1246話 可愛いは正義!
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叩かれる感覚で目が覚めた。
俺の事を叩いているのはちっちゃい手だと分かっていたので、娘たちが俺の事を叩いているのだろう。俺は驚かせるために、頭をしっかりと覚醒させて娘たちのいる位置をしっかりと把握する。
タイミングを見計らって……ガバッ! っと3人を捕まえる。
急に起きた俺にビックリした娘たちが悲鳴を上げるが、俺が抱っこしている事に気付くと、泣きそうだった顔から笑顔になって抱き着き返してきてくれた。
マジ天使! かわいいな。妻たちとは違う可愛さがある! そりゃそうか、まず年齢が違うもんな。
どの位寝ていたのかと聞くと、1時間弱程だとの事だ。ちょっと前に娘たちが目を覚まして、ここにいるのが飽きたようで、俺を起こして次に行こうと催促してきたらしい。本当に1歳ちょっとか? と娘たちを見てしまった。
そこにあったのは、太陽もビックリする程眩しい笑顔だった。思わずもう1度抱き着いてしまう。
次に向かう所はもう決まっているようで、馬車に乗って移動する事になった。
ここら辺は牛のエリアであり、これから行く場所はちょっと離れているようだ。これだと移動するだけでも大変だよな。こんな広い所をどうやって管理しているんだろうか?
一緒に馬車に乗っていたイリアが説明してくれた。
牛に関しては、水牛は細かく管理しているがまとまっているので、大した問題は無いようだ。昼に食べた赤身肉の牛たちは、ほぼ放し飼いらしい。管理していないのにあの味が出るのか?
放し飼いではあるが、健康チェックなどはしっかりしているので、あの肉の味が出るそうだ。もし健康チェックをしなければ、病気で亡くなる牛も結構出てくるのだとか。
魔物との掛け合わせなので強い方ではあるのだが、病気を100パーセント防げるわけでは無いのだとか。
そんな話を聞いていると、目的地に到着した。
「今度は羊か。前に羊毛を加工した覚えがあるな」
「あっ、覚えていましたか? 以前やったからどうかと思いましたが、ミーシャちゃんたちに楽しんでもらえるかと思いまして、入れてみましたが、だめでしたか?」
「娘たちはあれを体験していないな。大きくなった時に覚えていてくれてるか分からないけど、いい経験かもしれないな。楽しんでくれるかな?」
「少し心配ではありますが、基本的に体を動かす事や動物は好きみたいですので、大丈夫かと思います」
そう言っている間に、ミリーたちが娘たちを抱っこして馬車から降りてきている。
その腕の中にいる娘たちは、モコモコの羊たちを見てテンションを上げている。やはりなんにでも興味を持っている気がするな。時々それが無性に怖くなる事はあるけど、してはいけない事をしない限りは怒らずにしたい事をさせている。
「それにしても、あの羊も牛と同じででかいよな? 俺の知っている羊の倍くらいはデカく見えるぞ」
それなりに距離があるのに、結構大きく見えるのだ。牛も大きかったので感覚が狂いだしているので、あまり自信が無いんだけど。
「あの羊も魔物と掛け合わせて産まれてきた羊ですので大きいです! お肉の部分より毛の部分の体積が比率で言うと多くなっています。お肉も食べますが、羊はどちらかというと羊毛を多くとるために飼育している感じです!」
ここの羊は食用というよりは、羊毛をとるための羊のようだ。
「なのであの羊は、若い時には基本的に食べません。3歳以降から食用に回される事がありますね」
「3歳? そこまで育てると、肉が堅くなりすぎないのか?」
「そうですね、初めは肉が堅くなりすぎて食べれた物では無かったのですが、調理方法が確立されてからは牛や豚に比べて安い肉ですので、大量に料理する食堂などで重宝されているお肉です」
そう言う住み分けになっているのか。まぁ今回は、娘たちに楽しんでもらえるように選んでもらった場所なので、一緒に楽しもう!
ここの羊たちは人懐っこいため、俺たちが馬車を降りて囲いの近くに向かうと、メェメェ言いながら囲いに寄って来たのだ。
それを見た娘たちのテンションが上がり、もう何を言っているか分からない状況だ。
種族だけで言えば、クロやギンの方が圧倒的に怖いからな。それを見て育っている娘たちから見れば、この羊は可愛いものなのだろうか? 強さだけで言えば、産まれた頃から一緒で今も母親の足元にいるケットシーの方が圧倒的だしな。
ここの管理人の人に誘導されて羊たちの囲いの中に入っていく。30匹程に囲まれて押しつぶされそうになる。
魔物と掛け合わされた羊は、顎の下あたりまで毛が迫っている。抱っこされている娘たちも顔だけ出して、キャッキャ言いながら羊の毛を叩いている様な感じだ。
かなりの力はあるが、俺たち程の力は無いので強引に進んでいく。あ~ミーシャが羊の毛を引き千切ってる。さすがにそれはよろしくないので、ミリーに怒られていた。ミーシャがしょんぼりして、毛をむしってしまった羊に謝っている。
素直に謝れるって言う事は大切だよね。そのまま育ってくれ!
しばらく進むと何やら準備をしている人たちを発見した。かなり大きな樽や桶を準備しているって事は、毛刈りをするって事かな?
えっ? 持っているのが、攻撃する時に使う武器みたいな雰囲気なんだけど……マチェットみたいな、鉈剣みたいな物の刃を研いでいた。こんな所で解体はしないよな?
研いでいた刃物の準備が終わる頃になると、羊が列を作っていた。何をされるか理解している羊が並んでいるって事だよな。
メルフィが「毛刈りの日を早めていただきありがとうございます」とここのトップの人にお礼を言っていた。
どうやら元々は、もう少し後に予定していた毛刈りを今日にずらしてもらったようだ。
俺のイメージだと暴れないように固定してから、バリカンみたいなので刈っていた気がするのだが、今回のこの光景はすごいな。
毛を刈ってくれるのを理解しているのか、大人しく刈り取ってくれる人の指示に従っている。1匹が大体10分もかからずに刈り終わる、早くねえか?
慣れた様子で、マチェットの様な物でザクザク毛を刈っているのだ。マジでビビるくらい大胆に毛を刈っていくので、羊がケガしていないか心配になるレベルなのだ。
皮膚が切られるというアクシデントも無く、毛刈りが終わった羊は走り去って牧草を食んでいた。
刈り取られた毛が樽に入れられ棒を使って洗われている。ちょっと湯気が出ているので、お湯を使っているのかな? 流れ作業で3回洗った後に、大きな桶に移されて女性たちが膝丈のズボンをはいて踏み洗いを始めた。
そうすると、妻たちもその中に入って踏み洗いを始めたのだ。娘たちにも体験させるためにみんなでやるのか。娘たちは母親に支えられながら水遊びをしている様な感じで踏み洗いをしている。そんな姿も可愛いな。
娘たちがやっている工程は、最後の方で薬剤を使っておらず濯いだ後のようだ。きちんとその辺も考えられているみたいだな。
白くなった羊毛を見て「まっちろ!」と舌ったらずな言葉も可愛いな。
移動して羊毛が糸になっていく工程を見て「おぉ~」と声を出している姿も可愛いな。
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