1303話 洗脳教育?
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俺は娘たちの部屋を後にして、ゴーストタウンへ向こう事にした。
ファイブ大陸から連れて来たメイドの様子を見るためだ。シルキーやブラウニーの教えを受けた者が中心に、再教育をしているらしいのだ。カザマ商会の人間でこの街にいる従業員は、ほぼ全員がシルキーの教えを受けてるからな。
準備したのがゼニスであれば、手は抜かないだろう。だから、シルキーの教えを受けた者に教育をさせているのだと思う。
今回は、その様子を見るために、ゴーストタウンへ行こうと思ったのだ。
思ったより大きな建物でビックリした。形を見て思い出すのは、学校だな。教室のある棟と、実技室がある棟みたいな感じだ。それが、ひーふーみー……5つ棟がある。
案内してくれた人が、3つが彼女たちの部屋のある棟で、もう2つが授業を受ける棟と説明してくれた。
1つの棟に270人位か? 5階建てで1階は、食堂やらキッチンやらお風呂等があるようだ。2~5階の1階毎に70人程。部屋数は15。どうやら4人1部屋にしたらしいな。ここら辺はゼニスが決めたのだから何か意味があるのだろう。
遠目で授業を見た限り、城にいた時にも笑顔ではあったが、あの時は作り物の笑顔だった印象が強い。でも今は、しっかりと心からの笑顔が見られている。
シルキーの教えのように厳しい物ではあるが、今まで置かれていた環境が更に悪い物だったので、鬼のしごきでも笑顔でいられるのだろう。俺だったら、あのしごきの中で笑顔は作れないな……
ただの指導だけでなく、授業ももちろん行われている。
今まで気付いていなかったのだが、大陸が違うのに普通に言葉が通じていたのだ。俺はスキルを持っているから問題は無いのだが、スキルを持っていない人間も会話が成立しているという事は、言語が同じだという事だ。
ちょうど様子を見に来ていたゼニスに遭遇して、どうやって言葉を教えようか悩んでいたが、指導員から話を聞いた所言葉が通じる事に驚いて連絡があったのだとか。
普通に話せる前提でいたけど、もし言葉が通じてなかったら、他のメンバーではどうしようもなかったのでは? そう考えると、運が良かったな。
創造神のじっちゃんが世界を作った時に、言葉も一緒に刻み付けた感じかな? よく考えれば、神たちも覗いている世界なんだから、いろんな言語があると面倒だよな。
おっと、この学校には体育館もあるようだ。
何が行われているのか覗いてみたが、俺が想像している授業では無かった。
そこは、体育館というよりは、武道場とか訓練場に近い物だった。傍から見ると体育館なのに、中では徒手空拳の訓練のような物が行われていたのだ。
しかも! バスケットコートや、バレーのコートもとれるようになっているから、違和感が半端ない。
多分だけど、ここを作った時に、面倒で体育館をそのまま召喚したのではないだろうか? 靴を履いて綺麗に磨かれた床で訓練するのはどうなのだろうか?
ゼニスに聞いてみると、訓練から掃除までを1セットで、教育している! との事だ。そういえば、中学の授業でもそうだったけど、掃除までが1セットだったな。高校の友達にその話をしたら笑われたけど、掃除も含めて1つの授業だと思う。全員でやればすぐ終わるしね。
2クラス70人位が2時間続けて体育の授業だったからな。終了5分前に10人並んでモップを走ってかけて、端から端で交代すれば5分もかからずに終わったものだ。
慣れない事をしているから大変そうではあるが、それでもみんなが笑顔なのはいい事だ。
見学している間に昼食になったので、食堂のある1階に足を運んでみた。
ここで提供されている食事は、朝昼夜と授業で作るらしい。昼は午前中の授業のメンバーが、夕は午後の授業のメンバーが、朝も前日の午後のメンバーが作り置きするのだとか。
他にも授業で、掃除という項目もあり、各教室や1階の共有部分を掃除するらしい。
昼食時間にお邪魔すると今日のメニューは、カレーだった。香りにやられて一緒に食べさせてもらう事にした。
同じ机に座ったメイドさんから、色々な話を聞けたので良かったかな。
今までより仕事に対しては厳しいけど、愛のある厳しさだから反対に嬉しいと言っていた。他にも授業では、この大陸の常識がファイブ大陸とかけ離れているので、戸惑っていると。
スカーレットの授業もあったようで、俺のすばらしさを恍惚した表情で語っていたとか……えっと、それはスカーレットに言ってやめさせよう。
ゼニスは俺の事をからかって、そんな事をしなくてもシュウ様の素晴らしさはみんなが知っているよ! とか言ったら、話を聞いていた全員が頷いていた。君たち、まだここに来てそんなに時間経ってないのに、何故シンクロしているのかね?
なんかさ、洗脳教育しているような気がするのは気のせいだろうか? 3パターンあるんだよね。
特に顕著なのは、グリエルとガリアかな? あいつらには、良く助言を求めるからあんまり気にしてなかったけど、あいつらが育てている幹部候補みたいな人たちは、根こそぎ信者ぽっいんだよな。
次にシルキーとブラウニーの教育を受けた人たちかな? 信者というよりは、狂信者に近い人が多い。何を教えているのか見たことがあるが、あの授業で狂信者ができる理由が分からん。
最後がゼニスによるものだ。ここの人間は簡単に言えば、お金を全うに稼ぐのが好きな集団だ。俺が与えた物でガッポガッポ稼げるので俺に傾倒しているような感じだな。だけど、端から見ているとこれが信者に見えるんだよね。
だから、今回はゼニスに任せたのだが、商会の教育過程にも信者になる要素があったのかもしれない。
脅されたからと言って、ああはならないと思う。別に俺が気分を害そうが、ディストピアやゴーストタウンを追放する事はない。直接危害が加えられれば話は別だが、思想・思考にまで関与するつもりはないからだ。これは、法律にも何故か明文化されている。
このせいで、拡大解釈をしたバカ共が度々現れては処分している。日本の信仰の自由的な感じだけど、実は違うのだ。他人に迷惑をかけた時点でアウトなのだ。
集会などで声をあげて俺の事を批判するのはありだが、個人あるいは小集団をつかまえて、行動を妨害し自分たちの考えを話すのはアウトだ。ここら辺を履き違えて捕まる奴等が多い。
そして捕まった後は、内容によって刑罰が違うんだってさ。ここら辺は基準が良く分からないから放置している。
まぁ、ゴーストタウンで俺や街の批判をすれば、すぐに住民が反対意見を言いトラブルになるのだが、住民もしっかりと分かっており、声をあげる前に衛兵を呼ぶんだってさ。自分たちは絶対に手を出さないと。捕まるのは相手だけ。
いいのか? と思うが、住民が自発的にやっていることを止めることは出来ないので、危険なことはしないように注意はしてもらっている。
俺にとって都合がよすぎるけど、住民にとって害は無いのでいいのかな?
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