1285話 胸糞悪い……
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俺がキレ、ダマが絶句したその部屋は……
3人の獣人が肘と膝から先を切り落とされ、男の汚い液体を体中に纏い死んでいたのだ。そして、顔は原形が分からぬほど変形しており、目はくりぬかれ、乳房は切り落とされていた。
死臭がしたのは、この3人からだろう……切り落とされた部分はろくに治療もされておらず、しかものこぎりのような物で切り落とされていたため傷口がボロボロだった。獣人の特徴である耳も切り落とされ無残にも捨てられていた。
ウサギ耳がそこにあったので、ウサギの獣人だったのだろう。顔は分からないが、3人共ウサギの獣人だったようだ。姉妹か親子か同じ集落に住んでいたのかな?
そして、鳴き声が聞こえた!
「うわぁぁぁぁ! ママ!」
子どの声だ。それもまだ幼い子どもの声だ。
今まで気配もしていなかったのに、急に鳴き声が聞こえて俺はビックリしたが、その声の主を探す。うさ耳の子どもが両手足に錠を付けられ壁に繋がれていた。
4歳位の幼女がそこにいた。
この子には男たちの魔の手は伸びていなかったようだが、服を着ておらず全身あざだらけだったのだ。
そして、この3人の誰かがこの子の母親だったのだろう。
娘や妻たちがさらわれた時もかなり怒っていたが、今はそれ以上の怒りを感じている。自分より怒っている人がいたら冷静になるあれではなく、怒りが突き抜け1周して冷静にぶちギレている状態だ。
手に持っていた王を放り捨てその子に近付く。
両手足に錠を付けられているが、近くに来た俺を威嚇して攻撃しようとしている。
俺は構わず距離を詰め、幼女に付けられている錠をクリエイトゴーレムを使って変形させ外す。
自由になった幼女は、泣き叫びながら俺の事を力いっぱい殴り蹴ってきた。体には全く痛みは無いが、この子の悲しみが分かるため、心が精神が痛い。
妻と娘たち、スカーレットや従魔が見つかり、ほっとしている部分もあるのだろう。だからこそ、この部屋を見てキレているのだと思う。
優しく抱きしめる。俺に噛み付き暴れるが、かまわず回復魔法をかけ幼女の傷を治していく。
「君の代わりに復讐をしてあげるから、今はお休み」
闇魔法のスリープ。眠りの魔法をかけ幼女を眠らせる。寝言でも母親の事を呼んでいた。
「ニコ、この子の事を死んでも護れ! この城の人間を全員集める! 全員、対音防御!」
この国の人間が色々喚いているが、頭に入ってこない。俺の意識に届く前に意味のない雑音に変換されているため、ただうるさいとしか感じていない。
幼女を預けたニコと俺を包むように遮音結界を張る。少し離れたとこにいたダマは、風魔法で真空と高圧空間の複合シールドを張っている。
使う気は無かったが、現代兵器の1つを収納の腕輪から取り出し、ピンをはずし投げ捨てる。1個だけではなく5個投げ部屋にいたモノを無力化する。
使ったのは、DP魔改造されたフラッシュバンスタングレネード……ただでさえ爆音の兵器の音量を10倍に引き上げた特別製だ。
ここまで大きな音を立てる必要は無いのだが、もしもの時のために召喚しておいたものだ。
フラッシュバンスタングレネードの効果が終わった所で、結界を解除する。
「ダマ、お前はここにある3人の遺体を回収しておいてくれ」
『了解』
「この部屋にいる人間は全員拘束するから、近くに広い部屋があるからそっちに連れて行こう。みんなは散って、行動不能にさせたこの城の人間をあっちの部屋に連れて来てくれ」
よく考えたら人間型の従魔がいないので、縛ったり手錠を付けたりできるやつがいないのだ。
面倒だが俺がやるしかないな。マナポーションを口にくわえながら連れてこられたモノたちを、クリエイトゴーレムで拘束していく。
さすがにミスリル合金の塊など収納の腕輪にはいれていなかったので、ミスリルを召喚して合金化してそれらを使って連れてこられたモノたちを拘束している形だ。
3時間ほどかかってやっと全員をここへ連れて来る事ができた。
全部で1294人……多いのか少ないのかよく分からないが、兵士はその中の500人程。他はメイドや文官のようだ。
まぁ3時間拘束に精を出していたわけでは無く、妻たちに連絡を取ったり連れてこられたモノたちから情報を引き出していた。
獣人が1人もおらず、獣人の事を亜人という言葉を使っていたため予想はしていたが、この国では獣人は人間ではないらしい。
人では無いので、どんなふうに扱おうが自由だ! だってさ。そう言った兵士がいたから思わず全力で殴っちゃった。顔が陥没して、10分後に死んでしまったけどね。魔力や回復剤をケチって治療しなかったので、死んでしまったのだ。
痛みで苦しんだかも知れないけど、簡単に殺してしまったのはミスだったかな。
話を聞いていると胸糞悪くなるような事しか言わなかったな。獣人の男は、こいつらにとって獣と同じ、ハンティングと称して弓の的にしたり、試し切りのカカシにしたりしていたらしい。
他にも、火あぶりにして魂を浄化したとか、生きたまま土の中に埋め大地に帰した。なんて言ってやがった。
もうね、感情が追いつかないくらい怒りが渦巻いてたよ。
「俺に聞かれた事だけ答えろ」
騎士たちを並べ聞いていく。
「お前は獣人の女を犯したり、なぶりものにしたり、殺したりしたことはあるか?」
「獣人? あいつらはあじ……ゲフッ」
「俺に聞かれた事だけ答えろって言ったよな? 返事はイエスかノーだ。改めて聞くぞ、お前は獣人の女を犯したり、なぶりものにしたり、殺したりしたことはあるか?」
「クソ……イギャァァァァ!!!」
返事の仕方を間違えた騎士の太腿に、ツィード君謹製ペインアップの効果が付与された短剣を刺した。しかも、闇魔法の【ペイン】も重ねがけしているのでその痛みは、想像を絶する物になっている。
その効果は、どれだけ辛い訓練をしていたかは分からないが、ガタイの良い兵士が太腿を刺されただけで口から泡を吹いて気絶するくらいだ。
「さて次だ。1つだけ言っておく、嘘は付かない方がいいぞ。じゃぁ、次はお前だな。お前は獣人の女を犯したり、なぶりものにしたり、殺したりしたことはあるか?」
「お、俺は、そんな事をした事は無い」
今度はシルクちゃんに教わった光魔法の【トゥルーオアフォールス】を使っているので、俺をだます事は出来ない。
「嘘だな。ニコ、こいつは向こうに連れていけ」
そう言って太腿を刺し、先の騎士と同じように気絶した。
「じゃぁ次だ」
そう言って騎士に向き直り質問をしていく。484人いた騎士の内、そう言った行為に参加した事がなかったのは、1人だけだった。参加確率が99.8パーセント近くって……マジで腐ってるだろ。中には男色の奴もいたが、女性と同じような事をしていたので、こういった結果になった。
もちろん黙秘を続ける奴がいたので、そう言う奴には指の先に軽く刃をあて細かく切り傷を作っていった。まぁ、10以上の切り傷を付けるまで耐えれた奴はいなかったけどね。試す気はないけど、どれだけ痛いんだよ。
その後は、文官や執事みたいな奴らに同じ質問をしてみたがこちらは、100パーセントでしたね。349人中全員がその行為に及んでいた。1つだけ言えば、騎士より男色の人数が多かった事だろう。体の線が細いから、筋肉質な体に憧れたりとかか?
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