1338話 試作
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カタパルトに使う弾の形状は決定した。まぁ、元より弾の形状というか特性は決まっていたようなもんだ。
カタパルトの弾頭は、先が重くなっており100回撃っても、先から落ちるように設計している。
何発も試して撃ってみる。特に問題なく弾頭の先から突き刺さる。
「これは問題ないでござるな。後は、フレシェット弾のように中に、子弾を仕込む方法を考えるでござる」
「そうだよな。これにどうやって子弾を仕込むか。子弾もできれば重くして、落下速度をプラスして威力を強くしたい所なんだけどな。ん~弾だけは俺たちが作る必要があるから、魔核を使って内蔵した子弾を撃ち出すことはできるか?」
「難しいだろうけど、魔石を使った爆発を利用したら何とかならない?」
「なるほどでござる。魔核ではなく魔石の粉を爆薬に使えば、ある程度の威力を確保できるかもしれないでござるな」
「ちょっと待った! 魔石の粉を爆薬に使ったら、銃と同じような効果だったら威力が減算されないか?」
「あれは、銃の機構をしていないなら、大丈夫でござらんかったか?」
「あれ? そうだったっけ? ちょっとフレシェット弾の中身を詰め込んでやってみるか」
フレシェット弾の中身の子弾みたいな物を詰めてみる。というか、フレシェット弾の構造を真似して作っているので、太った弾みたいに見える。分かってた事だけど、1つの弾を作るのにフレシェット弾の2発分を詰め込む必要があるので時間がかかった。
子弾を詰め込む作業は、俺たちじゃなくても問題ないので作成時の負担は考えなくていいだろう。俺らが作るのは、子弾を散らばらせるための機構だけだ。子弾に関しては、鍛造ではなく鋳造で問題ないので、大量生産は大丈夫かな?
「ふ~完成したでござる。骨だけなのに肩が凝りそうでござった」
「確かにチマチマした作業は大変だったね。問題は、炸裂条件はどうするの?」
「地面からの距離を考えているんだよね。高度が下がり出したら計測開始をして、100メートル上空で炸裂みたいな?」
「弾道の山を高くするとはいえ、どの位の高さまで飛んでいるでござるか?」
「分からん。100メートルは飛んでるんじゃね?」
「色々考えるのは面倒だから、高度が下がり出したら炸裂でいいんじゃない? それが一番広範囲に広がるんじゃない?」
「それだ!」
「それでござる!」
弾道に関係なく高度が下がりはじめたら炸裂という事にできるので、難しい事を考えずに撃ち出せるだろう。
「えっと、高度が下がりはじめたら少しして爆発っと。これでいいかな? 試し撃ちしてみるか」
ドワーフの作ったカタパルトではなく、一般的なカタパルトで撃ち出す予定だ。
「ちょっと待った! 単純に高度が下がっただけとかにしておくと、移動させる時に誤作動する可能性があるな。速度付け加えても、魔導列車より早く設定しないといけないか? それだとカタパルトに反応するのだろうか?」
「それなら、一定時間内に限定した設定をしたらどうでござるか? 一気に上がってから、ちょっと高度が落ちたらみたいなのはどうでござるか?」
「なるほど、悪くないかな? ちょっと試してみるか。一定時間は、20秒位にしておくか。で高度は30メートル以上あがって、5メートル位下がったらっと……こんなもんでどうだ?」
「20秒でござるか? 長くないでござるか?」
「1000メートル飛ぶんだろ? 20秒で着弾するとしたら、えっと180倍で1時間だから、平均時速が180キロメートルか? カタパルトの撃ち出す速度としては早いのか? そこら辺は微調整していけばいいんじゃね? 短くて炸裂しないより、ある程度長く時間をとって炸裂した方がいいんじゃね?」
「そうね。炸裂しなかったら意味ないもんね。長く設定しても、要は運ぶ時に誤作動しなければいいだけでしょ? 20秒もあれば十分じゃない?」
細かく設定した理由は、綾乃の言った通り誤作動しなければいいので、20秒で十分だろうという事になった。魔導列車で20秒で、高さが30メートルもあがる場所なんてないからな。
うっし、これでいいだろう。ダーツの回収の手間を考えてダンジョンの中で行う事にした。
とはいえ、ダンジョン農園は結構詰まってしまっているので、ディストピアから少し離れた場所。ゴーストタウン側には、まだ余裕がある所があるので、そこに武器や兵器の試験場を作成した。
昔作ったP90をベースに改造したピースや、スナイパーの試射は、高さがいらなかったから距離さえあればよかったから、専用の試験場などは必要なかったが、大型の物になるとさすがに試験するだけでもかなり大変だからな。
「思ったより飛距離が出なかったな」
「そうでござるね」
「想定していた距離の半分ね」
「フレシェットの子弾、ダーツを重くし過ぎたか?」
初め準備したフレシェット弾の子弾は、1グラム以下とめっちゃ軽かったのだ。それが8000本、火薬やその他の重量を合わせればそれなりの重さになるのだが、子弾だけだと16000本全部合わせたとしても13キログラム位で済んでしまう。
子弾が軽すぎると、この世界の兵士にもダメージを与えられない可能性があるので、DPで出す際に魔改造をして子弾の重さを10グラムにしていたのだ。
撃ち出す弾の重さが、散らばらせるための装置や魔核、子弾を入れておくケースなどすべてを合わせると、200キログラムを超えていたのだ。
さすがに重すぎたか……だけど、距離以外は全て成功したと言ってもおかしくない結果だった。
子弾の炸裂は上手くいって、予想より広範囲に散らばってくれた。少し爆発の威力が強すぎたのかな?
500メートルの飛距離でも半径100メートル程に散らばったので、かなり使えるのではないだろうか? ダンジョンの床にも軽く刺さるくらいの威力はあったので、金属鎧を貫通させられないだろうけど、柔らかい革装備なら貫通するだろう。
戦争時の兵士の装備は、金属鎧が多いのでどこまで効果があるか。それでもフルプレートの鎧を装備している兵士は少ないので、体のどこかには当たってくれるだろうか?
子弾の重さ半分にして、子弾の数を増やせば金属鎧の無い所にあたるかな? それより、散らばる半径を減らすべきか? ん~悩ましい。
戦争が近付いているのに、俺たちはズレた所で迷走をしていた。
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