1301話 世界樹とは?
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世界樹を見て暴れていたエルダートレントが、器用に葉っぱを使い俺の手を叩き世界樹の方に行くようにアピールしてくる。
もしかして、世界樹に乗り移るつもりか? ん~そんな事しても世界樹は大丈夫なのかな?
問題があるなら、最悪命令して世界樹から出るように言えばいいか。
世界樹の近くまで行くと、魔法を発動して俺の手から世界樹の方へ飛んでいった。どうやってくっ付いているか分からんが、器用に葉っぱを伸ばして世界樹に張り付いている。
しばらくすると、食魔植物が世界樹から剥がれ落ちた。あっ! 鉢が割れちゃったじゃないか! まったくもう、掃除しておかないとな。
そう言えば世界樹は、メイとアクアに頼んでいたけど、エルダートレントを宿しちゃって大丈夫かな?
そんな事を心配していると、世界樹がユサユサと枝をゆすっていた。
エルダートレントが乗り移っているのだろう。鑑定をしてみる。
【世界樹ユグドラシル(エルダートレント】
……んん?
こいつってただの世界樹って表記だったはずなんだが、いつの間にか名前がついてる。でもさ、ユグドラシルって世界樹って意味なんだよな? 頭ヘッドとか足フットみたいな感じだな……なんというか馬鹿っぽい。
ただ、エルダートレントって出てるって事は、乗り移り成功だと思うけど。さっきの食魔植物や元々の木に宿っていた時は、エルダートレントとしか名前が出てなかったはずなんだがな。
ん~とはいえ、このままユサユサ枝をゆすられ続けても困るな。
悩んでいるとダンジョン農園から、普段は出て来ないドリアードがわらわらと出て来た。お前たちってそんなにいたのか?
「やっぱり世界樹が進化してますね。何か不思議な感じがしたので出て来たのですが、そういうことでしたか」
と、言う事らしい。エルダートレントが乗り移った事によって、世界樹が進化をしたようだ。魔物の進化というよりは、世界樹が進化するのか? まさか過ぎて目が点になったわ!
もう少し詳しく話を聞いてみると、世界樹から世界樹ユグドラシルに進化したというのは、表現的には正確ではないらしい。
成長限界を超えたという表現が一番ぴったりだというのだが、言うのが面倒なので進化とくくったそうだ。
俺達は気付いていなかったが、世界樹はあの大きさになってから成長が止まったかのように育っていなかったらしい。成長の限界を突破したらしいが、だからと言って何があるわけでは無い。そもそも、埋め込まれた知識のような物で、それを知っていただけだとか。
世の中にはよく分からない事がまだまだ多いな。
「でもな、大きくなるのはまだいいけど、ユサユサ枝を振るわれたら、大きさが大きさだからそれなりにうるさいんだよな」
「ご主人様、大きくなられるのも問題だと思いますよ。この地下にはダンジョンがあるので、ユグドラシルがしっかり根を張れないと倒れてしまいます」
ドリアードの1人からそう聞いて、俺は顔を青くした。これだけ大きな木が倒れたら……確実に死者が出る! エルダートレントが乗り移ったとはいえ、さすがに倒れないように維持しろというのにも限界があるだろう。
少しダンジョン農園を作り変えないといけないかな?
ダンマスの力で今ある畑とかを移動させれば問題ないか? む~、どうするのが正しいのだろうか?
悩んでいると、ズボンを引っ張られる感覚が……娘たちの誰かかな?
振り向いてみると、何となく見た事があるというか、いうならドリアードに近いと思うのだが、サイズや細部が違っている。
ドリアードは飛べないのだが、こいつは普通に飛んでいてブラウニーより小さい。下級精霊位の小さな物体がそこにいたのだ。
「アルジサマ! アノキニヤドッタラ、ブンタイヲツクレタ!」
慌てて鑑定すると、ユグドラシルの分体とでた。どうやら、世界樹に宿った事で別に行動できる体を手に入れられたという事らしい。そして、さっきまではご主人様だったのに、何故今は主様?
聞いてみたが、頭にクエッションマークをたくさん浮かべて悩み始めてしまったので、考えないでいいと伝えた。
意思疎通ができるようになったことは、便利ではあるな。でも、倒れないかどうかは別の話なんだよな。そこら辺がどうなのか聞いてみると、俺が許可を出せばダンジョンを上手く使って根を張り巡らせれる! と言っている。
よく分からなかったが、ダンマスの力を使えるようにしてあげれば自分で後はやってくれるようなので、ダンジョンは大きく変化させないようにお願いして、許可を出しておく。
作業に入るから今日一日は近付かないでね! と注意をされてしまった。ダンジョン農園内に用意した屋敷へ向かい娘たちと遊ぼうかな? って考えて娘達の部屋に入ったら、
「アチョーーーッ」
という掛け声と一緒に、太腿付近に衝撃を感じた。
何事かと思ったら、ウルが俺に見事なローリングソバットをしてきていたのだ。4歳児がどうしてそこまでキレイなローリングソバットができるんだ?
「ミーちゃん・スーちゃん・ムーちゃん、敵はこうやって倒すんだよ!」
ん? どうやら俺は今、ウルの敵という事になっているようだ……どういうことだ? 苦笑しながらこっちを見ていたミリーに目で訴えてみると、目をそらしやがった!
「ウー姉、とーたんは敵じゃないよ! みんなに優しくしてくれるもん!」
ミーシャが嬉しい事を言ってくれる。ちょっと泣きそうになったわ! ってミーちゃん、スーちゃんは、ミーシャとスミレだって分かるけど、ムーちゃんって?
「ブルムちゃんをみんなと同じように呼ぶと、ブーちゃんになっちゃうんだよ? 可愛くないもん! だからブルムのムでムーちゃんなの!」
という事らしい。
それにしても、獣人ボディーだと気軽に話しかけて来てくれるから嬉しいな。人間って言うだけで、体が反応してしまうのはしょうがないんだろうな。
とはいえ、何故俺が蹴られたのかについてはまだよく分かっていない。ミーシャを胡坐の中に座らせ、両膝にスミレとブルムを座らせて話を聞いてみた。
うさ耳幼女のウルは、どうやらヴォーパルバニーという種族らしい、殺人ウサギって物騒な種族だな。首狩りウサギとも呼ばれてたっけ?
種族特性というか、生まれながらにして身体能力向上を持っている種族なのだ。生まれた時から人間の一般的な大人より強いというありえない種族なのだとか。
平均的に強い種族だと思われていたらしいが、そう言った裏事情があるようだ。この大陸で見かけなかったのは、強くて危険という事でほとんどいないのだとか。
で、その身体能力のおかげで、ミリーが張り切って体術を教えた結果があのローリングソバットだったようだ。
ミーシャが一生懸命説明してくれたが、強いとかすごい! って言葉が多くてよく分からず、ミリーに通訳してもらった。
スミレとブルムは、俺のケモミミが気になって一生懸命触ろうとしていて可愛かった。
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