1225話 限界が近い
アクセスありがとうございます。
「その魔導具が本物だという証拠は? その魔導具が嘘を表示しないという証拠はあるのか?」
「……手慣れているな。聖国には、マニュアルみたいなものが存在するのかもしれないな。まぁいい。お前たち、前の街で奴隷にした商会の幹部の誰かを連れて来い」
レイリーは、兵士に向かって商会の幹部を連れてくるように命令した。3分後に連れてこられたのは、商会長だった。
「おぉっ! ファイト様ではありませんか! 私です! 覚えていませんか? 隣街で商会を営んでおりましたラウリでございます! どうか、お助けください! 理不尽にも私たちは、この者たちに奴隷にされたのです!」
「黙れ。お前ら聖国の人間が理不尽に奴隷にされたとか言うな! 獣人に対する振る舞い忘れたわけでは無いだろう? どれだけの獣人がお前らに殺されたと思っている! まぁいい、お前、真実の目に手を乗せろ」
レイリーは元商会長に向かって命令をした。
それを拒んだ元商会長は、奴隷の首輪による罰則が適応され、首が締まっている。観念したのか手を乗せた。
そこに表示されたのは、違法奴隷商・強姦魔・殺人……色々な称号が表示される。
「私もこやつの事は知っているが、全部嘘の表示じゃないか。こいつは、教皇様に認められた正式な奴隷商だ。この国ではそれは犯罪では無いのだよ。それに殺人?
獣人を殺した事はあるかもしれないが、獣人は人ではない。だからこの国では殺人にはならない。この国のルールを理解できない魔導具で、正しさを求めるのは間違っている」
「面倒だな。本当に街の中に隣街の領主はいないんだな? 街に入って調べても問題ないって事だよな?」
「ふざけるな! この国に不法滞在しているお前たちを、何故街の中に入れねばならぬ! ここにいられると、経済活動が滞るのだ! 早く出て行け!」
「いい加減にしろよ。理不尽に戦争を仕掛けてきて返り討ちにした。戦争だって金はかかるんだ。お前らが匿っている隣街の領主を連れてこなければ、この街からも金品を徴収する事になるがよろしいのかな?」
「だから何度言えばわかる! 隣街の領主等ここには来ていない! 戦争をしたのだって、お前らが聖国に不利になるような事をしたからだろうが! 正当な権利を行使して戦争をしただけだ!」
「そうか……戦争で勝った俺たちは、勝者の権利を思う存分に行使しようじゃないか。こいつらを全員拘束しろ」
「なっ! 貴様! 使者を拘束するなどあってはならぬ行為だぞ! 分かっているのか!」
「それを言うなら、侵略戦争だってやってはいけない行為だとされているけどな。お前と話していてもらちが明かない。それに貴様、昨日の帰り道に、街の住人を2人殺してるだろ?
男女1人ずつ。おそらく夫婦だった者たちだ。俺たちは街の中の事を簡単に調べられるんだ。嘘を付いたお前らは、使者にふさわしくない」
レイリーは使者を拘束させ、1人だけ護衛を解放して伝言を持たせ街へ戻らせた。
「シュウ様。明日には、援軍の先遣隊が来るので、その戦力も合わせて街を攻めましょう。話し合うだけ無駄だという事が分かりました。交渉はやめましょう。こちらが合流するまでに、私たちが望む結果を持ってこられないのであれば、攻め落としましょう」
レイリーが、今までの考えを一変させ、戦闘で決着をつける……と言いだした。それを聞いた副官たちは、走り出し部下に命令を出している声が聞こえる。
使者として来ていた奴は顔を青くしている。
「っと、使者失格のお前は、見せしめに処刑だ。生かす理由がない。今までの自分の行いを後悔するだけの時間は与えてやる」
俺の希望通り、使者はその命を終わらせる事になった。
「シュウ様、色々準備がありますので失礼します。すべて準備が終わりましたら、また報告に上がりますので、しばらく警戒をお願いします」
そう言って、行ってしまった。
マップ先生で、解放された兵士が領主館に到着すると、慌ただしく動き回る光点が確認できた。どう慌てているのかまでは分からないが、解放された兵士からの話を聞いて何かをしていると言った所だろう。
「あっ! ピーチ、また逃げられるとは思わないけど、扉を塞いで置くってのはどうかな?」
「そうですね。マップ先生での確認をしていますが、万が一にでも逃げられたら面倒ですね。ですが、どうやって扉を塞ぎますか? ご主人様が直接行ってクリエイトゴーレムを使うというのは無しですよ」
「それが一番簡単で確実だけど、さすがに許可されない事は分かってるよ。だから、ダマとシエル、グレンを連れて魔法組の誰かに行ってもらうというのはありかな? 扉をアースウォールでふさぐ形をとりたいと思ってる」
「そうですね……私たち年長組で行ってきましょう。元々バランスのとれたパーティーですので、こういった時には動きやすい数ですし。それにダマたちがいるのであれば、危険はほとんどないでしょう。シュリ、守りは任せますよ」
年長組はそう言って準備を始めた。介入する形にはなるが、ただ扉を塞ぐだけなので問題はないはずだ。何か言われたらレイリーに謝ればいいだろう。
移動は、俺たちの馬車を曳いてきたウォーホースだ。軍が使っているウォーホースよりLvが高く、理由は分からないが一回り程大きいので、何かあっても逃げ切れるだろう。守りに関しては、シエルがいるし大丈夫だろう。
「ご主人様。絶対にここから動かないでくださいね!」
ピーチが準備して戻って来た時に、念を込めて言われたセリフだ。撤退するような事態にでもならない限りは、動くつもりはないから安心してくれ!
1時間もしない内に壊した城門以外をすべて塞いできてくれたようだ。
レイリーも状況を把握していたようで、特にとがめられることも無く事後報告で大丈夫だった。
準備の終わったレイリーは、城門の上にいる兵士から見える位置まで、捕らえた使者とその護衛としてついてきた者を連れて行った。
使者たちは、映画で見た事あるような……首と手首を木の板で固定されていた。木の板は、中心に大きめのU字のように首を入れられるだけ削られており、その左右に手首を入れられるように削られている。それを前後から挟む形で固定している。ギロチンを落とす時にはめるようなあれである。
合わせて5人が跪かせられ、頭を垂れている状態で抑えられている。
『この街に住まわれている方に報告します。隣街の領主がいる事をこちらが把握しているのに、この街のお偉方は一向に差し出す様子がありません。この期に及んでも、使者を出し隣街の領主がいないと嘘を付きました。そして、使者としてこちらに来た人物なのですが、犯罪の称号を複数持っていました』
レイリーが一旦間をあけた。何でだ? だが、少しすると
『しかも、ただの犯罪の称号ではありません。一般的に知られていない、上級の犯罪称号を持った者を、私たちに使者として遣わせていたのです! 許されざる侮辱です! 私たちは本気で怒っているという事を証明するため、使者とその護衛5人の処刑を行います。
今日中に隣街の領主と一緒に来た者たち、持ち込まれた金品を差し出さなければ……先日畑を焼いた魔法が街の中を焼くかもしれません……賢明なご判断を期待しております』
えっ? さすがに街の中に向けてあの魔法は撃ちたくないのだが。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




