1183話 バレルに到着
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バレルから水道の実験場所の選定が終わったと連絡が入ったのは、俺が依頼を出してから2週間。やはり現状を崩すのが難しくて、選定に時間がかかったのかな?
「選定に時間がかかってしまい、誠に申し訳ございません。各エリアに話を持っていったところ、是非自分のエリアで! という話になってしまい、シュウ様が実験するためのエリアとして、自分の場所が一番だ! という話になってしまい……」
そう言いながら申し訳なさそうに頭を下げている姿が画面に映っている。
それにしても、メリットなんてほとんどないのに、協力してくれるのは助かるんだけど、なぜそうなったんだ? 水の出る魔導具のおかげか? でも、少し劣化版だけど商会でも買える魔導具なんだよね。
今回、バレルで実験するために選ばれた場所は、3段目の北側エリアだ。宿のあるエリアだが、1ヵ所だけスペースが狭くなり、人気の無い場所が出来てしまったそうだ。その場所に入居する人もおらず、空き家になっている場所があるらしい。
そこを使い、各種実験も行えるのではないかというバレルの領主代行の判断で、最終的にこのエリアに決まったそうだ。
確かに、稼働している宿や人のいる家で実験するのは気が引けるよな。それに、実際に水を出してみないと分からない部分もあるので、使われていない家があるのはかなり助かる。
こうして場所の選定も終わり、バレルへ向かう日が来た。今回向かうのは、俺の身の回りの世話をするブラウニー10名と年長組、土木組の4人という事になった。従魔はスライムを除いた全員付いてくることになった。別枠で、老ドワーフを2人連れて行く。
年長組が一緒なのは、主に夜のため! とか……確かに節操がないとは思うけど、さすがに一緒に行く土木組に手を出すわけないだろ! って怒ったら、理由が違った。土木組のメンバーが、俺を狙っている節があるのだとか……
それを聞いた時、少し血の気が引いてしまった。俺ってあの子たちにそんな風に見られてたのか? あまりスキンシップはしない方がいい? もっと大人になる前に、接し方を変えた方がいいかもしれないな。
あの子たちには、自活できるように色んな技術を教えている。正直、Sランク冒険者としても活躍できるくらいには戦闘能力もある。長者番付があれば、上位に名を連ねてもおかしくないくらい稼いでいるのだ。
そうなった今、俺を狙う意味なんてなくねえか? 金は自分で稼げるんだし、もっとイケメンな男はいっぱいいるぞ……というか、この世界って日本より数段顔面偏差値が高い。
フツメンの俺には、ハードルの高い世界だよ。日本で中の中くらいだったのが、明らかに下に足を突っ込んでいるレベルなのだ……つらひ。
でも、可愛い妻がたくさんいるから勝ち組! そういう意味では何も辛い事なんてないな。
後、飽食の世界では無いので、デブはほとんどいないんだよね。デブは大体が、上級階級の金持ちだな。中には体質で太っている奴もいるけど、大半が金持ちだ。
他にも体を使う仕事が多いためか、マッチョな人が多いよね。でも、見た目がマッチョでも、レベル差があると子どもでも筋肉ダルマより力が強いんだから、この世界は不思議だよな。
っと、話がそれたな。
土木組の事は、ちょっと注意してみておこう。で、4人しか連れて行かない理由は、大人数で行ってもする事がないからだ。4人でも多かったのだが、他のメンバーに教える事になった時を考えて、4人にしてみた。
作業のメインは、俺が説明して土木組にやってもらう。年長組は、その様子を映像に収める仕事をしてもらう予定だ。
別枠の老ドワーフ2人は、まずは街でそろえられる素材と設備で、給水管を作れるかの検討と、各家庭で使う蛇口にあたるポンプを作ってもらう予定だ。水圧が全然足りないので、こういった道具が必要になる。
汲みに行く事を考えれば、数倍は楽ができるので問題ないだろう。地球みたいに、圧力をかけて各家庭に……なんて、この世界の技術じゃ不可能だしな。俺やバザール、綾乃の内誰かがクリエイトゴーレムで、そういった魔導具を作らない限り、再現不可能だろう。
100年後になれば分からないが、この世界の技術の進み方を見る限り……しばらくは無理じゃないかな? それに、無理に技術革新が進めば、無駄な戦争が起こって更に面倒になりそうだし。俺たちが気持ち良く生活するために使う分には、問題ないだろう。
そんなこんな考えている内に俺たちは、バレルに到着していた。魔導列車に乗って寝てただけだけどね!
「えっと、まずは俺たちの寝床確保からかな?」
「ご主人様、領主の寝床といいますか、いる場所は領主館に決まっているじゃないですか……」
隣にいたピーチが呆れた顔をしている。
「ん? 領主館は、実務をする場所と領主代理が住んでるんだろ? 俺たちが泊まる場所なんてないだろ? 結構な人数がいるんだぞ」
「ご主人様には一度、各街を回っていただいた方がいいのかもしれませんね」
ライムがピーチの横でため息をつくように言ってきた。
「領主館は、確かに実務をする場所ではありますが、領主代理が住んでいい場所ではありません。ご主人様の管理している街は全部、領主館の横に代理の人やメイド、執事が住む家が建てられています。ご主人様がいつ来てもいいように、領主館は綺麗に保たれているんですよ」
ピーチがそう教えてくれた。使われていないのに、キレイに保つのって大変じゃない? とか思っていたら、
「領主館は、実務をする場所もあり、ご主人様の来られる場所であるので、ブラウニーがトップに立って管理しています。だから、メイドの技術を覚えたい若い娘にとっては、勉強をしながら給金のもらえるご主人様の領主館は、働きたい職場人気第一位です」
アリスが資料をめくりながら、説明してくれた。特に、他の街で領主館で働くメイドというと、仕事を教えてもらえるが、夜のお仕事もさせられるため、あまり人気が無いのだとか。
でも、メイドがいないと体面が悪いので、他の街の貴族の娘が働きに来ている事が多い。貴族の娘には夜の仕事はさせられないので、平民出身のメイドに仕事が回ってくることが多いのだとか……
奴隷に身を売るのと同じように、領主館で働くのかな? 家族のために我慢して働いている娘も多いんだろうな。そう考えると、ブラウニーの指導が受けれて、夜のお仕事が一切ない俺の街の領主館は、人気が高くても不思議じゃないか?
代理には、話が済んでいるようで、すぐにでも住めるようになっているのだとか。
領主館に着くと、少し顔の引きつっているメイドが、40人程並んでいた。多すぎね?
そして第一声は、ピーチから発せられた。要約すると、
お出迎えご苦労様です。ご主人様の身の回りの事は、私たちがしますので近付かないでください。あなたたちは、いつも通りの仕事をいつも通りにしていればいいです。
と、少し強い口調で、遠回しに言っていた。ピーチがなんで威嚇じみた事をしていたのか、この時の俺には分からなかった。
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