1138話 うちの従魔たち
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領主館を後にした俺は、する事も無くなったので工房へ戻って来た。
「あ、シュウ様。また何か面倒事ですか?」
そう言って工房の俺たちを除いた、トップのドワーフがそう声をかけてきた。
「心外だな。俺だっていつも面倒事ばっかり持ってきてるわけじゃないだろ? きちんとためになる事、仕事になる事を持ってきてるんだからな!」
ちょっと怒ったような拗ねたような感じで言う。
「と言われましても……新商品開発は良いですけど、ペースが速すぎるんですよ! ゴーストタウンにも広まっていないのに次々と! 手作業なんですから、どうしても生産に限界があるんですよ。分かってますか?」
そう言われて、そっと顔をそらした。
「今は自覚があるようなので、これ以上は言いませんが! くれぐれも軽はずみに新商品は作らないでくださいね! 微妙な新商品であれば余裕のできた時でもいいのですが、有用過ぎる商品だと作らないわけにはいかないですからね。それなら知らない方が100倍マシですので、くれぐれも! お願いします」
めっちゃ釘を刺された感じだな。そもそも来週から3週間は妻たちとのんびりするんだから、今更なにもしないよ。
ここにいても視線が痛いので家に帰ろう。
魔導列車の中の和室、畳の空間でゴロゴロしながらディストピアに戻る際中、ダマが腹を出して仰向けに寝ていたので、お腹を両手でわしゃわしゃしてみた。
『急になんですかにゃ!?』
「いやさ、普通腹を出して寝る魔物って一般的じゃないだろ? それにモフモフが目の前にあれば、触りたくなるじゃん?」
『魔物がって言いますが、先輩方の方が酷いと思いますが?』
そう言われて、真っ先に浮かんだのはクロとギンだった。そういえばあいつら、普通にベットで寝てる事があるんだよな。しかも、人間みたいに仰向けになって枕を使って、しかも手足までピンッと伸びてるんだよな……
「そう言われれば、あいつらもひどいけど、お前も大概だと思うぞ? 今の姿、サイズ感が違うだけでクロたちと同じ格好だったし……」
そう言うと、獣顔なのに器用だなって思う位、ガックリした表情を作っていた。本当に俺の従魔たちは表情が豊かだな。
「それはそうと、ダマって何処を撫でられると気持ちいとかあるのか?」
『ん~首とか顎の下、背中でしょうかにゃ? 触り方が悪くなければ、どこでも気持ち良いんですにゃ』
「お腹はわしゃわしゃされるとダメなのか?」
『お腹は、ブラッシングは気持ち良いのですが、触られるとくすぐったいですにゃ。だからあまり触らないでいただきたいですにゃ』
「善処します」
『そこで何で、結局何もしない国会議員みたいな事を言ってるんですかにゃ!?』
何故そのネタを知っているのか聞きたいが、ディストピアに着いたのでさっさと降りよう。
帰り道で、キュウリを貰ったので味噌とマヨネーズを取り出し、1:1の割合で混ぜてキュウリに付けて食べた。
美味いな! あまり青臭さと言うか味が薄いけど、なんだこれ? キュウリの味はしっかりとしてるんだけど、って俺は何を言ってるんだろうな。とりあえず美味いからいいか! ダマも気に入ったようでパクパクと食べている。
うちの従魔って、野菜より肉派なんだよな。と言っても、ブラウニーが出す食事に文句はつけないので何でも食べるが、こういった所でもらった野菜って、あんまり食べないんだよな。それなのに、ダマは普通に食ってるな。気に入ったのかな?
『そういえば主殿、来週から旅行とやらに行くようですが、自分たちはどうするればいいですかにゃ?』
「あ~考えてなかったな。妻たち以外にも護衛としてついてくることになるから、お前たちが有力候補かな?」
『??』
可愛く首をかしげている。
「ダマは船の上でしか戦えないけど、シエルは水中ならかなり強いだろ? それにグレンは飛べるしな」
『……! 某は不要ですかにゃ?』
「いや、別に不要なんて言ってないだろ? お前はお前でモフモフが気持ちいいからな」
ダマが口を開けて、ガーンという感じを表しているが、モフモフ要因は大事だぞ? それにスライムのぷよぷよ感も大切だ!
家に戻ってきたは良いけど、する事が無い。なので庭の芝生の上でゴロゴロしていると、母親3人を娘たち3人が庭に出てきた。
「あら、シュウじゃない。こんな所で何してるの?」
「する事が無くて、ここでゴロゴロしてただけだよ。カエデたちは何しに来たんだ?」
「この子たちを遊ばせようと思ってね。心配だから家の中でとか思ってたけど、シルキーが外に出て自然の中で遊ばせた方がいいって言ってきてね。すぐに何でも口に入れようとするから、注意するように言われてるけどね」
確かに赤ちゃんって何でも口に入れたがる子がいるよね。でもその点うちは、ケットシーも猫たちもいるから、普通にインターセプトしてくれるのが助かる。って言ってるそばからブルムが、何かを口に入れようとして、ケットシーに防がれていた。
少しぐずるのだが、あやす天才のケットシーと猫たちは、上手く気をそらして一緒に遊びだす。そういえば今日はスライムも数が多いな。
その理由は、ミーシャがもう立とうとしているのだ。え? 早くないか? つかまり立ちならまだわかるけど、すでに単独で立とうとしているのだ。そうすると転ぶこともあるので、そのクッション役としてスライムが付き添っているみたいだ。
ミーシャの成長は他の2人に比べて早いが、他の2人、ブルムとスミレも母親の足を支えに、立とうとしている姿が見られる。その周囲にもスライムがいるので、怪我をしないように見守ってくれているんだな。
「そういえばシュウ。クルージングに行っている間は、ブルムたちに会えないけど大丈夫なの?」
「ん? 何がだ?」
「こんなにべったりなのに、離れて様子も分からないのに、大丈夫なのかなって思ったのよ」
「はっ! そういえば、グリエルたちとはやり取りができるようにしてあるけど、娘たちの様子は見れないじゃないか!」
「ずっと見ているのはさすがに気持ち悪いと思うけど、みんなも可愛がってくれてるから、様子が気になる娘もいるかなって思うよ」
俺も娘たちにべったりしているけど、他の妻たちも可愛いから、母親が忙しい時は代わりに世話をしているんだよな。
「明日は、そこら辺の所を改造してくる!」
明日する事は決まった! 今日は芝生の上で娘たちとのんびりしよう。
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