか?」
「兵士を借りるにも領主がここにいるから、下手に兵士を動かすと街の治安が悪くなるんじゃないか?」
「思ったのですが、すぐに取り返す必要はないのではないでしょうか? 特に略奪をされているわけではないので、護送して戻ってきたらという可能性もあるのでは?」
「その方法かな? もしくは飛行戦力だけで攻めるとか? 略奪はされていないけど、早くしないと余剰分の物資が運び出されるかもしれないし、今はまだ略奪していないだけかもしれないし、早めに奪還したいんじゃないかな?」
思ったことを言い合って気付いた。俺らが議論したところで意味がないことに……同時に気付いて、顔を見合わせて苦笑した。
「地上組は、後1週間くらいですか?」
「それがさ、昨日、一昨日って雨が降っただろ。雨が降っただけならよかったんだけど、通る道の近くの川が氾濫したみたいで、復旧にしばらくかかるみたいなんだよね」
「シュウ様の街や領地の中では、川の氾濫も土砂崩れも道が壊れることもないので忘れていましたが、三大国の領地内でも普通にあることでした。土魔法を使って整備すれば、大半を解消できるのに何故大国はそれをしないのでしょうか?」
「街の中ならともかく、領地内すべてのインフラに金をかけたくないんじゃないか? 自分の領地だけ頑張っても、他の領地がインフラ整備しなければ意味がないからな。皇帝や国王が主導するなり命令するなりすればいいのにな」
「確かに昔仕えていた裏切り者は、街の外には極力お金をかけていませんでしたな。橋が落ちたり道が潰れたりすれば、兵を出して工事をしていましたが、始めからしっかりと作っておけば、兵を出す回数も少なく総合的に見て費用が抑えられたはずです」
「所謂、たらればにお金をかけたくないってところか。いつも思うけど、貴族は金の亡者か? 政治家は自分のもらえるお金と使えるお金に腐心して、経費削減を考えないのと同じかなのかな? 方向性は違うけど、同じ穴の貉なのだろうか?」
「シュウ様の住まれていた国のことは分かりませんが、案外近いものがあるかもしれませんね。前に聞いたところでは、安全な位置から兵士たちに指示するだけで、自分たちは命を賭けないところとか、近しいものを感じます」
まぁ政治家は、国内のインフラも考えているから、一概に全てが似ているとは言えないんだけどな。腐っている政治家も貴族もそこに住む者からすれば、どちらにしても迷惑な存在でしかないんだけどな。
「だからと言って、最前線に出て愚連隊のように暴れるのはどうかと思いますが」
「うっ……」
レイリーにジト目で見られながら、あまり無茶をするなと釘を刺された感じだ。
最近さ、ドッペルを戦闘で使うと生身との差が激しくて使い辛いのだ。チビ神してくれた改造が馴染んできたのかよく分からないけど、ドッペルを使うと模擬試合で妻たちに負けることが増えてしまった。
その状態で戦闘に出れば、被弾は必至である。それでは妻たちに許可をもらえないので、生身での行動を何とか許可してもらっている。
この許可もいつまで有効なのだろうか? 少なくとも、妻たちとの生身での模擬試合で1対2で勝てている間は大丈夫かな?
ちなみに今の俺のステータスは、シュリより少し高いくらいだ。シュリは妻たちのなかで一番強いが、俺と戦うとどうしても勝てないでいる。
俺は地球では格闘技の経験もなかったけど、ゲームや映像で得たものをスキルのもたらす知識で補完して戦っている。魔法に関しても、根本的な使い方がちがうのでこういった差が生まれるようだ。
「俺は強いし、護衛もいるからな。それに本当にダメなときは止められているし、このくらいは見逃してよ」
レイリーは苦笑した。その後は関所のことや兵士のこと、雑談などをしてからお互いの仕事に戻った。
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