1280話 ポツリ……
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『ご主人様。この大陸にはミリーさんたちがいるとは思えないです。この大陸の平均レベルで呼び出されて既に3日が経っているのに、掌握できる範囲にいないというのは不自然です。掌握できない場所は、ダンジョンと召喚の間なんですよね? 早く次の大陸へ行きましょう』
キリエはそう判断したようだ。
俺たちも同じ判断なのだが、1つだけ気になる事がある。神が作ったとはいえ、大陸によってこんなに情勢が変わる物なのだろうか? それとも、この情勢の違いすら神の遊戯の一部でしかないのか?
「とりあえず、この大陸の監視は綾乃とスプリガンの皆に任せる。もし誰かの反応があったらすぐに戻ってこよう。そっちは出発の準備をしておいてくれ」
『監視の方は任せておいて、個別に街も掌握もしておくから任せなさい。それより、そろそろシュウは休んだ方がいいわよ。あまり寝てないんでしょ?』
休まずにいざって時に何も出来なかったらと考えると、休まないとと思うのだが、体が休息を取りたがらないんだよな。無駄にスペックが高いせいで、休まなくても行動できるだけに質が悪い。
『横になるだけでもいいから休みなさい。キリエちゃんたちもシュウが休めるように手伝ってあげて』
『もちろんです。既に出発できる準備は整っているので、後はご主人様が戻ってくるのを待つだけです。お風呂もベッドも準備してあるので、休む場所の問題はありません』
船に戻ったら、風呂入って横になるしかないか? 寝れるかな?
帰りのグレンは、到着と同時に動けなくなっても問題ないとの事で、本当に全力で飛んで帰った。どれくらいのスピードで移動していたか分からないが、魔法で俺たちの慣性まで制御していたはずなのに、俺たちの体にGがかなりかかる程のスピードだった。
到着し風呂へつかり、ベッドへと誘導された。
「ご主人様、暖かい飲み物でも飲んで落ち着いてください」
ベッドに横になる前に準備されたホットミルクを口にする。お風呂に入ったから、若干火照っているので冷たい飲み物の方が良かったんだけど……せっかく準備してくれたし、熱いのが分かっててこの部屋は結構涼しくしているみたいだから、暖かい物でも問題ないか。
ホットミルクを受け取り、まず牛乳のにおいを堪能した。
「あれ? 少しお酒の臭いがする?」
「はい、数滴程度ですが、ブランデーを入れてあります。ご主人様はお酒を飲まれないですが、少量の酒精は寝つきが良くなると聞いたので、数滴だけ入れてあります」
心配されているんだな、そりゃそうか。家族が連れ去られたとはいえ、目の前で俺が無茶してれば心配だってするよな。気持ちに感謝して、飲もう。
5分程かけて飲み干した。
「少しは落ち着かれましたか? ご主人様だけが頑張らなくても大丈夫です。ご主人様を支えるために私たちがいるんです。私たちは交代で休んでいるので、ご主人様はお休みください。何かあったら御呼びしますので」
そう言ってベッドルームからキリエが出て行った。
暗くなった部屋で天井を見て、ボーっとしていた。視界がフワフワしてきて、そのまま眠りについた。
『あ……まからもらっ……すりです……く効くみたいで……うやくお眠りに……した』
朦朧とした意識の中で、扉の外からそんな声が聞こえて来たが、意味を理解できるだけの思考力は残っていなかった。
寝すぎたという事も無く、すっきりとした気分で目が覚めた。時計を見ると、午前6時、5時間から6時間は寝れたのかな? みんなには感謝しないとな。
軽く体をほぐしてから、食堂へ足を運ぶ。みんなも来ているが、何人かいない妻もいるな。
「おはようございます、ご主人様。今姿の見えない、キリエ・リリー・ソフィー・レミーは、夜中の監視を担当していたので、今は休まれています。夜中にあった事は報告を受けていますので、食事を食べたら報告させていただきます」
そう言ってきたのは、チェルシーだ。普段は剣を2本持ち、最前線で相手の動きを阻害する物理デバッファーで、指揮をとる事は無いのだが、年中組を率いているリリーとキリエが2人共休んでいるみたいなので、対応に出てきたのかな?
俺が起こされなかったって事は、そこまで大した情報は無かったという事だろう。しっかりと食べる物は食べて、夜の話を聞く事にした。
簡単に言えば、バザールが新しい大陸に到着した。そこにはダンジョンも召喚の間も他の大陸同様に存在したが、召喚の間は使われている形跡がないとの事だ。
その証拠に、この大陸には勇者が全くいないのだ。それだけでは無く、この大陸の人口の99%以上が人間以外の種族が占めており、その中でも一番多いのが全体の半分ほどを占めている獣人だろう。
他にもドワーフやエルフ等の人口も俺達の大陸に比べるとはるかに多い。
この大陸では国同士の争いは、1000年以上も前の話らしい。獣人は元々温厚で、他種族との交流も問題ない。ドワーフやエルフも、欲深い人間がいつまでも年を取らない種族を羨み、殺したり奴隷にしたりしているだけだったとか。
余りにも自分勝手な人間を、その他の種族が結束し滅ぼしたのだとか。
実際に1000年以上も問題なくこの大陸は回っているのだ、細かい衝突はあったとしても、大きな戦争は人間を排除した事で起こらなくなった。全部人間が悪いじゃん。
それにしても、バザールは人間フォームにしかなれなかったはずなのに、どうやって情報を集めたのかと思ったが、魔力体なので、耳を生やす位などは簡単にできてしまうのだとか……バザールの獣人の姿、ないわ。
その情報を聞いて、この大陸にはいないと綾乃もバザールも判断して、俺が向かっているのとは別の大陸に向かっているようだ。
夜あった事は、そんな物らしい。
甲板に出て海でも眺めるか。
そこには、仲良く泳いでいるリバイアサンが2匹。どっちがどっちか分からん。ただ言えるのは、昨日は気付かなかったが、明らかに一方が一回り程大きく見える。
そして、昨日までの速度とは比にならない程の速度で移動しているのが分かる。2匹で協力しているためか、正直俺でもビビるくらいの速度が出ている。
音速でもかなり早く感じた。だけど、周りが変わり映えの無い大海原だったため気にならなかっただけで、もし地上であの速度だったら腰を抜かすかもしれないな。
リニア新幹線の試乗映像で窓の外を流れる景色を見た事はある。映像でも、正直ビビるくらい早かった。その速度の倍以上は出てたのに落ち着いていられた事の方が不思議かもしれんな。
だけど、今は変わり映えの無い大海原を移動しているのに、足がすくむくらいのスピードが出ているのが分かる。
リバイアサンが気付いたようで話しをしてくれたのだが、大きい方が元々のリバイアサンだったようだ。体のサイズに違いがあるのは、お互い同族を見たのが初めてなので理由は分からないが、元々のリバイアサンがメスで、新しい方はオスらしい。
ってか、お前らに性別があったんだな! しかもお前、メスだったのか?
そんな衝撃を受けていると、次の大陸が見えて来た。
そして、船が急に止まった……けど、リバイアサン2匹はそのまま泳いで行ってしまった。どうして置いてかれた?
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