1117話 不意に魔物が死んだ
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「そういえば、攻めの方はどう?」
「そっちは、順調だと思うでござる。どれくらいの広さがあるか分からないでござるが、先行させていた50匹はまだ1匹も死んでいないでござる。相手の出方が分かったでござるから、とりあえず計画していた通り、ダンジョンのマッピングを始めるでござるか?」
俺たちは、開始の際に『相手のダンジョンを攻める魔物の上限は、1度に100匹まで』というのを聞いて、チビ神からの聞いた内容からこの事を予測していた。なので先行してそこそこ強い50匹の魔物を突入させている。
その編成は、進軍が遅くなってもいいので、人型と獣型の魔物を1対1の割合で配置している。しかも、DPの制限が無しだという事だったので、Lvを300まで上げている。もちろんスキルもLv10にしている。
特に人型の魔物の方には、魔法を覚えさせて獣型の魔物の援護できるようなスキルをそろえている。もちろん接近戦用に短剣の二刀流も覚えさせている。
簡単には死なないと思っているので、死ぬとなればSランクに限りなく近い魔物を、複数相手にしても倒せる相手がいるんじゃないかと判断できるように、小隊4~6体での行動をさせている。
っと、話がそれてた。俺がダンジョンアタックする時によく使うウィスプ軍団を投入する予定だ。
死んでも補充していいのかを確認するために相手の出方を見ていたのだ。相手が補充してくるなら俺達もやって問題ないよな?って事で、さっそく投入を始める。
「ウィスプは……スプリガンに頼もうか。お~い、これからウィスプを50匹投入するんだけど、死んだら逐次50匹になる様に補充してもらっていい? 今日は、ちょっと珍しいお菓子を準備するからよろしく」
新しいお菓子を食べれると知ったスプリガンの皆は、やる気に満ちた顔で監視室に戻っていった。
「どの位でマッピングが終わるでござるかね?」
「相手がどれだけ大きなダンジョンを用意してるか分からないから、予想を立てるのは難しいよね」
「まぁまだ初日だし様子見ってとこでいいんじゃねえか?」
この日は、これ以上特に特筆する事が無かった。
2日目……
「ちょっと、相手のダンジョン広すぎない?」
俺もそれは感じている。マッピングした範囲を見ると、縦横20キロメートル以上あるくらい広いのだ。俺たちも上層階でそこまで広いものは準備していない。上の階層から広い物を準備するのには理由があるのだろうか?
「まぁ1階は丸裸に出来たから、ウィスプは2階に移っているでござるな。先行した戦闘組は、今2階の階段の前に集まっているみたいでござるな」
集まっているみたいと言うが、お前が指示したんだろう。基本的に指示は任せているんだからな。
「シュウ、そういえばさ、相手の魔物って召喚した魔物だけじゃないよね?」
「恐らくね。俺が把握している範囲の話だけど、Sランクの魔物はそう簡単に量産できないはずなんだよね。DPの問題じゃなくて、Sランクの魔物って召喚数に制限があるんだよ。違う種類のSランクが複数……2~3種類が1匹ずつなら、なくない話だけど」
フェンリルも1匹しか召喚できなかったのだ。もし複数召喚できるならたくさん召喚してみただろうが、ダンジョンバトルの報酬として、召喚できるようになるSランクの魔物は1匹だけなのだ。
「多分だけど、Sランクの魔物を同じ系統の魔物を使って繁殖に成功したんじゃないかな? だから前面に押し出せるだけの戦力があるんじゃないかな?」
「やっぱりそうなんだ。でもさ、シュウの所にはSランクの魔物いっぱいいるじゃん。どうして?」
「これも俺の考えなんだけど、Sランクになる魔物ってLvが上がりやすいと思うんだ。元々のスペックの高さもあるけど、フェンリルだって召喚した時は、Sランクとは呼べるほどの強さは無かったよ。そして俺の魔獣を見ればわかるけど、元々DとかEランクの魔物でも鍛えれば、Sランク相当まで強くなるんだよ」
「そう言われれば、ガロウも元々はそこまで強くなかったわね。今はかなり強いけどね。でもさ、それなら相手にもたくさんSランク相当がいても良くない?」
俺的には、ガロウと仲がよさそうななのが気になるけど……
「これも予想だけど、そこまで育てるのって俺で言う従魔みたいな立ち位置の魔物だけだと思うんだよね。ダンジョンバトルのためだけに、大量の魔物のLvを上げて配置っていうのも効率よくないと思うし。今回の相手は、効率よくLvが上げれる魔物がいたから投入してきたんじゃないかな?」
「そんなもんなのかな? そういえばニコちゃんから分かれてるスライムって、めっちゃ強いよね? あれ何なの?」
「あ~それは、俺も聞きたい! ニコと言うか、分裂するスライムの半分くらいのLvで産まれてくるからな……あいつらってさ。マジなんなんだろ?」
「強いならダンジョンバトルに投入しないの?」
「ニコたちって、可愛いからそれでよくない? ダンジョンバトルで戦わせる程困ってないしね」
「そういえば、バザールと何かコソコソしてたけど、それって関係あるの?」
「まぁ攻めの最終手段だけど、バザールにクリエイトアンデッドで作ったスケルトンたちを率いて、攻め落としてもらうのもありかな? ってね。守りの要は10階のあれと、リバイアサンがいれば負けは無いだろうからね」
「あれ? バザールは攻め手にしたら不味くない?」
「いやいや、あいつの事よく見てみろよ。骨だぞ? アンデッド……ノーライフキングなんだから問題ないに決まってるじゃん。こいつ俺と会うまでは、ゴーストタウンでアンデッドの長みたいな事してたんだぞ」
「え!? そうなの? 元からその状態じゃなかったの?」
「え~……前にも何度か話したと思うでござる。綾乃殿は全く興味なしだったでござるか」
「多分聞き流してたわね。今度は多分大丈夫!」
多分って、どうなんだ?
「あ! 2階に突入した魔物の2体が死んだでござる。一緒のチームの残り4体の内3体も瀕死でござる」
「え? 何があったか分かるか?」
「きちんと判断できないでござるが、先に突入した2体はほぼ即死でござる。遅れた入っていった3体は何故か瀕死の状態で、中の魔物と戦っている様子でござる。瀕死にならなかった1体は、廊下から援護しているようでござる?」
「罠か何かかな? ん~それなら後に入った3体が瀕死になる理由が分からんな。それに何で1体だけが廊下から援護してるんだ? 部屋になんか仕掛けがあるって事かな?」
「他の所でも、即死はしなくても瀕死に近い状態になっているでござる!」
「迂闊に攻めると危ないか? 一旦退避させよう! それにしてもダンジョンバトルの間は、視覚共有ができなくて不便だな。魔導無線のカメラとか使えねえかな?」
「試してみるのもいいんじゃない?」
「それもそうか、問題は誰に持たせるかだな」
一旦魔物を下がらせながら、俺たちは対策を考え始めた。
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