1356話 問題解決?
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今日のお供は、バッハとシエル、グレンの3匹だ。
バッハは移動要員なので守りのシエルと、空中の戦力であるグレンの2匹が主となって護衛をしてくれる。
グリフォンがいたのは、帝都から北西方向にある山脈の中だ。ここの近くには元々バッハが住んでいた山もあるのだが、バッハがいた時はグリフォンがいなかったと言っている。
バッハがいなくなってから住み着いたのだろう。だけど、何処から来たのかは不明だ。まだ掌握していないエリアがあるので、そこから来たのではないかと思う。わざわざ確認するために掌握をしようとも思わないので、放置する形にしている。
「ここにグリフォンがいるのか? 空を縄張りにしている魔物なのに、自分の縄張りに俺たちが来て反応が無いのは何でだ?」
『何を分かり切った事を聞いているのですか? それは、空の覇者とも呼べるバハムートがここにいるのです。空で生きるものであれば、近付いてこようとはしないです』
グレンから言われて気付いた。確かにこいつがいたら、強さに敏感で無くても近付いてこないか?
「近付いたら逃げると思うか?」
『逃げる度胸があるなら、既に逃げているのではないでしょうか?』
シエルが的確に突っ込んできた。収納の腕輪から、ボルトをセットしたクロスボウを取り出す。
「よし、バッハ! 準備ができたから、グリフォンのいる所に行ってくれ」
バッハの首筋をペチペチ叩いていくようにお願いする。
バッハがグリフォンの巣に舞い降りると、グリフォンたちがヘビに睨まれたカエルのように硬直していた。
俺の従魔の中でダマに並んでヒエラルキーの低いバッハだが、空を縄張りに……いや違うか、野生の魔物の中でヒエラルキーは高いようだ。
俺は硬直しているグリフォンたちを尻目にマップ先生を開き、この集団の中で一番Lvの高いグリフォンを探す。
巣の奥に長のようなグリフォンがいる事を発見した。Lvは179。これなら実験にはちょうどいいな。帝国のグリフォンたちより大分強いからな。
ん? もしかして、ここにいたグリフォンたちって、帝国の南西側にある未掌握エリアの山から来たのではないか? インペリアルガードがグリフォンを捕まえて調教した時に、捕らえたグリフォンたちの生き残りなのではないか?
ここなら、南西側よりは攻めにくい場所ではあるよな。でもインペリアルガードが本気になれば、すぐにここまで来れてしまう。これ以上帝国に飛行戦力を与えたくないな。
この群れのボスを倒してから、樹海の山に連れて行くか? あそこ元々ワイバーンがいたから、近付いてくる奴がいなかったんだよな。バッハが来て状況は多少変わったけど、バッハは最近ずっと俺の家にいるから昔の状況と一緒だな。
それに今住んでいるワイバーンは、この家族以外に多くないから土地は空いているんだよね。移り住んでも土地は余るのだ。それに、樹海には有り余るほどの餌となる魔物がいる。
ディストピアの周りの魔物を間引きしている状況なので、グリフォンたちが移り住んでその一部を担ってくれると助かるのだが。
長っぽいのを倒してから考えるか?
それにしてもグリフォンの巢って思ってたより狭いな。もっと広がって家族同士が離れているイメージがあったけど、実際は日本の小さな島に住んでいる人たちみたいに、みんなで育てている感じに見える。
何で小さな島に例えたかと言えば、島のいたるところに住んでいる訳ではない。だいたいが集まって家が建っている。中には離れたところに住んでいる人もいるが、そちらは少数派だ。
よし、あいつだな! 距離は700メートルちょっと、有効射程距離だな。
狙いをつけて、撃ち抜く!
おぉ、刺さるじゃないか! ドワーフたちが作ったボルトじゃなくても刺さるな。
血もボルトの後ろから流れ出ている。
様子を観察していると、若いグリフォンが騒ぎだしたが、長と思われるグリフォンが鳴いて行動を止めた。
統率はとれているようだな。普通の鍛冶屋でも作れるボルトでも効果があることがわかった。なので、殺す必要は無くなった。
「グレン、あの長と交渉して樹海に住まないか聞いてみてくれ。もし移り住んで街の人間を襲わず、周辺の間引きを手伝ってくれるなら、傷も治すし安全も保障するって伝えてみてくれないか?」
グレンは一鳴きすると、ボルトの刺さっているグリフォンに近付き鳴き合っている。
種族が違っても鳴き声で何とか話が通じるんだから凄いな。俺にはなんて言っているのか分からないが、周りのグリフォンたちも真剣な様子で見守っている。
2分程すると戻って来た。
『全面的に従うので、他のグリフォンたちの命だけは助けてくれ! と言っています』
「命を保障するって言っているのに、自分の命を差し出すような事を言うなよ。まぁいいグレン、ボルトを抜いてこのポーションを飲ませろ。お前の命も含めて保障すると伝えてくれ。後、街の人間に手を出したら、手を出した奴は殺すって言っておいてくれ」
また一鳴きしてグリフォンの方へ飛んでいった。
深く刺さっていて返しが付いているボルトを強引にグレンが抜いた。ボルトの後ろから出ていた血よりかなり多めに噴き出した。すぐにグレンがポーションをかけて、口の中にもポーションを流し込む。
ポーションって相変わらずおかしな回復力だよな。出た血まで綺麗にするわけではないが、傷が無くなり抜けた羽まで生えてきている。何が基準になっているんだろうな?
人間でも、負傷によって毛が生えなくなった人に損傷部位を治せるポーションを飲ませると、髪の毛が生えてくる。でも、禿げていたり毛が薄い人には効果が無い。あれは、部位損傷ではないという事だろう。
完治したグリフォンが鳴くと、巣にいたグリフォンが全員飛び上がる。飛び上がったはいいのだが、何処へ行けばいいのか分からずこっちを見ている。狂暴な見た目に反して可愛い所があるな。
バッハに指示を出して、メギドの近くを飛んでそのまま樹海に行くように命令する。
メギドに差し掛かったところで俺は、グレンに摑まり関所へ降りる。後のことはバッハにお任せである。しっかり言い聞かせるんだぞ!
俺は俺で仕事をしないとな、グリエルにグリフォンが山に住み着く事を話してから、こちらに危害を加えそうになったら、殺してもいいと話しておく。
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