1306話 あれから
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チビ神を通して、更に神たちに喧嘩を売ってから1ヶ月、特に変わりのない生活をしていた。
ダンジョンの中の家では息が詰まるので、地上の家に戻り普通に生活をしている。
娘たちはすくすく育ち、ミーシャに引っ張られるようにスミレとブルムが話せるようになってきている。だけど「とーたん」は相変わらずである。みんな可愛いので、俺の呼び方なんてどうでもいいんだけどな。クソオヤジとかパパ臭いとか言われなければなんだっていい!
一番大きく変わったのは、世界樹ユグドラシルだろう。エルダートレントが乗り移ってから、しっかりと根を張り更に大きくなっているだが、枝を伸ばす方向広さも自由自在で住宅街に迷惑がかからないように鍛冶エリアの方に枝を伸ばしている。
そして一番驚いたのは、ユグドラシルの索敵と呼べばいいのだろうか? 周辺の木々に働きかけて、樹海内の動きであればすべてを把握する事ができるらしい。しかもその範囲の中には空も含まれており、近付いてくる者は全て把握できるのだとか。
人間だったら、そんな広い範囲の情報を処理できるわけが無い。それを軽々とやってしまうユグドラシルは本当にすごいな。しかも、こいつ滅茶苦茶頭がいいというか、スペックが高い。
新しく作った監視室に入り浸り、分体でスパコンと同調して情報管理を一手に引き受け始めている。
このユグドラシルは、理論上の量子コンピューターと同レベルの情報処理能力があったりするんじゃねえかな?
ユグドラシルが監視に参戦した事により、スプリガンの負担がかなり減っている。そのおかげで、効率よく仕事ができるようになっているようだ。
というか、ユグドラシルよ。お前はそれでいいのか? と聞いたのだが、
『基本的に光合成以外する事がないので暇なんです。こうやっていろいろ知れる事は面白いですよ? 私、寝る必要ないのでずっと面白いまま!』
とか言っていましたね。本人と言っていいのか分からないけど、自分で納得というか楽しんでやっているみたいなので、無茶はしないように。
変わった事と言えば、ウルが家の外に出るようになった事かな? 人にはまだビクビクしている様子は見られるけど、娘たちと遊んでいる時や、孤児院の子たちと遊んでいる時は、かたさが取れてきていると思う。
孤児院には、同じ年齢の子どももいるし、獣人の子も多い。なので、ウルにはちょうどいいのかもしれないな。
とはいえ、孤児院の子たちもずっと遊んでいるわけでは無い。恵まれているけど、街の子どもより大変な思いもしている。
この子たちは親がいないので、早い段階で自立していかなければならない。勉強もしっかりとしなければならないが、自分にあった職業も探さなければならないのだ。
特に10歳を過ぎてくると、個々に色々な所に職業体験をしに行くようになる。色々体験して、自分で自分の将来を決めていくのだ。色々苦労するだろうから、巣立つまではしっかりとサポートするようにしている。お金を出しているだけだけどね。
10歳になるまでは、ある程度の人数でまとまって職業体験をしに行くのが基本だ。後は、孤児院の裏にある畑を自分たちで管理しているくらいだろうか?
ウルはその中に入って色々な体験をここ半月程頑張っている。
娘たちが、ウー姉と一緒のことする! と騒ぐのだが、さすがにまだ早いので中庭に娘用の畑を作っている。気が向いた時にしか作業をしていないのだが、ウルと同じ事ができると満足して大人しくなるので基本的な管理は、面白がっているドリアードが進んでしてくれている。
改めて考えると、俺って本当に恵まれているよな。良い人にも出会え、召喚した従魔や妖精もみんないい子ばかりである。
可愛い妻たちもいるし、娘も可愛いしな。
1つ心配な事は、どこまで娘たちをかまっていいか分からない事くらいだろう。
そういえばユグドラシルは、剪定等は必要ないそうだ。ただの世界樹だった時もしていなかったが、ユグドラシルになった今、自分でいらない枝等は落とすそうなのだ。
どういう基準で選んでいるのかは分からないが、毎朝ユグドラシルの根元に大小さまざまな枝が落ちている。
何かに使ってみようと思ったのだが、クリエイトゴーレムでも加工が難しくどうしようか悩んでいる。
昔、フルアダマンタイト製の剣を作った時のように、無茶苦茶魔力を消費するのだ。あの時は召喚する時に多少形を整えていたからギリギリ何とかなったが、今回のユグドラシルの枝は枝なのだ。
クリエイトゴーレムで加工するためには、大まかな形を整える所から始めなければならない。長さや形を調整してやっとこさできたのが、木刀である。京都奈良の修学旅行で1人は買うお土産屋に置いてある感じの木刀だ。
ただ、この木刀、やべえ。何がやべえって、ドワーフのじっちゃんがミスリルを使って打った大剣と打ち合って、叩き折ってしまったのだ。しかも木刀のくせに傷1つ付いていないとか……マジやべえ。
ネタ武器としては面白そうなので、色々な種類の武器をユグドラシルの枝で作ってみようと思う。きちんとした武器として使えるように、刃もしっかりとつけてみようと思う。
それ以外には使い道は思いつかなかったので、日々倉庫に枝が積みあがっていっている。
今日も落ちた枝を回収しに行ったら、ウルと娘たちがユグドラシルの枝を振り回して遊んでいる。あれは恐らく、俺や妻たちが庭で訓練している時の素振りとかを真似しているのではないだろうか?
ウルが3人の前に立って、木の棒を構え「1、2、1、2」と掛け声をかけて振っているのだ。それを見た娘たちも真似して「1、2、1、2」とやっている。何をしていても可愛いな。
母親やケットシーは、その様子を微笑ましそうに見ている。
俺の事を見つけたミーシャが駆け寄ってきて、
「とーたん! これキレイにして!」
と、先程まで振っていたユグドラシルの枝を突き出してきた。ミーシャの前で木刀を作った事を覚えていて、木の枝っぽいのじゃなくて武器っぽくしてほしいって事だな。
マジか! ウルも含めて4本もユグドラシルの枝を加工する事になった。誰か1人ずつというわけにはいかなかったので、根性を入れて加工した。Sランクのマナポーションを合計20本も飲む羽目になったよ。
1本が100ミリリットル位なので、合計2リットル、お腹がタポタポです。ニコ、プニプニベッドを頼む。
パタリッ
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