1227話 状況が動く
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2人目の使者が帰って領主に何を伝えたのかは知らないが、しっかり休息をとるためのローテーションを組んで、兵士たちは体を休めていた。
特に何かおかしなことが起こるわけもなく、日が明けた。
朝食の済んだ俺は、レイリーの所へ来ている。今日はどう動くのかを聞きに来ている形だ。参戦は今の所する予定は無いが、動きは気になるので会議に立ち会っている。
「領主が来るか来ないかは現時点ではよく分からないが、援軍の先遣隊が昼前に到着する予定だ。英気を養ってもらうためにも、美味い食事を準備しておくように、調理担当の人たちにお願いをしておいてくれ」
そういえば、援軍の先駆けとして、1000人程の兵士が到着するんだったな。
先駆けとして援軍本体より先行するこの兵士は、精鋭である。守りの要として置いてきた部隊ではあるが、守りに関してはリバイアサンもいるので全く問題は無い。その部隊が合流するのであれば、かなりの戦力である。
大都市という事もあり、かなりの兵力があり神殿騎士団の一部も滞在しているらしく、数では向こうの方がかなり多い。質はこっちの方がいいのだが、正面からぶつかれば余計な犠牲が出ると思う位には、面倒な状況だ。
料理に関しては、妻たちも手が空いているメンバーは行かせようか? ピーチにアイコンタクトで伝えると、俺の護衛としてピーチ・シュリ・ライム・アリスの4人が残り、他の妻たちは調理場へ移動をしてくれた。
妻たちは、シルキーの指導で料理を良くしているので、かなりの腕前を持っている。味も求められるが、効率も求められる状況での調理にもある程度は慣れているので、戦力として活躍してくれるだろう。
ちなみに、護衛に関しては、ダマ・シエル・グレンは、命令がない限り俺から離れないので、いちいちカウントをしていない。
そんな事をしている間にも話は進んでいた。
「昼食をとった後、1時間程したら街への攻撃を開始する。食事が美味いからと言って、食べ過ぎない様に注意しておくように!」
「隊長、質問よろしいですか?」
レイリーは、首を縦に振り肯定の意思を伝える。
「昨日、交渉のテーブルには着くと言ったと思います。ですが、交渉もせずに攻め込むのですか?」
「ふむ……何か勘違いをしておるようだな。シュウ様、少し話してもよろしいですか?」
副官は、昨日のレイリーの発言に関して何も聞いていなかったようで、状況をいまいちできていない様子だ。なので、レイリーが話してもいいか許可を求めてきた。もちろん問題ないので許可を出す。
「許可も出たので説明しておこう。交渉のテーブルには着くとは言ったが、引き渡しを要求している隣街の領主は引き渡されたか? 引き渡されていない。であれば、昼間に宣言した引き渡しに応じていない。交渉のテーブルには着くと言ったが、街を攻める事を止めるとは一言も言っていない、そういう事だ」
「それは、屁理屈だととられませんか?」
「あの街の領主に、屁理屈だととられて何か問題でもあるか?」
「そう言われると、ありませんね」
「この話で重要なポイントは、私たちは1度も嘘を付いていないという事だ。言質をとられてもいない。すべて事実だけを言っているという事が重要だ。攻めて文句を言ってくるようであれば、きちんと確認をしなかった相手が悪い。こちらには一切の非が無いので何の問題も無い、そういう事だ」
まぁそういう事なのだ。嘘をついてはいないし、聞かれなかったから答えていない、それだけなのだ。俺たちは、言った事を忠実に守っているだけに過ぎない。昨日中に隣街の領主が引き渡されなかったから攻める、ただそれだけだ。
その後は、街にどう攻め込もうかという話になり、レイリーは極力住人やその財産には害を与えたくないと言い、住人を味方につけながら進軍する事を提案していた。
街に潜入している兵士から、街の一部の商人が食料の値段を釣り上げているという情報が入ったので、この街に来る途中の商人から買い上げた食料を安く放出する事にした。それだけだと赤字なのだが、それはこの街の商会から徴収すれば問題ないとの事だ。
本来のターゲットでは無いが、どさくさに紛れて私腹を肥やす輩は、大抵ロクでもない人間なので、良心の呵責すら感じる必要もない相手だ。
11時頃になると、予定通りに先遣隊が到着した。結構な強行軍でここまで来ているはずなのに、やたらと士気が高いのは何でだろう?
その理由は、食事を始めるとすぐに分かった。
「強行軍の最中の食事も美味かったけど、この食事はもっと美味い!」
居残りのシェリル・イリア・ネルの3人が、先遣隊のために食料を運んできたジェノサイドキャラバンの馬車を借りたのだとか。ゼニスに話を通して借りた馬車に、ディストピアにいるブラウニーも動員して、量を優先した食事をすぐに準備させて、収納の箱にしこたま詰め込み出発した先遣隊に合流させたのだとか。
そのため、強行軍の最中なのに美味い食事をたんまり食べる事ができ、高い士気を維持したままここに到着する事が出来たのだ。シェリルたち、グッジョブだ!
レイリーは、合流した先遣隊が食事をしている最中に現状を説明して、昼食後に街に攻撃を仕掛けるので食べ過ぎ無いように注意していた。
食休みも終わり、兵士たちが軽く体を動かし始めた。
しばらくすると、大きな声で「傾注!」と聞こえて来た。
『先程説明したため、ここでは細かい説明は省く。今回の作戦では、可能な限り住民やその財産には被害が及ばないように配慮するように! 状況によっては、配慮できない事もあるだろう。その場合は、全力でその要因を排除する事を許可する! では、次の指示があるまでに隊列を組んで待機するように!』
おぉ~10分もしない内に4000人を超える兵士が綺麗な隊列を組んでいた。こういうのにはあまり詳しくないが、ファランクスのように最前列に重武装の兵士が壁のように大盾をくっ付けていた。なんかカッコいい!
号令がかかり、進軍を開始した。
密集陣形で進軍しているので、矢による攻撃がネックになる。でたらめに撃っても、これだけいれば誰かに当たらずに地面に落ちる事などほぼ無い。その対策として、スカルズで魔法を担当しているメンバーが風壁を張って進んでいた。
俺は陣地で状況把握のために、召喚の際にDPで魔改造したドローンを飛ばしている。無しと言われていたが、一度使ってみたいと思ったら……使っちゃうよね? それにより、状況把握が出来ているので俺的には大満足だ。
ドローンに付けられた高性能カメラから送られてくる映像をみて、
「やっぱり慌ててるな」
素直な感想が漏れてしまった。
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