1347話 どうなる!?
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豚領主君……おっと、これだと豚に失礼だったな。キレイ好きでアイツなんかよりよっぽど清潔だし、豚は食用としてとても人気がある。アイツはいるだけでまわりに迷惑しかかけないからな。
だからと言って、名前で呼ぶには違和感がある。オークと呼べば、流石にオークたちからクレームが入るな。
蛆虫? アイツらはアイツらで、食物連鎖の一部を担っているから、あの領主より価値が高い。良く考えたら、アイツって生きてるだけで害悪なんじゃないか? プラス効果って何か持っているのだろうか?
冗談で捕虜にした部下に聞いてみたら、出ること出ること、あの糞領主の悪口というか、してきた悪行。でもでもな、お前たちも加担していたんだろ? そうでなくても、犯罪行為を黙認していたのであれば同罪だ。
この糞領主は、引き取りに来る帝国の人間が来る前から、反逆罪が適応されるとわかるほどの屑だな。
牢屋にいれた30分後に、音があまり届かないようになっている待機室から、騒音のクレームが来た事にはビックリしたけどな。
この対策として、完全に遮音できるようにして、待機室からは映像で確認できるようにしている。もちろん音量調節ができるようにしているので、耐えられるレベルにまで音量を落として監視に使っている。
ん~後、30人程捕まえれば、お偉いさんで前線に出てきている奴らは全て捕まえ終わりそうだな。
問題は、トップがいなくなった軍隊のとる行動だよな。冒険者が多く略奪許可も出ている軍だ。それなりに荒くれ者が多いはずだ。もしそれが何も得られずに退却するという事になれば、仲間内での争いだけじゃなく、帝国の街を巻き込んだ問題に発展するか?
そこら辺は、俺が考える事ではないか。帝国が領主に規律を守らせなければならないのに、放置しているからこんな事になるんだよな。まぁ襲われる街は、今回出兵してきたであろうメギド近くの街だと思うけどな。自業自得である。
インペリアルガードが準備しているらしいので、帝国で飼いならしている飛行系の従魔を導入して一気に移動してくるだろう。そいつらが来る前に、冒険者が戦線を離れなければ、被害はほとんどなく終結すると思うが、現状ではそうも言ってられないだろうな。
何せ、バッハの火の玉による攻城兵器の破壊に、ワイバーン・ハク・スライムによる奇襲とお偉いさんの拉致で、戦線はぐずぐずになっているからな。
インペリアルガードが急いでも、後4時間はかかりそうだな。戦っている軍人に優秀な指揮官がいない限りは、確実に逃走する冒険者が増えるだろう。
冒険者の体力にもよるが、戦闘できるだけの体力を残して街へ向かうなら、おそらく2日はかかるだろう。それまでに対策を頑張ってくれ。
インペリアルガードの上位50人が出てくるなら各街に2~3人配置しておけば、皆殺しはともかく撃退位だけなら余裕だろうしな。こっちに来たら、知らせてやるくらいはしてもいいかな?
『主殿、戦線の一部がしっかりと隊列をとっているように見えます』
ダマの念話を聞いてそちらの方を見る。おぉ? 兵士の集まっている中央あたりだな。優秀な指揮官でもいたのかな?
慌てふためいている兵士や冒険者が、隊列をしっかりと組んで後方へ下がっている。支援部隊としてついてきていた人間は、どうしていいか分からずその場に留まっていた事が功を奏したのだろう。すぐに隊列を組んでいる所へ合流していた。
優秀な指揮官が中央にいたためか、中央と隣接する右翼と左翼の中間にいた冒険者達は、そこに吸収されるように秩序を取り戻して、壁から離れている。
だけど、吸収されなかった冒険者が、両翼に2500人ずつ、合わせて5000人程が、秩序無く逃走を開始した。
5000人か……そこそこの人数が逃げたが、不意を突かれなければ問題ないか?
「ダマ、少し暴れたかったりするか?」
『ん~どっちでも。暴れるのにも条件が付くんですよね?』
「まぁな。今回は、死なない程度に雷でも落としてもらえればって思ったけど、面倒ならいいわ」
『何人か死んでも文句はないですか?』
「そうだな。2~3割は死んでもいいんじゃないか? 国力は多少下がるかもしれないけど、どうせ半犯罪者みたいな冒険者共だし、帝国に文句を言われたら、皆殺しの方が楽だったんだけど! とか言っておくさ」
『了解。最近は、あまり魔力を使う事がなかったので、少しぶっ放したいと思っていました。どこを狙うので?』
「両翼の逃げている奴らを狙ってくれ」
『結構広範囲ですね。それなら、規模を大きくすれば威力も抑えられるかな?』
ダマが魔法を放つ体勢に入った……予想以上に魔力を練り込んできたな。でも、ただ単に雷魔法を使うわけではなさそうだ。
もしかして! 前に教えた天候を利用しての魔法か?
でも、ダマは火魔法はあまり得意じゃなかったはずだけど。
俺が気にしている間にも、ダマが魔法を使っている。初めに使ったのは、上昇気流を作る魔法だ。だけどその速度が尋常じゃない。風速40メートルは越しているのではないだろうか? 地表から這うような位置で気流が発生しているため、逃げ出した冒険者がたたらを踏んでいる。
それだけ勢いよく風が巻き上げられれば、火を使わなくても積乱雲ができるみたいだ。もしかしたら、水魔法で水蒸気を混ぜてたりして?
出来上がった積乱雲がゴロゴロと音が鳴っているのが分かる。とはいえ、規模が小さいので自然発生するような積乱雲に比べて、威力はかなり抑えられている。
それでも1人でくらったら、死ぬであろう威力は確保していると思う。
でも、これだと5000人を仕留めるには難しくないか?
ダマが一鳴きすると、2つ作られた積乱雲から雷が落ちる。
「えっ!?」
目の前で起きた事を理解できずに、思わず声が出てしまった。
雷は普通、そこまで多く枝分かれしたりはしない。だけどダマが使った魔法は、数百……いや、数千にも枝分かれして雷が、逃げ出した冒険者に降り注いだのだ。
どうやったか理解できないけど、実際に起きた現象なので何かしらのトリックはあるのだろう。それは後で教えてもらえればいいとして、冒険者の様子をマップ先生で見てみる。
どうやら、雷の威力で3~4パーセント程の冒険者が即死したようだ。6~7パーセント程が心停止を起こしてしまったようだ。合わせて10パーセント、500人位があの世へ旅立ったようだ。
冒険者としてこの戦場に立ってしまった奴らは、どの道罰がギルドから与えられるからな。
ギルドで略奪有の戦争依頼が出る時は、国を攻められた時だけだ。領主は、3つの街が落とされた事を前提に出して、ギルドに依頼したのだろうが、メギドを攻めてしまっては、規約違反になる。領主にも罰則はあるし、冒険者にも罰則はある。
まぁ500人、攻めてきた全体の内、1パーセントなら許容範囲内の数だろう。自分の国が荒れるくらいなら、その程度の損失には目をつぶってくれるだろう。手加減は、こっちの善意でやってるだけだしな。
ダマをほめてやり撫でまわした。
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