1188話 怪しい動き
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領主の仕事を覚えて、一生懸命頑張っている日々が続いたある日。
「シュウ様! スプリガンより連絡が入りました」
そう言って慌てて俺の執務室に入ってきたのは、グリエルの秘書をしている娘だった。落ち着くように伝えてから話を聞くと、
聖国で軍隊が移動しているとの事だった。それだけなら、慌てる必要はないのでは? と思った板が、その軍隊が向かっているのが、推測ではあるがミューズではないかという事だ。
手出しさせないように教皇には釘を刺しているのに、こうやって攻めてくるって事は、教皇も制御しきれていないって事か?
主要メンバーが集まっているので、来てほしいという事で、庁舎にある大会議室へ移動する。
この大会議室は、基本的に会議で使われた事ってないんだよな。そこまで大掛かりな会議をする事が今までなかったからだ。とはいえ、全く使われていないわけではない。広くて使いやすいので、紙媒体の資料をまとめる時などによく使われている。
今日はそんな大会議室を本来の使い方として使うようだ。
庁舎にいる、俺・グリエル・ガリアはすぐ到着した。次に冒険者ギルドからミリー、他にも兵士の責任者のレイリーも後から到着した。各部署の責任者以外にも、衛兵やレイリーの部下からも何人か出席するとの事だ。
今までは戦争……自分たちの街が攻められると、ほぼ俺の独断で戦力を派遣していたが、今回はそういうことはなく、正式に街として話し合って軍を出す事になっているようだ。
そうでなければ、俺がここに呼ばれる事は無いもんな。俺が決めるだけなら、グリエルたちが俺の部屋に来てどうするか話し合うだけで終わるからな。
時間的余裕があるとグリエルとガリアが判断したので、主要なメンバーを集めて戦争について話し合うそうだ。
全員が集まる前に、グリエルがそう言っていた。
全員が集まったのは、グリエルたちから話を聞いて30分、集合を開始してから1時間経った位だった。最後に到着したのは、ゴーストタウンで商談をしていたゼニスだ。
ゼニスは本来、商会の会頭で俺の代わりをしている存在なのだが、最近ではディストピアの財務大臣みたいな立ち位置になっている。なので、ディストピアかゴーストタウンなど、中立地域から離れる事は無くなっている。
外に出る必要があれば、ゼニスの右腕が動いているのだとか。ただ今日は、ゴーストタウンまで相手方が足を運んできたので、直接商談をしていたのだと……お前、働きすぎじゃねえか?
全員が集まると、グリエルが現状をまとめた情報を、複数の大型ディスプレイに表示して説明していく。
傍から見ると、大学の講義みたいな感じだろうか? 扇形の部屋で、後ろに行くにつれて席の位置が高くなっている。あんな感じの部屋なので、授業を受けているような感覚になる。
相手側の戦力は現在、神殿騎士団5000人を含む15000人規模の軍団になっている。後方より更に神殿騎士団が5000人と、各街から集められている兵士が2500人ずつの規模が4つ。合わせて30000人規模になると予測されている。
情報も無しにいきなり攻められたら、外壁までは簡単に到着されてしまう所だった。
ミューズの周辺に到着するのが、およそ1週間後。全戦力が揃うまでに2週間位しかないので、時間的余裕はあまりない。
レイリーが兵士の話を始める。現状、ディストピアの常時兵力は500人。住人が60000人近くに増えている事を考えれば、かなり少ないだろう。ただこの500人は、他の国で言う近衛兵みたいな高レベルの戦力である。
他にも衛兵、街の治安維持にあたっている者が1000人。衛兵もそれなりに訓練は積んでいるが、兵士に比べるとやはり劣ってしまう。治安維持とはいえ、基本的にトラブルの無い街なので、街の便利屋さんみたいな感じだからな。
とはいえ、冒険者で言えばA級上位と同じくらいのレベルである。戦闘技術が劣っているとはいえ、王国で言えば真紅の騎士団と肩を並べる位にはレベルが高い。軒並み各街の騎士団長クラスの戦力と言えるだろう。
それに対して聖国の兵士は、各街から寄せ集められた平の兵士なので、平均レベルは……50程度だとの事。ん? 思ったより高くないか? 俺がこの世界に来た時のフレデリクは、20~30位が平均じゃなかったっけ?
神殿騎士団のレベルはピンキリだが、上は300で下が100、ボリュームゾーンは150~200といった所だとスプリガンからの報告がある。それが合計10000人。かなりの戦力が動いているな。
結構な戦力を出してきたという事は、本気でミューズを落とす気なのだろうか?
ディストピアが現状すぐに動かせる兵力が、約3000人……10倍の差がある。平の兵士20000人だけなら余裕であったが、神殿騎士団が3倍以上の数がいるので、こちら側が不利だとレイリーは説明している。
神殿騎士団に対抗できるのは、兵士だけだがそれは500人しかいない。数字だけ見れば20倍の差が存在する。さすがにその数を相手にすれば、負けは必至だろう。
そんな話をしていると、大会議室の扉が激しく開かれた。
入ってきたのは、監視室に残っているスプリガンと連絡をとっていた庁舎の職員のようだ。その報告によると、後方からかなりのスピードで移動している一団を発見したとの事。
マップ先生を開き確認すると、レベル400を超えている奴が4人、300を超えているのが15人、200を超えているのが100人程いた。
ミリーがレベル400を超えている奴の名前を確認して声を上げた。どうやら、聖国にいるダブルの冒険者のようだ。
ダブルの冒険者が、それぞれが100人規模のクランを率いており、その上位陣を連れてこの戦争に参加する可能性が出てきた。
クランって何? って思ったら、オンラインゲームで使われているような意味で、コミュニティの1つの形だとか。それが戦争に介入してくるとの事だ。
ミューズも俺の街になってから外壁を強化しているが、門はそこまで大幅に強化していなかった。外壁や門はクリエイトゴーレムで修復機能をつけている。とはいえ門の素材が鋼鉄なので、強化していても特級戦力にあたる、ダブルの冒険者の攻撃を防ぐには厳しいだろう。
外壁は厚くしているので、突破に時間はかかるだろうが、門は簡単にこわされる可能性が出てきた。それに、レベル250を超えていて軽装であれば、外壁を登る事も可能だろう。奇襲であれば、ミューズの街が落ちてもおかしくない規模のようだ。
思った以上に厳しい状況じゃないか? ミューズは大丈夫なのだろうか?
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