1192話 爆撃
アクセスありがとうございます。
戦争が始まった初日の夜、竜騎士による夜襲という名の嫌がらせが始まった。
1回目は、まだ就寝前の時間だったためか、被害は少なかった。だが間違いなく効果はあった。食事の最中だった事もあり、兵士は準備された食事を放り投げて火災を鎮火せざるを得なかったが、時間をかけて準備された料理がパーになったのだ。兵士の士気は下がっている。
美味い食事から保存食の塩っ辛い干し肉になったのだ。士気が下がるのも仕方がないだろう。俺なら間違いなく士気が下がるだろう。美味しい食事が食べられる幸せを知っているからな。
そして落ち着いた頃に2度目の夜襲。また、アリの巣を突いたような慌てようで、火災の消火に当たっている。特に今回は、冒険者が待機しているエリアを重点的に襲撃している。
冒険者だけあって不測な事態になっても、聖国の軍人達より効果的な対処をしていた。それもそのはず、一度あった事なのだ。二度目があると仮定して対策をとっていてもおかしくはない。それが冒険者なのだから。
ここまで出来るから、シングルやダブルの冒険者になれるのだ。対処が的確だったとは言っても、被害をゼロにする事は出来なかった。重点的に冒険者のいたエリアを爆撃したのだ、少なくない被害をあたえている。
とは言え、一度や二度の襲撃で望んだ成果を与えられていない。俺たちの目的は、持続的な襲撃により相手を疲弊させることなのだから、当たり前ではある。
なので、持続的な襲撃を実行している。それは、朝になっても変わらなず行われている。
目に見えて疲弊していることは分かった。1日目だったけど、効果は抜群だな。
竜騎士の爆撃は、明るくなったことにより的確になっていた。一番大きな天幕や食料を保管している天幕は、さすがに狙っても防がれてしまうが、防御の薄い天幕は3割程焼き払えている。
陣地で色々対応をしなければならない聖国の軍は、2日目は攻めてこれなかったようだ。竜騎士の活躍は、最高と言ってもかまわないだろう。
初日、昨日の衝突では、出撃した人の中で3割程の人が負傷している。中には重傷者もいたが、部位欠損をした人はいなかったため、全員完治している。
そしてまた、戦場に出ているのだ。本当にこれでいいのだろうか? と思ってしまう程の悪魔的な所行のような気がした。
本人たちのやる気は高いけど、|心的外傷後ストレス障害《PTSD》になったりしないだろうか? 地球では、戦争後にかなり問題となっている心の病気だ。戦争映画でも度々描かれる事のあるあれだ。
負傷を無理やり直されて前線に送り込まれる。戦争後は心のケアも重点的にしていかないと、拙いかもしれないな。後でレイリーに話しておこう。
爆撃した事により、伝令が後からくる軍に走ったようで、進軍の速度が上がっており明後日には到着する程の強行軍で進んでいる。ん~ちょっとした誤算だな。
今日の様子から、爆弾が無くなるまで続くだろうと予測しているだろう。そのおかげと言っていいのか、ある程度火炎壺の効果を軽減させるような対策をとっていた。
火炎壺の効果があるのは、長くても今夜までだろう。どういう対策をしているかまではよくわかっていないが、竜騎士の報告を聞く限りは昨日の夜に比べて被害が少なくなっているとの事だ。
火炎壺は、思い付きで行った攻撃だが予想以上に効果があった事が嬉しい所だ。レイリーも火炎壺の攻撃は続けるが、メインは火薬壺による音の効果で休ませないようにさせることだからな。
火炎壺の効果は薄くなっても火を即座に消せるわけではない。だから爆弾壺は爆発させることができるので、導火線による爆発よりは効率よく爆発させることが可能なのでこれからも活躍してくれるだろう。
その日の夜も問題なく爆撃による睡眠妨害は成功している。次の朝になって遠くから兵士の顔を見ると、初日に見えていたヤル気に満ち溢れていた面影が無くなっている。目の下にクマは出来ていないが、疲れている表情をしているのが分かる。
だが、ダブルの冒険者が率いているクランの表情は怒りに満ちている。ちょっと危ない雰囲気を醸し出している。
望遠鏡で眺めながら隣にいるレイリーに声をかける。
「なぁ、レイリー。あの冒険者の表情って危なくないか?」
「そうですね。さすがに2日連続でまともに寝れていないとなると、あんな表情になっていてもおかしくないですね。ですが、少し危なそうですな。表情から見て取れる状態ですからね」
俺と同じような危惧を抱いている気がする。
「こちらも、実力のある冒険者を当てるべきかもしれませんね。スカルズのリーダーに話をしてきます」
「え? スカルズも来てるのか?」
「はい。レッドドラゴンを倒し終わった時に連絡がついたので、こちらまで来ていただいています。あっ! もちろん本人たちの意思を確認してきていただいていますよ。特に元Sランクの3人は、聖国に依頼で呼ばれたのに大変な目に合ったと言われていましたので、復讐みたいな形ですかね?」
なるほど、あの3人は、獣人だから聖国では散々だったのかもな。高ランクの冒険者だから依頼で他の国に出向く事があったかもしれない。その時に嫌な思いをたくさんした事だろう。うん、俺ならボコボコにしたくなるな。
戦力的には、問題ないか? 実力だけでいばスカルズはダブル冒険者を越える実力はあるはずだ。それに加え、老ドワーフ特製の装備とパワードスーツを身に着けているので、一対一であれば問題ないと思う。
だけど、スカルズは7人しかいない。一対一で勝っていても、相手のダブルをトップにシングルやAランクの冒険者が合わせて30人以上いるクランが3つだ。さすがに不利と言わざるを得ない。
かといって、適当な冒険者をつけても実力差がありすぎで、連携をとるのも難しくなってしまう。実力はそこそこある冒険者だったとしても、連携も取れずに足手まといになる可能性も高いのだ。同じくらいの実力があっても、連携できるチームとできないチームでは天と地ほどの差が出る事もある。
そう考えると、7人で対応させるのは酷ではないだろうか? そんな風に思っていたら、レイリーの副官2人をトップに軍の精鋭を1チームにしてスカルズと合わせて3チームを、聖国の冒険者たち、3つのクラウンにぶつけるようだ。
スカルズにもヒーラーはいるし、軍のチームにもヒーラーを配置しているので、死ぬ事は無いと思うけど、心配だ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




