1307話 新たな武器?
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目が覚めると、スライムベッドに寝ていた。
倒れる前にニコに頼んだのだから当たり前だな。でも、ニコだけじゃなく他のスライムもベッドになっていた。
理由は、娘たちも一緒に寝ていたからだ。ニコを含む4匹がベッドのマットレス替わりで、40匹程がベッドの柵のように周りを囲んでいたのだ。
カラフルなスライムのベッド柵……娘たちが寝返りをしても落ちないようにという配慮のようだ。ケットシーは、野生を忘れた猫のように仰向けになり大の字で寝ている。
ウルも一緒に寝ているようで、娘たち3人と一緒に寝ている。左からウル・スミレ・ブルム・ミーシャの順でくっ付いて寝ている姿はとっても可愛い。母親3人は既にカメラでその様子を撮っていたみたいで、成長記録アルバムの中へコピーしていた。
俺が起きようとすると、ニコが気付きスライムベッドから自分を切り離し、娘たちが起きないように配慮してくれた。できるスライムは違うね!
俺が倒れた後の事を聞いた。
ミーシャは「何か眠っちゃったね。起こさないようにあっちに行こうか」と、スミレとブルムは「一緒に遊びたかったのに残念」と、ウルは「起きた時にびっくりさせるために頑張ろう」と言った内容を話していたそうだ。
しばらくは俺が作った木刀で騒いでいたみたいだけど、はしゃぎ過ぎて疲れてスライムベッドに飛び込んできたらしい。だから一緒に寝ていたって事か。
で、みんなが寝て暇だったから、ミリーとカエデは体を動かしていたと、リンドも体を動かしていたみたいだが、俺の作った木刀に興味を持って途中で休憩に入ったらしい。
「ねぇシュウ、ユグドラシルから作った木刀って何でこんなに硬いの?」
「そもそもユグドラシル自体がありえない強度だから、それで作った木刀だから硬いんだろ?」
「そうじゃなくて、何で木の刀なのにこんなに硬いのかって思ってね。だってユグドラシルとはいえ木だよ? 繊維が絡み合って硬くなっているって言っても限度があると思うの。それに、密度が高いなら重いよね? それなのにこの木刀って軽くない?」
リンドは、ユグドラシルの枝で作った木刀が軽いと主張しているのだ。力があるから軽い物だと思っていたけど、召喚した日本の木刀はもっと重たいのだ。訓練用なのか何なのか分からないが、重く硬かった。
それに軽い木は、基本的に柔らかい。凹みやすいし折れやすい。なのにユグドラシルの枝は、軽いのに硬く折れにくい。正確には、俺の力では折ろうとしても折れなかった。多少だけど曲がる事は曲がるのに、折れる気配がなかったのだ。
両端を固定して重量級の戦斧を使って切ってみようとしたのに、振った斧をバネに跳ね返されるみたいに弾かれてしまった。しかもその時に支えていた両端の鉄の塊が10センチメートル程えぐれてたのだ。マジ謎の多い素材だ。
「そう言われると、軽い木なのに硬いよな。しかもしなやかとか矛盾にも程がある。本当によくわからんな。DPで召喚できないし、特殊素材って事なんだろうな」
「やっぱり不思議よね。そういえばさ、ミリーの武器は棍棒でしょ? それで作ってあげないの?」
「あぁ、この枝で作れば最高の棍棒ができるか? でも軽いけどいいのかな?」
「それは本人に聞いてみたら?」
それもそうだな。と思い、鉄〇チンミに出てくる棍使いのように棍棒を操っているミリーに声をかけてみた。
「全部がユグドラシルの枝でできていると、軽すぎるかな? レベルも上がってステータスも高くなっているでしょ? 棍棒があまり軽いと、扱い辛いのよね。本当に技術がある人なら気にならないかもしれないんだけどね。それに、重い方が威力が高いし戦闘には向いているんじゃないかな?」
との事だ。鉄心入りの棍棒とかがいいのかな? 全部金属だと打撃力は高いが、しなやかさが足りないとか前に言っていたような? とりあえず、無理しない程度に作ってみるか?
今使っている重さの棍棒と同じ位の重さと長さのアダマンタイト棒を召喚する。比重が重いから、思ったより細い棒だった。
ユグドラシルが今までに落とした中で一番まっすぐでちょうどいい太さの枝を準備する。集中して棍棒を作る。その後にアダマンタイトが入るように細く中心をくりぬく。
ふげぇ、かなり魔力を消費して体が怠い。倒れる前にも大量に魔力を消費して、ポーションで無理やり補ってたからな。
くりぬいたはいいけど、詰まっていてまだ取り出せていない。この状態でアダマンタイト棒を突っ込めば、反対から出てくるか?
俺が棍棒を押さえアダマンタイト棒をセットする。棍棒とは逆の位置にリンドに立ってもらい、ハンマーで押し込んでもらう。
思った通り、くりぬいた部分は押し出されるように、反対側からニョキニョキと生えて来た。
叩きこんでいる音で目が覚めたのか、ウルが体を起こしこっちを見ていた。その視線がロックしていたのは、棍棒ではなく棍棒から出て来た細い棒の方だ。
走り寄ってきて、完全に押し出された細い棒を持って何やら考えている。身長が1メートルちょっとのウルが2メートル程の細長い木の棒を持っている。何を思ったのか、俺たちから離れてブンブン振り始めた。
軽いから素早く振れるのだが、風の抵抗を受けて思い通りに振れていない。だけど、棒が奏でる音が4歳児の振る棒からしているとは思えない程凶悪だ。
ウルは素振りを止め、今度はカエデの抜刀術を真似てあの長い棒を腰だめに構える。様子を見に散数いていたのが拙かった。
勢い良く振られた棒は風を切る音もなく振り抜かれた。
パシーンッ
4メートルは離れていたのに、俺の太腿にヒットしたのだ。鞭で叩かれたような痛みで、全身に鳥肌が立つような痛みだった。
そのままうずくまり、痛みを訴えている太腿を押さえ、回復魔法をかけた。
全員目が点になり、現状を誰一人理解できていなかった。
今も俺とウルは4メートル以上離れている。ウルの手に持ったユグドラシルの細い棒は変わらず2メートル程。なのに俺の太腿には何かに叩かれた赤い痕。
何らかの方法でウルの持っている棒が伸びたのか? イヤイヤまさか……木が伸びるわけないじゃないですか……そう思い、ウルに棒を借りて抜刀術を試してみる。ターゲットは池の近くに置いてある岩。
4メートル程離れた位置で構え、振り抜く。
ウルと同じように風を切る音も聞こえなかった。そして普通に振りぬけてしまった。やっぱりこれじゃないのか?
木の棒を見つめていると、
「ご主人様! 岩が切れています!」
俺がイメージして振り抜いた部分が綺麗に切れていた。この表現は正しくないな。棒の太さ分だけ岩が低くなっていたのだ。
切れた部分には粉になった岩の破片があり、サラサラ下に落ちている。お~原理は全く分からないけど、この棒が伸びるっぽいな。ユグドラシルってマジで何なんだろ?
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