1314話 捨て駒……?
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視界が真っ白になった次の瞬間……
いづっ!!!
歯医者で麻酔が上手く効いていない時に、歯を削って神経に触れた時のような全身を走る痛みが、数倍になって襲って来た。
気付いたらドッペルとのパスが切れていた。隣の部屋で意識を移していたので、すぐに監視室に戻る。
「何が起こった!」
「あなたのドッペルと勇者のいた所に、意味不明のクレーターのような物ができてるわ」
綾乃にそう言われて、表示されている映像を見る。
「クレーターというより……抉れてるな。勇者は? スケルトンや人造ゴーレムはどうなった?」
「スケルトンは全員リンクが切れたでござる」
「人造ゴーレムも全部ロストしたわ」
どうやらあそこにいた魔物や人間、ゴーレムは全て消滅したらしい。そう、消滅したのだ。クレーターではなく、そこにあった物が消えたのだ。
「神だよな? 視界が白くなる前にあいつらが、届くとか言ってたんだよな……あんなの魔法でもスキルでも何でもないだろ。ステータスアップと武器だけじゃ俺たちにかなわない事を理解していたから、最後のあれがあったんじゃないか?」
俺の導き出した答えに、綾乃もバザールも無言になる。
「多分さ、あいつら騙されてたんじゃないかな? 俺たちが倒せる方法で一緒に死ぬとは思ってなかったとか? 俺を殺す事によって地球に帰れるとか……そんな感じで言われたんじゃないか?」
「可能性はありそうでござるな」
「確かにやりそうな内容だね」
やっぱり聞けばそう思うよな。
「っつか、あの消滅魔法と言っておこうか、あの消滅魔法は神の力の一部って事かな?」
「どうでござるか。神の持たせていたアイテムって可能性もあるのではござらんか?」
「神の力かは分からないけど、神が関係しているのは間違いないと思うわ」
勇者の命を捨て駒に使ったって事か? マジであいつら何なんだ?
『やっぱり生きてるわよね? 何かちょっかいをかけようとしていた神が、あんたを倒す事に成功したとか騒いでいるんだけど、あれは何?』
チビ神か、簡単に言えば、勇者が攻めてきたからボコって捕まえて、ドッペルで話を聞きに行ったら急に白く光ってあたり一帯が消滅したんだよ。
『え? 消滅した? どういう事?』
っつか、お前は見てなかったのか? どうやって見せればいいんだ? あ~召喚した人間の視界なら覗けるんだっけ? 今その映像を映している画面見てるから覗いてみろ。
『そういえばそんな事も出来たわね……えっ!? まさか、あいつらあれを使ったんじゃないわよね!』
あれってなんだよ。魔法か? スキルか? アイテムか? 目の前にある光景を作り出せる方法はまだまだ準備できるって事か?
『ん~あなたになら言っても問題ないかな? 実際にあいつらが使ったんだし、存在を教える位はこっちにペナルティーは無いはず。何かあったら全部あいつらの所為にしよう!』
一人で納得してないで教えろって!
『ごめんごめん。使われた瞬間を見たわけじゃないから正確な事は言えないけど、その光景を見る限り【無幻爆弾】を使ってる可能性が高いわね。詳しい原理は知らないけど、効果範囲内にあるあらゆる物を全てを無に帰す……魔導具と言えばいいのかしら? それを使ったんじゃないかな?』
確認するが今回、俺に敵対行動をとっている神は、ルールには抵触していないのか?
『一部抵触している事はあるけど、抵触したからと言ってペナルティーがかかるような物ではないわね』
マジでクソだな。こっちにはルールは破れないみたいな事を言っているくせに、敵対行動している奴等はお構いなしにルール破ってくるのに……お前らは俺を殺したいのか? 不利になっている所を見て楽しみたいのか?
『あなたがそう言いたくなるのも分かるけど、私にはどうしようもないのよ。だって私は、あなたを召喚したから、私の権限だけであなたが有利になるような事は出来ないのよ。ちょっかいかけている奴等は、自分で召喚した相手じゃないから、ルールを多少無視してもお咎めが無いのよ』
すがすがしい程クズばっかりな事で! ちょっかいかけるくせに自分で出てこないって言うチキンなんだろ? どうせどっかで聞いている奴がいんだろ? お前ら神が勝手に呼んで戦わせて楽しんでいるくせに、神風特攻隊みたいな事させてんじゃねえよ! てめえら腐り過ぎだ! さっさと滅びろや!
『あんた、本当に怖いもの知らずね。聞き耳立ててた奴らが青筋立ててるわよ。あいつらは、今度はどんな事をたくらむんだろうね』
というか、もう相手が誰であろうと敵対行動をとっている奴らには遠慮しない事にするさ。サーチアンドデストロイだ。ここからは戦闘じゃなくて、一方的な蹂躙になるから見てても楽しくないかもしれんぞ。
『あんたがどんなことするか興味があるから見るに決まってるじゃない。無幻爆弾の対処としては遠距離から殺すか、物量で攻める以外にとれる方法は無いだろうしね』
もう1つあるさ。まぁ俺は準備を始めるから、さっさとどっか行ってくれ。
『はいはい、わかりましたわよ』
そう言っていなくなった。
念のために遠距離用の武器を作っておかないとな。
「綾乃、バザール、遠距離用の武器を作るから手伝ってくれ」
「遠距離用? この世界って銃の威力は低くなるんでしょ? そんなに遠くまで飛ばせる武器何てあるの?」
「何言ってんだよ。この世界の弓の名手って普通に1キロメートル離れてても当てるって話だぞ。実際に俺が死にそうになった時の矢は500メートル位離れてて、的確に弱点の首を貫いてきたからな」
「弓でござるか?」
「いや、弓だと技量次第だから、クロスボウを作ろうと思う。素材にもこだわって、Sランクの魔核を使って威力を上げて、付与魔法で直線に飛ぶようにできるから、使い慣れれば銃より当たりそうな気がするな」
「クロスボウでござるか? それに魔核、だから拙者たちに手伝ってほしいという事でござるな」
「そんな所だ。ただ、神共がなりふり構わない感じで襲ってくるから、こっちも手加減無しだ。まぁ俺は、少し大きく作って魔改造したスコープも付けて、台において発射する感じで作ろうと思う。綾乃やバザールも自分でイメージした物を作ってみてくれ」
近くに工房を作り、必要になるであろう素材とモデルになるクロスボウを大量に準備しておく。
「俺はちょっとグリエルに連絡を入れてから工房に向かうわ」
2人からの返事は、手を振る事で帰って来た。
「グリエル、いるか?」
『はいはい、どうかしましたか?』
「各街に通達してほしいんだけど、勇者の称号持ちは絶対に街の中に入れるな。街に向かってくるのに関しては、可能な限り離れての対応を頼む」
『勇者の件は分かりますが、離れての対応は難しいのでは?』
今回の戦闘に関して詳しく話し、無幻爆弾が爆発した現場の映像を見せたら納得してくれた。対応のための武器も今作成中なので、完成次第配布する事を伝えている。
「スプリガンの皆は、勇者の動向をチェックしてください。現場と連絡をとって、現場が対応しきれない場合は、ダンマスのスキルを使って出られない高さの落とし穴へ落としてください。敵対行動をとった奴らは皆殺しです」
殺伐とした空気になってしまった。が、生ぬるい事は行っていられない。もし、無幻爆弾が街の中で爆発したら、数万単位で人が死んでもおかしくない。神にのせられた勇者が何をしでかすか分からないからな。
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