1224話 何を考えているのやら
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日が明けて、ここに来て4日目。昨日の報告をまとめて受けている。そして今日の対応もこの時間で検討しようという話だ。
「結局昨日は何のアクションも無かったな~」
「それですが、未明にあの街から部隊が襲ってきました。数は50人で、自爆特攻のようでしたね。全員が爆発物を身に着けていました」
「……? 爆発物? 昨日そんな音無かったよな? というか、人が持ち運べるようなサイズで大きな被害は出せるのか?」
妻たちに尋ねてみたが、誰一人聞いていなかった。
「それなのですが、この舞台は元犯罪者でした。薬物か何かで精神を壊されており、命令に従って行動をとるだけの操り人形みたいなモノでした」
「でも、爆発音なんてなかったよ?」
「操り人形でしたので命令を忠実に守るためか、爆発させる条件を満たさないと爆発させないようでした。爆発物は体に埋め込まれていたので取り外せず、拘束して放置しています。爆発する条件がよくわかっていないので、陣地には近付けさせれないと考えました」
「応用が出来ないのであれば、単一の命令しか与えられないか。そいつらどうする?」
「よろしければ、ピーチさんに魔法をかけてもらいたいと考えているのですが、安全が確保できなければ、していただくわけにはいかないですし……そこまでしても、効果があるか分からないので」
「なるほどな。ピーチどう思う?」
「そうですね、シエルを貸していただければ、問題なく対応できるかと思います。念のためシュリとキリエを連れて行かせてもらっていいですか?」
シエルを見ると、問題ないと右前足を上げており、守りを任せる事にした。
爆発の条件として考えられるのが、敵兵と遭遇時という事はないのは分かっている。可能性として高いのは、レイリーや魔法を使った俺や魔法組を狙っているという所だろうか? 一番は、敵陣地内……この馬車の列に入ったらって感じか?
付いていく兵士に、念のためにSランクのエリクサーをもたせている。これ1つでAランクの魔物が3桁は軽く召喚できるくらいのDPがかかっている。それでも、何かあってからでは遅いので、一番高価な回復剤を持たせたのだ。
遠くから送り込まれた兵士の様子を見る。
「人形っていう意味がよく分かるな。まったく表情がない……無表情より怖く感じる」
「表情が無いと無表情って、同じ意味じゃないんですか?」
疑問に思ったのか、いつの間にか隣にいたチェルシーが俺に聞いてきた。
「同じ意味なんだけど、なんていうか……説明は出来ない!」
言葉にする事ができなかったので、説明する事を諦めた。
「とにかく、怖いって事だ」
話しながらも様子を見ていると、必死に動こうとしているのだが、縛られておりまともに動く事ができないでいる。
ピーチもシュリもキリエも、本気の装備を身に着けており、何があっても対応できるようにしている様だ。
近付く前にシエルが操り人形の兵士を結界に閉じ込めた。そのまま近付いていき、今度はキリエが自分たちの周りに結界を張っている。いや、1人だけ結界の中に入っていない。シュリが1人だけ前に出てシエルが解除した後のエリアに入っていく。
その中から1人の首根っこを掴み、盾を体と兵士の間にかまえながら片手で引きずるような形で、ピーチ達の近くへ連れて行く。
そういえば何処に爆弾が埋め込まれているんだ? 残っている操り人形の兵士を見てみると、上半身が裸の奴がおり、一見して爆発物だと分かる物が半分程体に埋まっている状態だった。
「それより、あの爆弾の流通経路が知りたいな。どうして聖国のこの街にヴローツマインの爆弾があるんだ?」
爆弾だと分かったのが不思議だと思っていたが、見た事がある者が兵士の中にいたのだろう。もし知らずにここまで連れて来ていたら、どれだけの被害が出ただろうか?
見た所、ヴローツマインでもかなり威力の高い部類の爆弾で、1人に4つずつ埋め込まれており、それが50人分、爆弾200個。まとめて爆発したらかなり危なかったな。馬車の半数は使えなくなった可能性があるぞ。
おっと、ピーチたちが処置を始めたようだな。色々試してはいるみたいだが、効果はないようだ。そもそも、治ったとしてレイリーはあの兵士をどうするつもりだったんだ?
操り人形兵士は元の場所に戻され、ピーチたちが戻ってくる。
「精神、心が死んでいるみたいなので、魔法ではどうにもなりませんでした。おそらくですが、命令を出した者以外に止める事は出来ないでしょう。情報は聞き取れないですね」
運よく戻せれば、情報を聞き出そうとしていたのか。でも、今更必要かな?
「それでは、しょうがないですね。そしたら、処理してしまいましょう。危険な物をこれ以上放置するわけにもいかないですし……シュウ様、1部屋で十分ですのでダンジョンを作ってもらっていいですか?」
ダンジョンの中で処理する様だ。変な所で爆発されるくらいなら、ダンジョンの中で爆発してもらった方がいいよな。レイリーのお願い通り1部屋だけのダンジョンを作った。
中にはゴーレムを1体だけ配置している。さすがに兵士の誰かに運び込ませるわけにはいかないので、ゴーレムを召喚して、命令して中に連れて行かせた。全員をダンジョンの部屋に収容すると、ゴーレムが兵士の首を落とした。
ドゴオオオオオンッ!!!
離れた場所から見ていたが、爆発の煙がダンジョンの入口から空に向かって噴き出した。高さは100メートルは軽く超えてるな。かなりの威力だったな。やっぱり、爆発の条件に死亡した時も含まれていたか。その辺で殺さなくてよかった。
レイリーは色々指示を出している。これからの事を相談しようと思ってたけど、それどころじゃなくなっている。これからも、爆弾を埋め込まれた奴がいたら危ないから注意喚起と言った所だ。
そうこうしていると、街を監視している兵士がいる場所から、カンカンと音が聞こえてくる。この音は、街の方に動きがあった事を知らせる音だ。
マップ先生を見ると、昨日来た使者がまた今日も向かってきている。懲りずによく来るもんだな。
「レイリーとやら、出て来い!」
こいつ何でこんなに強気なんだ?
「隣街の領主はどこだ?」
「この街に隣街の領主は来ていないと何度言えばわかるのだ?」
「お前らの言う事は信用できん」
「これだから野蛮人は、ここにいると迷惑なんだよ! 早くこの場から去れ!」
「お前には言われたくないな。まぁ1つ信用できると証明してもらおう。おぃ、あれを持ってこい。使者殿、これが何かお分かりかな? 真実の目……どういう原理かは解明されていませんが、世界の記憶から情報を引き出し表示すると考えられている魔導具だ。これであなたが信用できる事を証明してください」
真実の目には、うそ発見器のような能力はない。だが、触れた者の情報を表示する事ができるのだ。ステータスやスキル、称号を表示できるという事だ。
「真実の目か、それで何を知ろうというのだね? 我が神が認めていない魔導具で、私を貶めようとでもしているのか?」
なるほど! そういう理解で真実の目を否定しているのか。
「お前たちがどう思おうが、真実を表示する魔導具だ。お前らの過去の行いが表示される。これは事実なんだよ。自分の言っている事を信用させたいのであれば、真実の目に触れて称号を見せろ」
レイリーがそういうと、使者が明らかに嫌な顔をした。
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