1233話 忘れていた事
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戦争を開始した報復として、近隣の街から戦費を徴収したけど、開始した時には思いもよらなかった事が起きたな。
援軍に来てもらったし、結局事後処理だけを手伝ってもらうだけになってしまったな。1週間もかけてこの街に来てもらったのに、本当にすまんのう。
って、あれ? 結局、あの街で起きた原因不明のよく分からない現象って何だったんだ?
帰り道に、ふとそんな事を考えていた。領主だったら何か知ってるか? もし聖国のBC兵器だったら、オーク領主も何か知ってたかもしれないな、処刑するのは早計だったか?
とりあえず、隣街の領主から情報を聞いておく必要があるな。あいつが逃げ出したせいで、色々問題が起きたわけだしな。
レイリーにこの事を伝えると、既に尋問、いや、拷問が行われていたらしい。奴隷の首輪を着けているのに拷問とは穏やかじゃないな。
話を聞くと、奴隷の首輪を着けていてもこちらの言う事を完全に聞くわけでは無いため、黙秘を続け命令違反による罰で首を絞められたりしたが、話さなかったらしい。
そのため、心を折る方法をとるために拷問をしたのだとか。本人にいくら拷問をしても、しゃべらなかったため、違う方法をとってやっと喋ったのだとか。違う方法とやらを聞いて、さすがにそれはどうなのかと思ったが、聞いた内容を考えるとやり過ぎでは無かった、と思った。
その違う方法とやらは、一緒に逃げた所を捕まえた家族を本人の目の前で拷問したらしい。奥さんや息子では、唇を噛み堪えていたが娘が連れてこられた事によって心が折れたらしい。
奥さんや息子なら耐えれても、年頃の娘となれば、話は別だったのだろう。奥さんや息子でも耐えられる時点で、すごい根性なのはわかるけど、それだけの根性があったのに、なぜ逃げたのやら? その答えは、謎のアレに関係していた。
隣街の領主が街から逃げた理由は、あのBC兵器、正式名称は知らないが、通称で『人食い胞子』と呼ばれていたらしい。
こいつがもたらす効果は、俺たちが体験した通り全身に酷い痛みが持続的にはしり、耐えがたい状態が続いて生命力を食いつくされて死に至る……という物だったと聞いているとの事。
出所は不明だったが、1万人を超える街がこの『人食い胞子』によって壊滅している事が確認されているのだとか。
話を聞くと、寄生虫に近い何かでは無いのかと感じた。寄生する対象がいないと、長い時間存在する事が難しいのだとか。だが、近くに寄生対象がいれば乗り移ると言うよりは、増殖して寄生しているモノから散布しているような感じかな?
判明している事は、人食い胞子と呼ばれる物が最後に付いていた人間が死んでから約半日、12時間を過ぎると、新しく人食い胞子に食われる事がなくなると確認されているようだ。死刑囚や敵対していた国の人間を使って実験したのだとか、胸糞わるい話だ。
俺らが使った人喰い胞子とは別っぽいかな?
その結果から、効果の無い人間がいるとは考えていなかったらしい。普通に考えて、効果の無かったレベルまで体力が上がっている人間が、そうポンポンいるものでも無い。
厳密に調べていないので、増殖しているのか移動しているのかは不明だ。ただ、胞子と言うのが気になった俺は、追加で聞いてほしい事をレイリーに伝えて聞いてもらった。
そこで判明した事実が、予想よりヤバかった。
魔物の領域の奥地に生えている、薬草にも毒草にもならない苔を特殊な液体に浸して1日放置し、取り出した後にしばらく放置すると、アレが発生するらしい。そのため、人食い胞子と呼ばれていたらしい。
特殊な液体に浸した苔を密閉した容器に入れておくと、人食い胞子を閉じ込めた状態で持ち運びができるのだとか……半日しか生きられないので、製造のタイミング等を間違うと効果が出ないのだとか。
何がヤバかったと言えば、元となる苔の採取がそこそこ難易度が高く、保存にも気を使うのだが、ある程度の広さのある魔物の領域には必ずと言っていい程に存在している事だ。
そして、聖国には製造方法を知っている者がある程度存在している事だ。ただ救いなのは、この情報を持っている人間は、教皇と別派閥に所属する枢機卿が中心となっている派閥の人間だけだという事だろう。
拷問で得られた情報に、ミューズに攻め込んできたモノの正体もあったのだとか。
教皇が手出し無用と言明した中立地域(厳密には俺に敵対しないようにという事だが)を攻め落とせれば、教皇の権威を落とせると考えたらしいその枢機卿が仕掛けてきた? 派閥闘争の結果が今回の戦争か? 面倒な!
それより、聖国って教皇が頂点になって統率してきて、上層部は教皇の正体を知っている奴らもいたはずだよな? なのに、教皇を引きずり下ろそうと考える奴がいるのか? てっきり教皇の独裁だと思っていたけど、そうでもなかったんだな。
正体を知っているからこそ排除して、自分が最高権力者にでもなりたかったのか? 特に今回戦争に参加した貴族? 領主? 上級聖職者? 呼び方は何でもいいか、参加した奴らは、教皇の宣言で不利益を被った者だとか。それを集めて戦争をさせたのが、件の枢機卿。
さすがにこの事実を知って知らない顔をしているわけにはいかない。グリエルに連絡をとり、教皇と直接話をする事にした。
その対話の最中に判明したのは、教皇も今回の戦争は寝耳に水だったようだ。しかも、不利益を被った奴らが結託して情報統制をしていたため、戦争が始まってからかなりの時間が経過していたのに、教皇はその事実を知らなかったらしい。
それはもう妻たちや通信を見ていたグリエルたちまで、全員がドン引きする程ガチ泣きして石床に土下座をして、石床を叩き割る程何度も叩きつけるように謝ってきたのだ。
さすがにそれを見た俺たちは、今回の事に対して教皇を責める事はやめようと感じた。これが教皇の作戦だったとしてもあれを見てしまったら、作戦だとは思えない。
だけど、甘い対応をされるのは困るので、教皇には厳罰を与えるようにお願いしておいた。特に枢機卿に関しては、最低でも情報を抜き出してからの処刑をお願いした。
後は、人食い胞子の製造方法を知っている者を全員処刑するようにお願いした。
枢機卿から教えた奴を聞き出して、そこから更に聞き出すという方法をとらせる予定だ。真偽の判定が難しいので、地球産の嘘発見器をDPで魔改造した物を貸し出しする事を決めた。
この嘘発見器は、興味本位で召喚してどれほど正確に判定できるか調べるために出した物だ。専門に訓練をしてもらった者や催眠などを施した者に使ってみた結果、その人物が本当に思っている事であれば、99%の確率で嘘を見抜く事ができたのだ。
貸し出す条件として、今回得られた真偽の詳細を文章にして残してもらう予定だ。
後に教皇は、人食い胞子の有用性を理解しているが、詳細を知ったら俺に殺される事を理解したため、絶対に詳細をしゃべらせない事を前提に調査をしたと語っていた。
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