1169話 最恐の拷問?
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マップ先生を見ながら待機していると、不思議な事が起きていた。
それは、既に接敵していたのだ。鬼人の皆には外で待機してもらっていたので、聞き逃したと言うことは無いはずだ。
では、何なのだろうか? 合図の花火を上げる余裕がなかったのか、ある程度戦闘してから呼ぼうとしたのか……どちらかだろうか?
さてさて、どうするべきだろうか?
勇者たちはと言うか、勇者だけは、動きがよくないようだ。日本から来ているみたいだったし、真紅の騎士団が悪逆非道をしている人だとは思えなかったから、動きが悪いかもしれないな。
とは言え、勇者を除いてもSランク冒険者が他にもいるのだ、苦戦をしているのは明らかだな。
せっかく参戦を決めたのに、余計な被害が出るのはこっちの思惑とズレる。なので、俺たちは合図は無いが、進む事を決めた。
真紅の騎士団っぽく見えるのは、俺たちだけなので鬼人の皆には、裏方になってもらい陰から支えてもらうことにしよう。そもそも鬼人は、正面を切って戦うよりはそっちの方が得意だからな。
騎士団というには装備が、オーソドックスな剣と盾、弓、杖以外に、大薙刀、大剣、斧槍、斧、鈍器等々、騎士団ではほとんど使われていない武器を持っている集団は、傍から見れば異様な雰囲気だろうな。
俺らは、真紅の騎士団から見て裏切り者集団の反対側、裏をとっている位置から俺らは、一気に近付いていく。その途中で、騎士団側の魔法使いが気付いたのか、花火の代わりを打ち上げていた。
多分、可能な限り自分達で終わらせようと考えていたが、俺たちの介入が分かったから慌てて花火を上げる事で、騎士団のメンバーに教えたのだろう。ったく、団長は自分から協力を要請してきたのに。
「みんな、俺たちの目標は勇者のパーティーだ。裏切り者なら、真紅の騎士団でも問題ないが、勇者たちは荷が重い。あいつ等さえいなければ何とでもなるはずだ」
無線から了解の返事が返ってくる。
真紅の騎士団が今回250人程で、裏切り者が400人程と勇者たち……レベルが真紅の騎士団の方が高いとはいえ、数が倍近くいて勇者たちがいれば攻めきれないのも仕方がない。
「ライム、騎士団に影響がないレベルで範囲攻撃を頼む」
俺の指示を聞いてライムが魔法を選択し発動させる。火でも水でも土でもないようだ。となれば、風という事かな?
ライムの手の先で空気が圧縮されていくのが分かる。かなり圧縮されているようで、空気が集められている部分が歪んで見える……え? 空気って圧縮すると景色が歪むのか? 空気の密度による何かか?
視認し辛い風魔法が目に見える。それが解き放たれ、地面と水平に移動して無防備だった裏切り者たちの背後から、空気爆弾がさく裂する。
急に発生した暴風というにはぬるすぎる。空気が爆発する程の力を受けて一番近くにいた魔法使いは、空気が音速を越えて破裂したために起こった、ソニックブームの影響で瀕死になっていた。近くにいた回復魔法使い風の奴も、意識が昏倒しているようだ。
他にも風魔法の爆心地を中心に近い所の裏切り者たちは、ソニックブームの影響で地面に叩きつけられ、離れるにつれて立っている人数が増えていた。ライムの一撃で50人程の後衛が戦闘継続不能に陥っていた。
ソニックブームの衝撃波の影響か、真紅の騎士団も若干混乱に陥っていた。
ライムを見ると、仕草から少しやり過ぎちゃった? みたいな感じの空気が感じ取れた。
「ちょっと味方にも影響を与えているみたいだけど、チャンスだから行くよ! みんなツーマンセル以上で行動するように!」
混乱しているとはいえ、訓練されている兵士は体勢を立て直している。こいつらを抜けて勇者のパーティーだけを狙うのは困難だな。いや、出来るけど、挟み撃ちになるから面倒になりそうだ。
『ご主人様、勇者のパーティーだけを狙うのはあまりよろしくないと思います。手前から倒していきましょう』
ピーチも俺と同じ事を考えていたようで、ここはその作戦を支持しよう。
戦場に嵐が吹き荒れる。その数は10個程。俺たちが別れたチームの数だけ、戦場に空白が生まれている。
ん~何だろ。いつもよりも暴れている気がするな。みんなストレスでも溜まってたのかな?
本気を出した妻たちが暴れたため、裏切り者の活躍は……全くなく戦闘は終了した。
「それにしても、脱走したと思ったら、この国の貴族の兵と一緒にいるとはね……またつかまっちゃったけど、俺たちとあいつらの言ってる事どっちが正しいと思う?」
またつかまった勇者を前に、俺は色々な質問をしていた。
あわあわ言っているが、自分でも疑問に思っていたのだろう。明確な言葉にできずにいた。
真紅の騎士団は、裏切り者の兵士を尋問していた。俺の妻たちが暴れたので、誰1人として逃げ出せていなかった。そのため情報源は沢山あるようで、手分けをして色々聞き出しているようだ。
団長は、あまり同じ国の人間にはしたくないが、本当に裏切り者がいるのであれば発見しておきたいと、俺に協力を求めてきた。俺が回復魔法を使えることを知っているからな。
ピーチが代わりに行くと頑なに俺に行かせようとしなかったが、これからする事を考えればピーチに代わりをさせるわけにはいかない。なので、普段あまり使う事のない強制させる命令を発動した。
まぁ、ドッペルだからいなくてもいいんだけど、本体じゃないと分かっていても、ディストピア以外で俺を1人にするのは絶対嫌だという事で、護衛だけは絶対に譲らなかったので、わざわざダマ・シエル・グレンを呼んでつけている。
尋問ではなく、拷問するテントに入ると目を疑うような光景が……
何処から持ってきたのか、見てすぐに拷問道具と分かるような物が並んでいた。一番初めに目についたのは、人を座らせるための椅子だろう。ここにあるのだから、ただの椅子ではない。両手両足頭首胸を固定する道具が付けられていたのだ。
その椅子は異様な空気を放っているように俺は感じた。それが3つ……
そこに3人の裏切り者が連れられてきた。真紅の騎士団の団員が聞きだした、裏切り者の指揮官たちだろうか?
同じ国の兵士にこんな事をしていいのか! とか、人として恥ずかしくないのか! とか言ってるけど、お前らの方が先に国を裏切って、他国と組んで勇者を逃がしたんだろ? しかも、俺たちが来る前に真紅の騎士団の団員を3人殺してたしな。
始めに何をするかと思ったら、全裸に剥いてからあの椅子に座らせたのだ。
そして、団長が取り出したのは、ペンチみたいな物だった。くるみ割りに似ている気がするな。それをおもむろに椅子に座らされている1人の男の股間へ……あっ! これ見ちゃダメな奴だ!
次の瞬間、悲鳴が! この世の終わりの様な断末魔に近い悲鳴だった。その後にすぐ、質問に答えなければもう片方も潰すぞ? と言って、応えられる状況で無いのに質問をしている。あ~片玉から玉無しになってしまったな。
その後、振り返って残りの2人に同じ質問をしていた。まぁ、しゃべっても潰していたので、潰さないでやる! とか言ってたのは嘘だったんだな。そして、俺になおすようにお願いしてきた。
あ~また潰すつもりか? 何度か繰り返して、本当の事を言っているか確かめるのか。この拷問だったら俺も耐えれないな。今日の夜、うなされたりしないよな?
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